昨日に続く無為無策の展開で逆立ちしても勝つことができるはずもない試合でしたが、最後の最後にドラマが待っていました。
不愉快な思いで終わることを覚悟した週末が、一転して気持ちよく明日を迎えることができます。
ツキがあるときはこんなもの、そう言ってしまえば簡単なのですが、この3連戦での田中雅の活躍ぶりはまさに神が憑いたとしか思えないような感じです。
一昨日の決勝タイムリーに続いて今日の土壇場9回での同点タイムリー、西岡のサヨナラヒットも見事でしたが、まさに田中雅のためにあった試合と言えます。
一死一三塁で好調の今江を迎えた場面で、私はソフトバンクベンチが今江を歩かせて田中雅と早坂という経験の浅いバッターとの勝負を選ぶかと思いました。
しかしニコースキーの制球難から押し出しを恐れたのか今江勝負となり、結局は今江を歩かせましたが作戦としての敬遠と攻めての四球では意味合いが違います。
このチャンスに田中雅は見事にプロで一番いい当たりとも言っていい会心の同点タイムリー、田中雅ここにありという印象をロッテファンに植え付けました。
里崎が守備につけない状態ですから捕手としての出番も増えるでしょうし、田中雅にとっても第三の捕手を模索しているチームにとっても、非常に大きいこの週末の活躍でした。
サヨナラ劇を演出したのは大松とベニー、大松のツーベースは見事でした。
今年の大松は昨年までとは比べものにならないほど左腕を苦にしない成長ぶりを見せていますが、今日は右とか左とかに関係なく真ん中高めに入ったボールでしたので、大松としては打って当たり前だったかもしれません。
ですのでむしろその大松を三塁に進めたベニーのセカンドゴロ、私はこれを誉めたいと思います。
前の打席でヒットを打っているベニーですから「自分が」の思いもあったでしょうが、チームバッティングで右方向へ打とうとしていることが打席から見て取れました。
あの進塁打でプレッシャーを与えたことが非常に大きく、これこそが打線です。
ベニーにはバントも練習して欲しいのですが、走者が大松でしたのであそこはああいったバッティングしかなかったわけで、地味ではありますが意味のあったベニーの打席でした。
最終的には勝ち越すことができましたが、この3連戦で学ぶことは多かったと思います。
大場にしろ和田にしろ、あわやノーヒットノーランを食らうかのようなピッチングをされながらも、終盤にはヒットが出るようになっています。
これは仕掛けが遅いという面もあるでしょうが、要は前半に球数を放らせるなどスタミナを奪うような攻撃が出来ていないことに他なりません。
今日も故障あがりの和田にポンポンと早いカウントから打ってしまい、省エネピッチングをさせてしまったことはロッテベンチに猛省をして欲しいと思います。
ロッテ同様に馬原を欠いて中継ぎ抑えに不安を抱えるソフトバンクですから、いかに先発を早い回で引きずり降ろすかがポイントであることはわかっているはずです。
あの竹原のヒットがなければおそらくは完封負けをしていてもおかしくなかった今日の攻めを反省しない限り、勢いに乗って連勝というわけにはいかないでしょう。
その和田を引きずり降ろす先兵となった竹原、和田キラーの面目躍如で今季初ヒットですから、塁上でガッツポーズをしたくなるのもわかります。
もし今日ノーヒットに終わったら、神戸か今年も2軍で鬼のように打ちまくっている角中あたりと入れ替えになる覚悟はあったはずです。
前の2打席も外野に飛ばしていただけに期待はしていたのですが、あのセンターへ伸びる打球を和田から打てるのは今は竹原ぐらいでしょう。
これで今年も竹原はイヤな奴だ、ぐらいの認識を和田に持たせたのは非常に大きく、今後の対戦に向けて大きなアドバンテージを獲得したと思います。
先発した渡辺俊は、今日は持ち味の緩急が上手く使えていなかったと言うよりは、使わなかったことで苦しいピッチングとなりました。
今日は外角へのスライダー系のボールに頼りすぎた感があり、1廻り目の下位打線を簡単に打ち取ったことが4回の2失点に繋がりました。
前の打席で打ち取ったボールを狙い打ちにあったような連打で、これこそがロッテベンチが学ぶべきベンチワークです。
6回で10安打4失点では先発としては合格点はあげられませんが、それでも悪いなりに凌いだことは評価できます。
なぜ緩い球を今日はあまり使わなかったのかが気になりますが、次の登板に期待したいと思います。
1点ビハインドでの9回のマウンドに登ったのは荻野、私はシコースキーがくると予想していました。
流れとしては追い上げムードでしたので、何が何でも試合を取りにいくという意思を見せるにはいい起用であったと思います。
中1日空いていますし、明日が移動日ということを考えれば酷使にはならず、この投手起用は素直に誉めるしかありません。
ただこの起用でクローザーを荻野に固定して戦っていくと決めていないことも明らかになったわけで、暫くはアブレイユを横目に見ながらの起用が続いていくと思われます。
気になるのは守備の破綻、オーティズのファーストと堀のセカンドは投手の足を引っ張ることは間違いありません。
オーティズは5回の一死一塁でベース寄りのゴロを捕球しながらベースを踏まずにセカンドに送球し、結果的にピンチを広げるミスを犯しました。
先日も福浦なら軽く捌くような今江の送球をこぼしましたし、やはり急造一塁手では荷が重いのかもしれません。
堀も肩の衰えとともに横への打球に足がついていかなくなり、7回のゴロにも追いつけずに致命的になりかねない4点目の献上をアシストしました。
福浦がああいった調子なので仕方がないこととは言え、やはりオーティズはセカンドで堀はDHか代打がベストな布陣だと思います。
こういった布陣が敷けるように福浦やズレータが復調してくれること、これを待つしかありません。
余談ですが、マリーンズミュージアム脇でロッテOBがちびっ子の指導をしていました。
昨年は丸山や礒でしたが、今日は丸山と井上、そして平井もいました。
井上はにこやかに指導していましたし、丸山も裏方が長いこともあって慣れたものでしたが、一時代を築いた平井がどこか不満げな素振りを見せていたのが印象的でした。
何にせよこういった地域に根付くための活動にOBを活用することは、球団にとってもOBにとっても非常にいいことだと思いますので、今後も継続的に進めて欲しいと思います。
先発陣から毛嫌いされていたのかお披露目が遅れていた新だんだらユニフォームですが、やはりどこか田舎の草野球チームの様な感じがしてなりません。
そんなチームに打たれてなるものかと和田の好投があったわけでもないでしょうが、今日の登場も渡辺俊が選んだと言うよりはバレンタイン監督の意向が働いたと思われ、今日の劇的な勝ちっぷりもあって来週末も登場するものと予想されます。
グラデーションビジターは何となく慣れてきたのですが、やはり今日見た感じではこちらのだんだらには慣れられそうにもなく、暫くは違和感ありありの観戦が続きそうです。
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計 |
安 |
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ソフトバンク |
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0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
4 |
12 |
0 |
千葉ロッテ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
3 |
0 |
2X |
5 |
9 |
0 | |
◆4月6日(日) 千葉ロッテ-ソフトバンク6回戦(3勝3敗、13時、千葉、28,542人) ▽勝 荻野 6試合1勝3S ▽敗 ニコースキー 7試合1勝2敗1S ▽本塁打 本間1号(渡辺俊)
▽バッテリー 千葉ロッテ 渡辺俊、川崎、荻野―橋本、田中雅 ソフトバンク 和田、柳瀬、三瀬、久米、ニコースキー―山崎
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