崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

朝鮮総督府の文書課長の西洋視察記

2013年06月27日 04時52分59秒 | エッセイ
 「朝鮮読書会」で1920年頃朝鮮総督府の文書課長安部直夫氏のアメリカ、イギリス、フランス、スイス、イタリアなどの視察文「欧米所感」を読んだ。カリフォニアとニューヨークでは車が多く、右通行と綺麗な国という印象から農村振興の状況について4H運動やクラブによって組織的に行うこと、イギリスでは紳士が教育される合宿と討論会による教育システム、全国土がほぼ耕作が出来るフランスの農業国的な特徴を表す短文を読んで今盛んな観光旅行とは何かを反省せざるを得ない。楽な贅沢な観光旅行とは程遠い視察式観光へ、観光を根本的に直すべきかもしれない。つまりショーウィンドーを見に歩くような世界観光は浪費に過ぎない。ある団体観光客に何処を廻って来たかと質問したらガイドさんを呼んで聞いていた。こんな無駄な観光が盛んである。今日私は「観光人類学」の講義を行うために心構える。(写真は私の部屋の窓から撮った豪華船)
 昨日朝の講演では指導者の真面目さを語り、続いて読書会では質高い官吏に注目したことになる。イギリス植民地の官吏に比べて日本の総督府官吏の質は相当劣っていると思われているが、この視察文を読んで総督府の官吏のレベルの高さを一気に感じた。しかしある研究者は国費による調査に行っても外には出ずホテルで過ごし、帰国してからは良文(?)を書いている。中には反省すべき研究者も多い。読書会のメンバーたちと昼食をとって歩いて帰宅したら長周新聞が届いていた。竹下一氏の記事、先週土曜日の私の講演した内容を全部細かく記録した長文が載っている。昨日は3回ほど真面目な偉い人との出会いがあった気がした。全文を順次載せる。