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381系乗り納め

2015年10月29日 19時17分24秒 | 旅行記
いよいよ明日で引退を迎える関西圏の381系ですが、撮影に比べると乗車の機会にはあまり恵まれませんでした。
記憶にある限りでも僅かに2,3回、「乗るなら287系」と考えていたことも要因の一つでしょう。381系自体は引き続き「やくも」で残るものの、あちらは室内が大幅に改造されているのでまた異なった印象があります。いずれにせよ、この381系が去ると京都口の山陰本線から国鉄型の特急車両が消えてしまうことから、その乗り心地を記憶に留めるべく、ふと思い立って乗り納めの旅に出たのでした。


二条から「はしだて7号」に乗車します。この日は増結された6両編成での運転。
駅へは大学からJRバスで向かったのですが、7分も遅れて来たので冷や汗ものでした。何とか間に合ったから良かったものの、車内には高雄や栂ノ尾からの帰りなのか、ガイドブックを片手にした観光客の姿がちらほら。紅葉はまだ先ですが、既に秋の観光シーズンに突入していることを実感しました。


惜別乗車ということで大学生協で指定席を調達、あてがわれたのは5号車7番D席となりました。
前の席は1人掛けという特異な座席配置ですが、これは窓柱間の冷暖房ダクトがあることによるものです。通路に寄った1人掛け席が何ともハズレ感を漂わせますが、今回座ったその後ろの席は通常の2人掛け。つまり前に人が居なければ気兼ねなく足を伸ばしてくつろぐことが出来、ある意味「乗り得」な席と言えるでしょう。

時刻は15時30分を回ったところで、我が5号車の乗客は数人。週の真ん中の平日ともあれば乗車率はこんなものでしょうか。
園部から先はスピードダウン、そして横揺れが加わって183系時代を思わせます。ボロい特急型車両が車体を揺らしながら山間をノロノロと走っていく、このイメージこそがまさに、私のなかの「山陰本線」。もちろん、普段の利用者からすれば快適な新型車両が良いに決まっていますが、私はどうしても郷愁を見出してしまうのです――。

沿線の随所に撮影者の姿を見つけながら、ウトウトしていると福知山到着。


素晴らしい夕陽が迎えてくれました。


ホーム端に移動すると、新大阪からの「こうのとり15号」が到着。束の間、381系同士が並びます。
週末からは683系改め289系に、あの見慣れた流線型顔の並びに代わるとは未だに信じがたいことです。それほど私のなかで「北近畿特急=ボロ」のイメージが染み付いていたこともありますが、いよいよ北陸特急と同レベルに統一される時が来るんですね。


「はしだて7号」は悠々と10分停車、その間に「こうのとり15号」が先に発車します。
傾く夕陽に向かって走るその姿は、まるで国鉄型特急車両そのものの運命を表しているようで……今まさに、斜陽のとき。


そして、「はしだて7号」も発車。京都丹後鉄道へと乗り入れていきます。

列車を見送った後は、夕食を調達するべくいったん改札を出場。
駅構内にはファン撮影の写真が展示されており、長らく当地を走り続けてきた「国鉄特急色」の引退に対する盛り上がりが見てとれます。
合わせて帰りの特急券も購入。乗車券は予め山陰・福知山線経由のものを持っています。と、いうことは……


帰りも381系、今度は福知山始発の「こうのとり22号」に乗ります。
今まであまり馴染みがなかった福知山線の特急ですが、とんぼ帰りも面白くないのでこのルートを採りました。
この西日本タイプの幕式表示もこの381系が最後ですね(「やくも」はLED化)。北近畿特急は愛称部分が色分けされているのも特徴でした。


これが最後の乗車機会ということもあり、奮発してグリーン車へ。
とは言え、100km以内であれば指定席との差額は数百円に留まります。このグリーン車は普通車からの改造であり、新幹線車両から転用されたシートが並んでいるのも特徴。0系・100系が引退したいま、その豪華な座席を体験することが出来るのです。


こちらもダクトの関係で1人掛けの座席が存在しますが、そこはアッパークラスへの配慮か、窓側に寄せられているので普通車ほどは気になりません。ただ、改造車ゆえに窓割が合わない座席があることと、ダクト真横の1列席だけは若干通路にはみ出しているのが特徴です。


そして、今回利用したのはその前の席(大阪行きだと5番席)は異様に広いシートピッチとなっています。先述の通り普通車からの改造によるものですが、おそらく座席数を合わせるべくこのような措置がとられたのでしょう。フットレストは……よほど長身でない限りは用をなしませんね。身長170cmの私はなんとか届きましたが、そうすると浅く腰掛けることになるので、結局使いませんでした。


窓の外を見れば、豊岡からやって来た「たんごリレー6号」が到着。
もともとは「タンゴエクスプローラー」が、この「こうのとり22号」のスジで豊岡から新大阪まで直通していましたが、今では福知山で分断されてしまい、乗り換えが必要となりました。せめて同一ホームであれば楽でしょうが、会社線が異なるので難しいのでしょうね。
窓枠には「くろしお」色の名残りが見られます。

続いて隣のホームには京都行き「きのさき20号」が到着。合わせて2列車の乗客を受けて「こうのとり22号」は発車します。外は既に暗く、グリーン車の乗客は私を入れてたった3人。それでも、検札に来た車掌さんは切符を確認する際に日付・列車名・席番を読み上げられ、終始丁寧で好印象でした。しかし、車両の方は引退を前にして限界が来ているのか、この日は1号車(よりによってグリーン車!)の洗面所・トイレの水が出ず使用停止の旨を知らせる放送が流れ、既に末期の様相。そういえば、183系も引退前には車内の自販機が非稼働という寂しい状態でした。

柏原、篠山口、三田と、各駅ごとに数名の撮影者が迎え、列車は武田尾渓谷へ。
山陰線で言うところの保津峡と似たような景色ですが、どれだけ列車が早くなろうとも、この山峡の「隔絶」による心理的な遠さはおそらく今後も変わることはないのだと思います。京都から亀岡に行くにも、乗ってしまえばものの20分程度で着きますが、やはり心理的距離感の長さはなかなか拭えず、今年に入るまで(381系引退の報が聞こえてくるまで)私が嵯峨嵐山以北での381系をあまり撮ってこなかったのもそうした理由によるものです。


グリーン料金を100km以内で収めるべく(笑)、宝塚で下車。大阪駅などでもそうですが、通勤電車の行き交う綺麗に改装された駅ホームでは、国鉄特急色は浮いて見えます。
待ち構えていた数人のファンと共に見送った後は、これまた節約、阪急の株主優待券を利用して帰洛しました。

183から287系・289系への中継ぎとしてショート・リリーフに収まった北近畿特急での381系でしたが、やはり最後の国鉄特急色としての存在感は大きく、その掉尾を飾ることとなったのは同車にとっても幸せだったのではないでしょうか。私自身も元々は縁のなかった車両ながら、振り子式車両としての特異さや、改造・転用を経た国鉄型ならではの車歴を知るにつれて次第に興味を惹かれる存在となり、今回の乗車をもって強く印象に残ることとなりました。次は是非、381系の本領を味わえる伯備線へ足を延ばしてみたいと考えています。

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