崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「死にたい」

2010年11月27日 05時27分23秒 | エッセイ
 家内の姉の夫が先日突然職場で倒れてしまい救急車で病院に運ばれた。意識のないまま集中室で治療を受けていて家族の心配と大きい不安の中、病状が変化するごとに彼の妻が自宅から片道2時間の道を、日に二回も往復する日もあったりだったがようやく落ち着いて病院からの緊急電話は入らなくなったという。先日私が東大・がんセンターで行われたがんフォーラムで「死を受け入れる」心の準備が必要であると語ったとき出席して手を振って帰ったばかりだった。元気な姿を見たばかりなのに私にもショッキングなことである。またこの夏には私の古希記念祝賀会に下関まで来られてわが家を綺麗に掃除してくれたのである。
 病院ではペースメーカーや人工呼吸器などをつけたりあらゆる治療をして最善を尽くしている。数日後意識が若干戻ってきたというニュースが入ってきた。それを見守っていた家族が嬉しく声をかけたと言う。「頑張ってね。安心して治療をしましょうね」と声をかけたら顔を横に振って否定する意思を表明したと言う。これ以上の治療を拒絶し、死を受け入れようとしているのではないだろうか。私には本人は難しい判断をしていると感じられる。彼はすばらしい人である。とにかく健康を取り戻して欲しい。生き返って欲しいと強く感じた。その後予断は許されないが徐々に回復する傾向にあると聞いている。