崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「日本には人が少ない」

2010年11月20日 05時49分12秒 | エッセイ
 元翰林大学教授の全信宰氏、ソウル大学家政学科の李順炯教授一行6人が秋芳洞、湯田温泉、萩などを回って帰路の途中で私の研究室をたずねていろいろと感想を述べてくれた。皆が強く感じた印象は「日本には人が少ない」である。それは今度だけの話ではなく、中国や韓国からのお客さんから一般的に聞かれることである。日本より人口密度が高い韓国人から見ると、歩く人が少なくそのように感ずるのは当然であろう。さらに中国から来た人にはもっと強く感ずるであろう。
 多くの店がシャットダウンされて、廃れていく地方都市の凄まじさが彼らにクローズアップされたようである。しかし今度の彼らは農村を回ってきたので、日本の農家や田んぼなどが綺麗に整備されたことにも感銘を受けたと言う。人が少ない、高齢者ばかりの農村と思ったが、あまりもよく整理されているというのである。
 私が東アジアの他の国を調査旅行した時は人は溢れるほど多く感ずるが稲作の田んぼに稗など雑草が混ざっているのをみて農業を怠けていると強く感じたこととは逆の印象のようである。「人が少ない」ことがかならずしも廃れることだろうか。彼らは質の高い日本の農村を見ていろいろ感じるものがあったようである。