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蕪村の俳句(43)

■旧暦12月15日、金曜日、

(写真)無題

近くの坂の白梅が咲いた。毎年、この花を見ると、春が来た思いがする。ヴァレリーの墓碑には、こんな詩句が刻まれている。

Patience, patience,
Patience dans l’azur !
Chaque atome de silence
Est la chance d’un fruit mûr !

Paul Valéry Palme

耐へよ、耐へよ、
碧空のもとに耐へよ!
沈黙の粒の一つ一つが
熟れた実となる機会である!

中井久夫訳

詠まれた対象は「棕櫚」で梅ではないが、なんとなく、梅と共通するものがあるように思う。

さっき、毎日新聞の英語俳句欄を見たら、どうやら、ぼくのらしい英語俳句が掲載されている。相当前に送ったものであるから、ほとんど忘れていたのだが、日本語ではなく英語で書かれていると、時間が経てば経つほど、自分が書いたように思えなくなる。奇妙な感覚である。




乾鮭の骨にひゞくや五夜のかね
   「夜半叟」安永六年

■五夜のかね=後夜のかね、夜明けの勤行の鐘。鐘の音が骨に響く、という発想は体感的によくわかる。乾鮭の骨ばかりか、自分の骨のことでもあるだろう。始めから自分を乾鮭に喩えたとすると、諧謔の味わいがあってなお面白い。


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