学生時代はお金が無かったこともあって旅先でもほか弁を食べたりしたものでしたが、今は郷土料理や土地のお酒を飲むことが一つの目的になっています。
グルメと呼ぶほどの豪勢なものには手を出せる身分ではありませんが、それでも以前に比べれば多少なりとも進歩はしていると思います。
特に意識をしたわけではないのですが今回は駅弁がゼロだったのが誤算ではありましたが、普段はあまり目にすることのない初物にもチャレンジをした北東北の旅です。
初日の昼は盛岡冷麺です。
盛岡の麺と言えば「わんこそば」「冷麺」「じゃじゃ麺」が有名なのですが、ここはオーソドックスに盛岡冷麺で勝負です。
初めて食べたのですがかなりコシの強い麺は強烈でしたし、なぜにスイカと疑問にも思ったのですが、カクテキの辛さに痺れつつも後味はさっぱりで意外な美味しさでした。
先入観からか地元でメニューにあっても手を出してこなかったのですが、今後は普通に食べることになるかもしれません。
国盗り合戦の都合で泊まりは大湊だったのですが、夜も更けていたのでホテルの近くの居酒屋で夕食をとりました。
下北の地酒である関の井はほどよい辛さで、これはかなりのお気に入りのレベルです。
ただ残念ながら門外不出で青森ですらほとんど見かけないとのことで、飲みたければ下北まで来いということなのでしょう。
メインディッシュは帆立味噌貝焼きで、この帆立のごろごろ感には驚きました。
せいぜい3個ぐらいかと思っていたら片手では足りないぐらいで、玉子とじにして食べます。
味噌の味もさほど強くないことで素材の味が引き立っており、酒のつまみにはピッタリですので定食にしたことをちょっと後悔しました。
二日目の昼は八戸の郷土料理であるせんべい汁を食べようと思っていたのですが、八戸駅前で催し物があったのでそちらに流れてしまいました。
各地の名産らしきものが出店となっており、これが週末にいつもやっているものなのかこの日が特別だったのかは分かりませんが、かなりの賑わいでした。
こういったところから流れてくる香りに惹きつけられてしまうのは、どうにも避けようもない宿命のような気がします。
八戸はイカの水揚げ量が日本一だそうで、この日に水揚げをされたイカ焼きをつまみに昼からビールをかっくらいました。
せっかく新鮮なイカなのでイカそうめんの方がよかったのですが、イカ焼きもぷりぷりとして美味しかったです。
また青森シャモロックをダシにしたラーメンも食べましたが、こちらはただの中華そばでした。
それでもやはりせんべい汁は外せないだろうと、少し時間をおいてからのチャレンジです。
白菜やごぼうなどが入った醤油ベースの鍋に、かやきという専用のせんべいを割って煮込みます。
かなり煮込んでも歯ごたえがあり、どこか以前に食べたきりたんぽ鍋に似ているかなとも思ったのですが、いずれにせよ何とも言えない食感でした。
餅を入れればお雑煮みたいな感じで、冬場であればもっと味わえたかもしれません。
弘前泊まりでしたので夜は青森の郷土料理をと意気込んだものの、これといったものが見つからずに「がんばろう東北フェア」に乗ることにしました。
三島シトロンは青森は八戸の地サイダーで、これをサワーにして飲んだのですがただのサイダーでした。
なぜかメニューに青森の地酒がなかったので選んだのですが、何とも言えない微妙さがあります。
左から岩手は遠野のジンギスカン、宮城は仙台の牛タン塩焼き、福島は浪江の焼きそばです。
なぜに遠野でジンギスカンかは不明ですが、ちょっと胡椒が効き過ぎで、また羊肉ではなく牛肉のように感じたのは自分の舌が貧弱だからなのでしょう。
お馴染みの牛タン塩焼きはそのままでも美味しいのですが、付け合わせでついていた味噌漬けみたいなものをくるむとさらに美味しいです。
浪江の焼きそばは麺がすこし太いこと以外は普通の焼きそばで、どういったところが名物なのかがよく分かりませんでした。
三日目の昼は弘前でけの汁を食しました。
大根、人参、ゴボウ、蕗、豆腐などを細かく刻んだものが味噌仕立ての汁に煮込まれていて、どこか懐かしい味がします。
これも冬場にぐつぐつと火にかけながら食べればもっと美味しかったと思うのですが、それでも充分に舌を楽しませてもらいました。
なにげにリンゴの寒天ゼリーも絶品でした。
秋田に着いたのがこれまた遅かったので、ホテルのレストランでお手軽に夕食を済ませました。
重右衛門の酒は秋田の地酒ですが残念ながら自分には合わず、どうにも口あたりの悪さに閉口をしたのが正直なところです。
旅先で飲んだ日本酒ではこれまでで一番の不味さで、もちろん人それぞれの好みがありますので個人的な評価ですが、自分的には大失敗でした。
比内地鶏の唐揚げはJAROに通報をしようかと思ったぐらいの小ささで、これでは歯ごたえもへったくれもありません。
やはりきりたんぽ鍋に入れるのが、比内地鶏としてはベストなのでしょう。
はたはた鮨は単なる酢漬けでしかなく、きりたんぽ田楽もきりたんぽなのか田楽なのかが中途半端だったりもします。
やはり適当に近場でごまかすとこうなってしまうのだなと、四国に行ったときのように町を徘徊しなければダメだと痛感をさせられました。
最終日の昼は横手でB-1グルメで優勝をしたこともある横手やきそばに挑戦です。
冒頭の写真にある四天王を始めとしてほとんどの店が14時で終わってしまっていたために選んだのが「へのかっぱ」なのですが、それでも銀賞に輝いている店です。
店内ではちょうど野田首相が誕生をしたニュースが流れていて、自分の地元の船橋出身なんですよというどうでもいい話に付き合ってくれる気さくなご夫婦が営んでいます。
やや甘めのソースはビールを飲みたくなるぐらいの濃厚さがあり、特徴でもある半熟の目玉焼きを絡めて食べれば絶品です。
見た目よりはかなりボリュームがありますし、なるほどグランプリに輝くだけのことはあります。
紅ショウガではなく福神漬けがついているのが意外でしたが、全体的に甘めに仕上げるための工夫なのかもしれません。
次は同じくB-1グランプリの富士宮やきそばを食べてみたいと、そんな目標ができました。
今回の旅の最後の食事は、懲りもせずにセット定食です。
いろいろな郷土料理がひとまとめに食べられるので楽と言えば楽なのですが、一つ一つの出来が高いとは言いがたいものがあります。
それでいてそこそこのお値段ですので、何とも微妙な感じです。
前日のきりたんぽ田楽が今ひとつだったので、きりたんぽ鍋は外せないと頑張ってみました。
醤油ベースの鶏のだし汁にゴボウ、しらたき、せり、長ネギ、そしてきりたんぽと比内地鶏です。
やはりこう食べてみるとせんべい汁に似ているなと、B級な自分の舌がそう訴えてきたのですが、とにもかくにも美味しかったです。
この夏場にいろいろな鍋を食べることになりましたが、繰り返しになりますが次は是非とも冬に味わってみたいものです。
再び登場のはたはた寿司は、前日とは違ってかなり麹の香りがきつくて往生しました。
ただきっとこちらが本来の姿に近いのだと思われ、これはこれで一つの経験です。
とんぶりとろろはぬめり系が苦手な自分は一口でギブアップ、こればっかりはどうにもなりません。
ただ帰ってきてから調べたところとんぶりは畑のキャビアとも呼ばれるつぶつぶなもので、どうにも全然違う姿に驚いています。
そして稲庭うどんはやや細めの平打ち麺で、あまりコシが無かったのは伸びてしまったからなのかもしれません。
やや薄口のだしは自分好みでしたので、最後を締めくくるにはよかったと思います。
今回の旅もいろいろな初めてを楽しむことができましたが、やはり強行日程を組んだことが裏目に出たことは否めません。
夜遅くに宿泊地に着くことが多かったことで手近で済ませたことが失敗に繋がりましたし、気持ち的にじっくりと見極める余裕もありませんでした。
この反省を次に活かせるどうかは今後の自分次第ですが、それでもこれだけのものを食べることができたことだけでも大満足です。
膨大なカロリー消費をしながらも体重が変わらなかったことが、その満足度をしっかりと裏付けています。
【2011年8月 北東北の旅】
がんばろう東北
がんばろう東北 旅情篇
がんばろう東北 旅程篇
がんばろう東北 史跡巡り篇 盛岡、三戸の巻
がんばろう東北 史跡巡り篇 八戸の巻
がんばろう東北 史跡巡り篇 弘前の巻
がんばろう東北 史跡巡り篇 秋田、横手の巻
がんばろう東北 おみやげ篇