goo

飴山實を読む(88)

■旧暦10月18日、土曜日、、七五三

(写真)青い花

トレーニングセンターに行く時間がないときは、自宅で、ダンベルを使った運動をしているのだが、ストレッチから始めて、じっくり1時間、呼吸と筋肉を意識しながら行うと、それなりに、心身を満たす充実感がある。あとは、太極拳をどうやって組み込むか。たんなる独断だが、文章を読んでいて、「このひと、運動不足だな」と感じることはないだろうか。たとえば、モーリス・ブランショを読むと、それを強く感じる。




山ふたつむかうから熊の肉とどく
  『花浴び』

■人として生まれてしまった以上、人間の業はどこまでついてまわる。この業に敏感だった宮沢賢治やアイヌの人々のように、自分もまた、自然に懐の中で、生きている、生かされている、という感謝の念を、この句からはそこはかとなく感じた。この「熊の肉」は少なくとも「商品」とは思えないのである。



Sound and Vision

The Smiths - Still Ill (Live)


※)Firefox & Windows(Safari)でYouTubeの動画が動かない場合には、Flash player10をインストールしてみてください。ここ
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

芭蕉の俳句(205)

■旧暦、10月16日、木曜日、

(写真)八ヶ岳山麓の高原野菜の畑

昨日は、はじめてコートを着て仕事に行く。今朝も寒い。この頃のパターン。午前中、俳句を書いて、詩のスケッチをして、アファナシエフの翻訳をおこない、午後は、サイバーの翻訳と、できれば、筋トレ。夜は兼業。充実しているが、金が入ってこないのが悩みの種。



尼寿貞が身まかりけると聞きて
数ならぬ身とな思ひそ魂祭
  (有磯海)

■元禄7年作。この句を読むと、薄倖な寿貞という女性の姿に心打たれる。そうした女性とその子どもを引き受けていた芭蕉。芭蕉の家族と会話はどんなものだったのだろうか。旅と歌仙という表舞台だけが残されている芭蕉だが、庶民生活に帰り、軽みに至って、寿貞との生活の襞があれこれと思い出されてきたのではないだろうか。

Sound and Vision

The jam_ In the city



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ドイツ語の俳人たち:Alexis Margret Dossler(4)

■旧暦10月15日、水曜日、

(写真)青空

アファナシエフの新作詩が14篇送られてきたので、徐々に、翻訳を開始している。言葉はいっそうシンプルに、内容はいっそう深くなっており、翻訳が非常に楽しみである。

数学者という人種にどこか惹かれて、このところ、『岡潔 数学の詩人』(岩波新書)を読んでいた。岡潔の狂い方は、「風狂」という言葉を思い出させ、どこか懐かしい。




Gezeitenwechsel -
Am Weg vergangener Zeit
fängt das Fragen an.


潮の満ち引き
過ぎ去った時の道で
問いかけが始まる


写真。未完の詩という印象を受けた。詩として見ると、かなりいいんじゃないだろうか。このあとの連も読んでみたいと思わせる。



Sound and Vision

Claudio Arrau - Beethoven Sonata No. 32 - 2nd Mvmt. (2/2)


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

Richard Wrightの俳句(71)

■旧暦10月14日、火曜日、

(写真)秋の山

日曜日は、先生のみえた句会だった。非常に勉強になる。「切れ」のニュアンスの違いについて、これ以上ないくらい明解な解を与えていただく。披講する関係上、先生の隣に座るので、毎回、ひとつ、質問してみることにしている。今回は、歌仙について尋ねてみた。芭蕉の発句の「間」と歌仙の「間」には密接な関係があることがわかった。芭蕉の歌仙から俳句は何を学べるか。言葉の使い方の自在さだけでなく、「間」の自在さ。これが、今後、芭蕉の歌仙を検討するときの問題意識になる。「間」を理路で理解しようとせず、「体得する」ように、というのが先生のご指示だった。「体得」には、心身全体を使った読み込みが有効ではなかろうか。

理路との関係で、もうひとつ、重要なお話があった。それは禅(とくに、道元の「碧厳録」)と関係している。われわれにとって世界は今あるように現象しているが、はたして、本当にそうなのか。時代の拘束を受けた小さな理性(あるいは意識)の枠を外すと世界はどう現れるのか。先生は、これを、「自分の心の動きに気づいて詠むように」と述べられている。また「それは日常生活の中で常にやっていること」とも述べられている。前頭葉型の人間のぼくとしては、これが、俳句の一番の壁かもしれないと感じている。このお話は、一句で応答するしかないので、道元の思想などを参考に試行錯誤を重ねてみるしかない。




Standing in spring rain,
The hitchhiker has a stance
That nobody trusts.


春雨に立つ
ヒッチハイカー
あんな態度じゃ誰も止まらない


(放哉)
春雨や磯分れ行く船と傘


■上の話を書いた後で、ライトの俳句を読むと、やはり、これは三行詩だなと感じる(正確に言うと翻訳された日本語読むと)。西欧には西欧の歴史があるので、言い回しや表現の上澄みだけをまねても、はやりどこか薄い俳句になってしまう気がする。どこをどう学ぶのか。そもそも、日本語の俳句にとって欧米の俳句は学びの対象になりえるのか。いっけん、理性の総本山のように見えながら、実は、どこか、日本語の俳句の底流と共鳴するものがあるのではないか。だから、書き手も多いのではないか。そんなこんなを考える。ライトの俳句も、翻訳して終わりじゃなくて、原句を読み込むと、また違った世界が立ち上がるかもしれない。ライトの句、The hitchhiker has a stance/That nobody trusts/の表現が面白く惹かれた。放哉の句、「磯分れ行く」という動詞と、「船」と「傘」の対比が面白かった。

Sound and Vision

Claudio Arrau - Beethoven Sonata No. 32 - 2nd Mvmt. (1/2)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

飴山實を読む(87)

■旧暦10月10日、金曜日、、立冬

(写真)まゆみの花

午前中に仕事を片づけて、午後は、トレーニングセンターで筋トレに励んでいる。ずいぶん、インターバルが空いたので、負荷は最低限から始めているが、運動が終わると、実に気分いい。




畑の火の夕べをさまり尉鶲
  『花浴び』

■尉鶲で秋。畑で何か火を使っていたのだろうか。その火が収まったところに尉鶲がやってきたのだろう。「をさまり」という動詞の使い方に惹かれた。普通なら、「畑の火のをさまる夕べ尉鶲」とでもするところなんじゃいないだろうか。これだと火が弱くなっていく動きが見えない。



Sound and Vision

Arrau plays Beethoven Sonata 32 1st mov.
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

芭蕉の俳句(204)

■旧暦10月9日、木曜日、

(写真)もみじする

オバマが大統領に当選して、米国がいっしんに担ってきた「世界の愚劣さ」は、大きく軽減されるものと思いたい。任期が1月下旬から、ということだから、それまでは、ほんの昨日まで猿だったようなブッシュが政権運営を担う。狂信的な市場原理主義者に過度の市場化への根本的な反省ができるのかどうか。これまでの対策を見ていると、株式市場の反応を最優先に、金融業界に巨額資金をつぎ込むトリクルダウン方式でしかなく、原理主義的な発想を出ていない。今月中旬の「G20サミット」でどういう対策が打ち出されるのかによって、グローバリゼーションの今後がある程度まで見えてくるのではあるまいか。

President Elect Barack Obama Chicago Victory Speech(Pt 1)

President Elect Barack Obama Chicago Victory Speech(Pt 2)

President Elect Barack Obama Chicago Victory Speech(Pt 3)


それにしても、消費税のめくらましと選挙対策に給付金をばらまくという発想の下劣さ・貧困さはなんなのだろう。麻生の馬鹿面とオバマの高貴な表情の違いは、そのまま人間の格の違いだろう。




七夕や秋を定むる夜のはじめ
  (赤冊子草稿)

■元禄7年作。「秋を定むる夜のはじめ」に惹かれた。「夜の秋」という季語があるように、秋は夜訪れる。芭蕉は「はじめの夜」と「夜のはじめ」で迷い、折々吟じてこの形に決定したという。推敲のひとつのあり方を示していて参考になる。「夜のはじめ」とすると、今後も徐々に秋が定まって行く時間の流れの中に読み手が置かれるように思う。



Sound and Vision

Horowitz plays Chopin Ballade 1


※)Firefox & Windows(Safari)でYouTubeの動画が動かない場合には、Flash player10をインストールしてみてください。ここ
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ドイツ語の俳人たち:Alexis Margret Dossler(3)

■旧暦10月7日、火曜日、

(写真)斜面

久しぶりに筋トレに行く。メニューを作ってくれたトレーナーの方がいたので、忘れてしまったメニューについていくつか質問。バランスボールを使った腹筋、背筋が面白い。その後、風呂。なごむ。




Nebel am Morgen
Ein Haiku schreibt sich selbst
Drei leere Zeilen


朝霧
俳句が自然に生まれる
文字なき三行


■この句には、驚いた。Drei leere Zeilen(文字なき三行)というフレーズは、実に詩的で読み手の想像力を刺激する。アレクシスさんの感性は、とても面白いと思う。今回も写真と一緒に。



Sound and Vision

Elisabeth Schwarzkopf: "Im Abendrot" (with translation)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

Richard Wrightの俳句(70)

■旧暦10月6日、月曜日、、文化の日

(写真)熊笹

曇っていて寒い。朝から、仕事である。さてと。




As still as death is,
Under a circling buzzard,
An autumn village.


その静寂は死に等しい
ノスリが空に円を描く
秋の村



(山頭火)
しづけさ、竹の子みんな竹になつた
  『草木塔』

■ライトの句、秋の村のしづけさが、ノスリの運動で際立っている。そこに惹かれた。山頭火の句は、竹の子の成長という時間の経過にしづけさを感じ取っている。時間の経過は生の中に死をすでに宿しており、そこに山頭火はしづけさを感じ取ったのかもしれない。



Sound and Vision

Bartok: Solo Violin Sonata ("Melodia")
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

飴山實を読む(86)

■旧暦10月5日、日曜日、

(写真)山の芒

朝方まで、惣領冬実の『チェーザレ』を読んでしまい、昼まで眠。午後、掃除。夕方、自転車のベルの交換に出かける。弾いて音を出すタイプが壊れにくいらしいので、それにする。モスで少し仕事。



櫟落葉竹の箒のすぐあとに   『花浴び』

■今、櫟落葉が一枚落ちたような臨場感があって惹かれる。動詞は使っていないが、世界の動きを的確にとらえている。



Sound and Vision

John Williams & Julian Bream: C.Debussy-Clair de Lune
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

芭蕉の俳句(203)

■旧暦10月1日、土曜日、

(写真)浮雲

午前中、病院。午後、仕事。北風が吹いて寒い一日。日ざしは明るい。さそうあきらの『神童』読了。映画より原作の方が筋が複雑で、ノダメのようなノリもあり、いかにも漫画的であり、面白かった。御子柴教授がいい味。




ひやひやと壁をふまへて昼寝かな
  (笈日記)

■元禄7年作。「ひやひや」という足の裏の感触が気持ちいい。子どものころの感触を思い出した。



Sound and Vision

Accoustic Buddy Guy in 1969
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
   次ページ »