崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

思想犯

2010年02月01日 06時00分27秒 | エッセイ
 昨日宇部長生炭鉱犠牲者の追悼式があり、行きたかったが持病の悪化(?)で取りやめた。数年前現場を調査したこともあったので是非参列したかったのだ。山本洋治監督、吉永小百合出演の「母べえ」を観賞した。長期間、見て楽しんだ二本の韓国のテレビドラマの粗末なエンディングには比べることもできないほど真面目な作品である。1940年、思想犯で捕まった夫を待ちながら家族を守っていく話である。戦前の日本は恐ろしい国であった。検察や警察は悪い時代の象徴的な存在である。その負の遺産は現在の日本にはどう働くのであろうか。
 一九七四年に韓国の朴正熙政権で民主化運動に政府転覆を図ったなどとして拘束された「民青学連事件」で、懲役二十年の判決を受けた日本人ジャーナリスト、太刀川正樹氏(63)の再審公判が先週ソウル中央地裁で無罪が言い渡された。事件以来三十六年ぶりの名誉回復となった。
 韓国では政治的な犯罪処理には国民的な不信がある。思想犯から大統領や英雄が生まれるという監獄の神秘化といえるものなのか、それは南アフリカなどでも同様であろう。
 小沢氏の件は純粋に刑事犯(?)的かもしれないが、私には政治犯にしか感じられないのはやはり韓国人だからであろうか。彼を非難する反対側の幹事長の千円単位からの記載漏れなどを調べることが可能であり、いつ逆転するかもしれない戦前の悪名高い検察の負の遺産であろうか。
 長い歴史から見て正しい裁判は少ない。聖書はいう。「人を裁くな、裁くのは神である」。慎重にしてほしい。