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Richard Wrightの俳句(72)

■旧暦10月26日、日曜日、

(写真)冬の光

数年ぶりに風邪をひいて、今日は、俳句を作る以外、何もせず。湯ざめが原因か。




As the music stops,
Flooding strongly to the ear,
The sound of spring rain.


音楽が止むと
耳に激しく水走る音
春の雨


(放哉)
秋の雨朝より障子しめきりつ


■ライトの句、たとえば、凡兆の灰汁桶の雫やみけりきりぎりすと比べてみると面白い。ライトの句の音楽は、なかりの大音量だった様子がわかる。それが止むと水があふれてくる音が強く耳についたのであるから。一方、凡兆の蟋蟀の音は、気がつけば聞こえてきた、というかなり微妙な味わいである。蟋蟀の音が聞えたことで、逆に、灰汁桶の雫が止んだことを悟っている。ライトの句の音は音楽と春雨という人間と自然の対比。凡兆の音はどちらも作為がない音。双方が自然の音のようである。一方、放哉の句は、障子の内側に秋雨の音が聞こえてくる。これも派手な音ではないだろう。障子の内側の放哉と秋雨が溶け合っているかのようである。



Sound and Vision

山鹿市立山鹿中学校 「生きる」(2007年改訂版)
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