崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

下瀬信雄氏

2010年11月25日 05時43分46秒 | エッセイ
 『萩の日々1980‐1998-下瀬信雄写真集』の著者の下瀬信雄氏と会って写真の話をした。戦前から写真館を経営したというので私の関心がわいてきた。白黒写真にカーラーとして色をつけて商売した話は面白い。同席した満州映画協会に勤めたことのある曽根崎明子氏も戦後彩色業もやったというので研究会のような話になった。下瀬氏は最近中国でその絵の具を売っている現場を見かけたと言い、曽根崎氏は色鉛筆で彩色したという。後日インタビューしたいと話して別れた。朝鮮に関する写真絵葉書や1910年代のドイツの彩色出版の本を分析する上に貴重な資料である。(写真は下瀬氏)
 写真印刷の日本優位が韓国に代わった、つまり韓国が発展したという話も出た。写真界では韓国の優位の話が出た。最近このような話は多く聞く。紙とインクの調和が日本の技術の歴史から誇りであったがそれも否定されるようになったように聞こえた。日韓でインクは標準化されたとはいえ、紙の質は韓国と違うという出版界の常識も否定されるような話であった。最終的に日本の装丁技術が良いというがそれも標準化するのは時間の問題であろう。
 一般の表面的な技術のレベルは標準化していくのであろう。動画の出現に写真がなくなるように激しく代わるという話も出た。しかし私の長い経験と出版社長らや印刷関係者が製本とカーラー印刷はまだ日本の印刷文化が質高いと思う。その優秀性はまだ健在している。これからは技術のレベルの標準化だけではなく、キャラクターをだす文化の特徴を持つ時代が来るだろう。