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白川総裁の弁解

2010年03月12日 18時22分18秒 | 経済関連
前の記事に関連してだけど、ここまで酷い言い訳というか、責任逃れみたいな態度は中央銀行総裁としてどうなのよ?
論外である。選んだ民主党の責任は重い。鳩山政権はその尻拭いをすべきだ。


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量拡大だけでの景気刺激効果は限定的=日銀総裁 | Reuters

(以下に一部引用)

さらに、米国でも今回量を拡大したが、米のコア物価は低下しているとして、米国でも日本でも「マネタリーな要因だけで、ただちに物価が変動するということではない」と説明。「低金利をしっかり維持することで、需要を刺激することに努めている」と訴えた。

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白川総裁の反論は、「米国のコアCPIだって下がってるだろ」というものだ。たった1例の実例を挙げても、それが正しいということを立証したことにはなりませんよ。


米国の数字を拾ってみたよ。面倒くさかったけど。


08年     CPI コアCPI

  01月   0.4   0.3
  02月   0.0   0.0
  03月   0.3   0.2
  04月   0.2   0.1
  05月   0.6   0.2
  06月   1.1   0.3
  07月   0.8   0.3
  08月   -0.1   0.2
  09月   0.0   0.1
  10月   -1.0  -0.1
  11月   -1.7   0.0
  12月   -0.8   0.0
09年
  01月   0.3   0.2
  02月   0.4   0.2
  03月   -0.1   0.2
  04月   0.0   0.3
  05月   0.1   0.1
  06月   0.7   0.2
  07月   0.0   0.1
  08月   0.4   0.1
  09月   0.2   0.2
  10月   0.3   0.2
  11月   0.2   0.0
  12月   0.2   0.1
10年
  01月   0.2  -0.1

  (単位 %、前月比)

米国の物価についていえば、かろうじてマイナスに落ちることがどうにか回避されてきた、というところではないか。白川総裁の如く量を拡張せずに来ていたとすると、もっと以前からマイナスに転じてしまうか、落ちる幅がもっと大きくなっていた可能性はある。


愚か者の場合、「輸血したのに、血圧が下がったではないか」=だから輸血は効果がない、みたいな、短絡的思考になるのかもしれないが、それを正当化されても困るわけである。血圧が下がったからといって輸血はしない方が良かったとか、輸血しても改善効果はない、などという結論を出されたら、怪我や手術で大量出血している人がいても輸血できなくなってしまうぞ(笑)。結果として「血圧が下がる」という現象が観察されたとしても、輸血していなければもっと低下してヘタすりゃ死んでいたかもしれない、というのが普通だっての。
(こうした話は以前に何度も書いたけど)


米国はまだ日本のようなデフレには陥っていない。総合指数は前年同月比で09年にかなりの落ち込みがあったが、これは仕方がないであろう。07~08年半ばにかけて、かなりのインフレ率となっていたはずなので、その反動というものがあるはずだし、当然リーマン・ショック後には落ちるのは避けがたい。

コアの落ち具合というのは、原油や食料品(小麦や肉類とか)価格が08年くらいからすると、低下した影響なんかもあるのかもしれない。あと、ドル安がそこそこ回復したということもあるかな?
ユーロが結構ヤラれたからだろうね。あくまで相対的な評価だから。


なので、白川総裁の説明は正しいとも言えない。

大体、『マネタリーな要因だけで、ただちに物価が変動する』なんて理論を出してる学者とかがいるのか?
そんな命題は経済学の学界にあるのか?(笑)
誰もそんなことを言ってないんじゃないのか?
ああ、例の本の題名か帯だけをチラ見してしまって、鶏冠にでも血が上ったんじゃないのか。まあ、よっぽどカチンと来たのかもしれんがね。

それから、日銀がマネーを増やさなかった日本では、CPIは戦後最大の落ち込みとかを記録したんじゃなかったか?どうして、金融システムにダメージを受けなかった日本では、物価下落がここまで大きくなると思うか?
米国は増やしたからこそ、日本ほどにはマイナスになっていない、という解釈は不可能ではないわな。かろうじて落ち込みを防いできた、ということさ。だが日本では、愚かな日銀が増やさないと強硬に言い張って、その結果連続下落&戦後最大の落ち込みを記録したんだろ。増やした米国や中国と、増やさなかった日本では、結果が違うだろう?何でだと思うか?


IMFに招聘されるのも、中国人民銀行の幹部であって、日銀幹部じゃないだろ?
どうしてだと思うか?

愚か者をいくら呼んだって、役には立たないから。どうせなら、きちんと理論や理屈について思考力のある人物を据えた方がいいに決まっているからね。



中国の為替動向とオバマ大統領の思惑

2010年03月12日 15時37分10秒 | 経済関連
オバマ大統領が中国に対して暗に人民元引き上げを求めた、ということになるだろう。そのようには表現されていないんですがね。

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オバマ米大統領、中国に一段と市場原理に基づく為替制度への移行求める | ビジネスニュース | Reuters

(以下に一部引用)
大統領はスピーチ原稿で「以前にも述べたが、中国が一段と市場原理に基づく為替レートに移行することは、世界的な不均衡の是正努力に対して重要な貢献となるだろう」と述べた。各国が不均衡是正に努めなければならないとし、「対外赤字を抱える国は貯蓄と輸出を拡大する必要があり、対外黒字を抱える国は消費と内需を促進する必要がある」と指摘した。
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これはまあ、ごく当たり前の言い方ではある。「市場原理に基づく為替レート」というのは、誰もが言い続けてきたことであるからだ。
例えば、拙ブログにおいても、全く同様の忠告をしたことがある。
NYTは中国の債権を怖れる腰抜け

この中で、次のように書いた。
『NYTは中国に腰を低くしろ、とか大統領に求める前に、逆に「人民元は変動相場制にすべし、自由資本主義の取引に参加する以上、市場の取引ルールに従うべき」ということを強く主張するべきだろう。そうすることこそが、最も安全に米ドルや米国債を守れる唯一の方法なのだということを知るべきだろうね。』

これは当然として、最近の中国の状況というのは、どうやら「デフレ傾向」から抜け出た、ということになってきたので、為替の緩徐な変動を再開するのではないか、という観測が出てきているようだ。まあ、インフレ率があまりに高くなり過ぎるとか、国内的にバブル化するのは運営が難しくなるので困る、ということになるからね。

ロイター記事がよくまとまっていて、分かりやすい。
中国、人民元切り上げでバブル退治とドル・リスク軽減へ | Reuters

中国人民元については、ロイター記事と同じく(笑)、拙ブログでも書いてきた通りである。大体、いい線いってるんじゃないか?

09年3月>中国よ、お前もか(笑)

デフレ傾向に陥った中国は、マネーサプライを増加させ、為替ペッグで対応し、昨年後半からは物価上昇率がマイナス圏からプラス圏に戻ってきて、今年に入ってからは1.5%、2.7%と戻してきた。

09年11月>デフレに悩む人民元?

この中で触れたように、反転してからは中国人民銀行が引き締めに転じたであろう、ということだな。量的にもマネーサプライを絞り、貸出ローンの頭金規制などの不動産市場冷却措置をとってきていた。昨年終わりから姿勢を転換してきていても、急には実体経済に効果が波及するわけではないからね。

重要なことは、中国はこうした手法を用いてマイナスの物価上昇率から脱出した、という事実である。


で、別にオバマ大統領が求めなくても、放っておいたとしても、中国は自らの判断でインフレ抑制と国内投資過熱を防ぐといったことから、為替の変動を受け入れる、という方向に転換してくるだろう、ということです。なので、今後に人民元が対ドルで上がっていったとしても、それはオバマ大統領の手柄とか中国が米国の求めに応じたといったことではない、ということです。

しかし、オバマ大統領にとっては意味があるわけです。
中国がどうやら今後に人民元引き上げに向かいそうだ、という観測が出ているから、その確率はそこそこ高いでしょう。そして、事前にスピーチしていた通りになれば、「ほうーら、大統領であるボクが中国に言っておいたからだよ」ということにできるからです。まあ、それくらいは許してあげるべきなんですがね。

ま、日銀なんかと違って、量を増やした中国は早々にマイナス圏から脱出した、ということはよく覚えておくべきだろうね。