電脳筆写『 心超臨界 』

自分を励ます最良の方法、それは人を励ますこと
( マーク・トウェイン )

なぜ日本人は日本のよいものを知ろうとしないのか――スティーブ・ネルソンさん

2024-09-12 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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昨年(2005年)開かれた国際文化フォーラムの基調講演で、片倉もとこさんは、文化のボーダーレス化について次のように語りました。

●多彩で複雑な文化を個人が選べるようになったのはボーダーレス化が進み、大移動時代になったから。人が移動すると、文化はもちろん、技術、金融、思想などさまざまなものが移動する。

●日本でも今、20組に1組は国際結婚。異文化の受容に抵抗が薄れ、生活様式も価値観も領域性も揺らいでいるのだ。

音楽に国境はないと言います。その言葉通り、伝統の音楽が別の文化圏の人に伝承されることが起こりました。日本人が筝(こと)を知らず、オーストラリア人のスティーブ・ネルソンさんに良さを教えてもらう、これが文化大移動時代の現代です。ネルソンさんは「なぜ日本人は日本のよいものを知ろうとしないのか」「大事にしないのか」と怒っています。


◆なぜ日本人は日本のよいものを知ろうとしないのか――スティーブ・ネルソンさん

『学校のほかにも先生はいる』
( 永六輔 祥伝社黄金文庫、p17 )

スティーブ・ネルソンさんという地方(ぢかた)さんがいます。

オーストラリアの人です。日本に来て20年、ラジオで話してもらうと誰が聞いても日本人と思うくらい、きれいな品のある日本語を話します。

それもそのはず、雅楽(ががく)や声明(しょうみょう)の美しさに惹(ひ)かれて研究しに来日した専門家です。はじめ鉦(しょう)と篳篥(ひちりき)を勉強しましたが、日本にきて下宿した家のお兄さんが筝(こと)を習っていたのがきっかけで、筝に惹かれたそうです。現在は京都の日本音楽研究センターで教えています。

オーストラリアは若い国だから、伝統ある古い音楽に惹かれたというわけではありません。オーストラリアには先住民族の音楽、ディジリデューがあります。音楽には国境はないと言いますが、時には民族や歴史を超えて、別の文化圏の人に伝承されることもある。日本人が筝を知らず、ネルソンさんに良さを教えてもらう、これが現代です。ディジリデューを日本の若者が研究する、そういうこともあるかもしれません。

ネルソンさんに言われました。

「筝と琴は同じコトでも違います」

あなたは、わかりますか?

僕の番組はできるだけ三味線(しゃみせん)や太鼓の音が聞こえるものにしたいと、続けてきました。それは、暮らしの中から日本の楽器や音楽が、消えてしまっているからです。

筝曲(そうきょく)は9割が歌を伴った音楽で、弾きながら歌う。筝が本来そういう楽器であったことも、おおかたの日本人はしりません。

僕もネルソンさんから教えてもらいました。

ネルソンさんは怒っているのです。「なぜ日本人は日本のよいものを知ろうとしないのか」「大事にしないのか」と。大学で日本の音楽を教えていると、学生は何も知らない。恐ろしくなるほど知らない。知ろうともしない。

「学生が悪いのではないんです。これまで日本が洋楽一辺倒の教育しかしてこなかったから、その結果です」

もうひとつネルソンさんから指摘されたのが、「ことは筝と書いてください。琴ではなくて」そうですね。筝には竹かんむりがなくては。

筝の数え方は“一面”“二面”といいます。これは僕も知っていました。
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