5点差をひっくり返される試合などは珍しくもないのですが、これが逆にひっくり返したともなると上を下への大騒ぎです。
先日に5年ぶりに日本ハムに勝ち越したのに続いてオリックスにも3年ぶりの勝ち越しですから、長い間に培ってきた苦手意識も払拭できたことと思います。
気がつけば貯金は再び2桁に手のかかるところまできましたので、気を緩めることなく3タテを食らわしてオリックスを蹴落としましょう。
左打者が不調なときには左腕にぶつける方がよい、とはよく聞く話で、肩が開かないように意識がいくのでフォームにタメができるのが理由だったような気がしますが、復活への糸口を見つけかけていた大松にとってはいいきっかけになったと思います。
今日の3安打はいずれも左腕から放ったもので、そのうち2安打は飛んだところがよかっただけという感じがありましたが、強く叩いて引っぱったことがよかったのでしょう。
サヨナラアーチは打った瞬間にそれと分かる豪快な一打で、これまでのモヤモヤとしたものを吹っ飛ばすぐらいの価値のあるものであったと言えます。
また私ですらスタメン落ちがあるのではと考えていたところへ打順を下げるだけで使い続けた西村監督の辛抱の勝利、そういう見方もできます。
福浦もすっかりとスタメンに落ち着いていますし、単に竹原らの右打者が不甲斐ないだけということもあるのでしょうが、以前に比べればいい傾向になりつつあります。
三歩進んで二歩下がる、の繰り返しではありますが、大松の復調とベンチの変化に期待をせずにはいられません。
ベンチと言えばオリックスの岡田監督は、敵ながら天晴れと言える選手起用を見せてくれました。
井口に満塁アーチを浴びたとは言え5回途中までロッテ打線を手玉に取っていた中山を勝利まであと1人というところで降板をさせたり、まだ同点の9回に主砲のT-岡田に代走を出すところなどはロッテでは考えられない采配です。
思い切った作戦を決断できることは才能の一つですし、巨大戦力を預かったからこそとの批判をはね返すに足るリーグ制覇監督の手腕ぶりです。
結果はどうあれ羨ましく思ったのが正直なところで、オリックスはいい監督を招聘したと思います。
先発の吉見は鬼のような立ち上がりで「これなら清水とのトレードと考えても遜色ないんじゃないか」なんて思ったりもしたのですが、世の中はそう甘くはなかったです。
得意のカーブを駆使してオリックス打線を翻弄するところなどはエースの風格すら漂っていましたが、二巡目に入って不運なヒットなどで迎えた満塁のピンチでそのカーブが甘く入ったところをスタンドまで運ばれた途端に、あれだけ自信満々だった表情に陰りが出ました。
このあたりが吉見が吉見である所以なのでしょうし、力がありながらも横浜で大成できなかった理由なのでしょう。
それでもキレのあるストレートにカーブ、スライダーと一線級のボールを投げられるのですから、やはり吉見はロッテに必要な選手です。
コントロールも悪くはありませんし、心と体のスタミナさえつけば充分にローテーションで投げられる投手であることを再認識した今日の投球内容でした。
吉見が早々に降板をしたことで中継ぎ陣に歪みが出たことは仕方のないところではあるのですが、やはりここのところの小野の酷使が気がかりです。
イースタンで100球を投げてから中3日で1軍に登録をされたのですが、そこから12日間11試合で7試合に登板をしています。
いきなりの3連投もありましたし、このオリックス戦も連投です。
実に8回2/3の140球と1試合分を投げている勘定ですし、ブルペンでの投球練習を入れると相当な負担がかかっていることは想像に難くありません。
腰痛などの持病を持つだけに中継ぎでの起用はないと見ていたところへのフル回転ですから、心配をするなと言う方が無理でしょう。
それでも小野はベテランらしい味のあるピッチングを披露してくれるところなどはさすがで、最近の勝負球であるカットボールではなく往年のシュートを多用したのは外様の的場がかつてのイメージでリードをしたのだと思って見ていましたが、当たらずといえども遠からずだと思います。
この新鮮さが的場の売りなのですが、その効用も長くは続かないでしょうから目先を変える斉藤らの起用もベンチには考えてもらいたいです。
ちょっと脱線をしましたが、今後もきついポジションでの起用が続くと思われる中で小野には壊れずに最後まで投げきれるシーズンとなることを願っています。
その小野の助けに少しでもなって欲しい上野なのですが、前回の登板に続いて今ひとつの結果に終わりました。
春先に故障をした箇所がどこかを知らないのですが、もう少しストレートにスピードとキレが無ければ現状のコントロールで乗り切るには1軍の壁は高すぎます。
外角に気持ちの乗ったストレートが何球か決まりましたし、そのときのボールは数値以上の力が感じられましたので、やはり上野には黒木を継ぐ力があるはずです。
先発として期待をされているのか中継ぎとして望まれるのか、チームの方針がハッキリとしないところは上野にとって不幸ではあるのですが、そのどちらであっても応えられるだけの準備をすることが上野にとっての使命でもありますので、今後の鍛錬に期待をすることにします。
打線は主審の個性的なストライクゾーンに悩まされたところはありましたが、それにしても見送りの三振が目立ちました。
初めてぶつかる審判でもないので、際どいコースは手を出すぐらいのことはして欲しかったです。
その打線で目立ったのはやはりバントで、難しい状況で見事に決めた的場とミスをした渡辺正が今の立場を象徴しています。
レギュラーとして気持ちの余裕がある的場と不安定な立ち位置の渡辺正、それが言い訳になるわけでもないのですが、出番の限られる渡辺正には気の毒なところもあります。
しかしそんなことも言っていられませんし、今江の状態が気がかりながらも渡辺正には自分のできることを確実にやっていくことを心がけてもらうしかありません。
頭と上体が突っ込み過ぎなスイングを繰り返す金泰均よりも、今日はこの二人のバントの優劣が強く印象に残りました。
その他では満塁アーチをバックスクリーンに叩き込んだ井口の昇り調子ぶりや、左腕を苦にしないところを見せつけた福浦、今日のマルチヒットでシーズン200本安打への再挑戦をスタートした西岡、そして密やかな駿足ぶりを披露した清田など百花繚乱の趣きがありました。
とは言い過ぎですが、それでもひと頃のどん底は抜け出したと思いたいものです。
もっとも相変わらず見慣れた顔ぶれでなければ落ち着かないのか10人野球で延長を戦ったことはマイナス材料で、選手たちはそれが当たり前だと思ってプレーをしているのか、それを疑問に思うコーチは存在しないのかを激しく知りたいです。
現場がそれで満足をしているのであれば周りがどうこう言うことではないのかもしれませんが、孫を見守る爺婆の心境から抜け切れそうにはありません。
ただただ心配でくどくどと、あと1ヶ月ほどのペナントレースにやきもきしそうです。
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
計 |
安 |
失 |
オリックス |
0 |
0 |
0 |
4 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
6 |
13 |
0 |
千葉ロッテ |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1X |
7 |
13 |
1 | |
◆8月21日(土) 千葉ロッテ-オリックス17回戦(ロッテ13勝4敗、18時、千葉マリン、28,142人) ▽勝 小林宏 41試合3勝1敗22S ▽敗 菊地原 18試合1敗 ▽本塁打 カラバイヨ4号(吉見)、井口13号(中山)、サブロー15号(前田祐)、大松15号(菊地原)
▽バッテリー 千葉ロッテ 吉見、上野、古谷、藪田、小野、小林宏―的場 オリックス 中山、比嘉、前田祐、鴨志田、平野、岸田、菊地原―前田大、鈴木
|