崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「食う」から文化へ

2013年06月21日 04時35分42秒 | エッセイ
 私の弁当の中には姉が味付けてきたツルニンジンを焼いたものが入っていた。それを食べたばかりで栄養学科の林辰己先生が日本の山で採った自然のツルニンジンの根っこを持って研究室にこられた(写真)。それを料理したものを味わってみた。日本のごぼう料理の味で韓国の味とは異なっていた。しかし、ツルニンジンを日本でも普及出来たらと思う。まず林先生が成分を調べるという。韓国では成分の分析結果も明らかになっている。ツルニンジンに食物繊維・炭水化物・ビタミンB・E、蛋白質、カルシウム、鉄分、サポニン、イヌリン、微量のアルカロイド、燐、アミノ酸などが含まれていているが、特に抗癌植物として注目さているという。その薬効は別にしても、一般常食品として普及することが出来るように願っている。
 林先生の科研の研究テーマと関連もあると思うが、日韓の食文化の開発としても面白い。私は好物でもあり、韓国の食文化として、韓国では高価な食品であるが日本ではほぼ知られていないものの食品化に加わえて研究し、共同研究のようになればと思う。韓国の加平の山村では6月タラの芽とツルニンジンなどの山菜祭も開かれ、そのチヂミが人気があるようである。日本のメニューになるためにはまず美味しい料理になるのが緊要である。それは海龍食品が担当すると言うので開発の組織が揃うことになる
 食品には栄養と味の2大要素がある。栄養学ではバランスのある栄養摂取が重要な課題であったようであるが、先進国では逆に節食など、あるいは薬効が注目されている。しかし味は食の芸的要素である。味は食欲を満足させる非文化的でありながら美しい雰囲気を一緒に食べる高級文化でもある。韓国語のことわざに「器より味である」といわれるが「味より器である」ともいえる。食うのに夢中の姿をみるとまだ先進文化(者)ではないことが分かる。「食う」から文化への開発が望ましい。