電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

不都合な真実 歴史編 《 ブルータス、お前もか!――有沢広巳/茂木弘道 》

2024-08-25 | 04-歴史・文化・社会
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戦争に負けたあと、日本の知識人、学者、教育者、宗教家といった知的なエリートに属する大量の人々が、みじめというか、醜(みにく)い変節を遂げました。自分は戦争に反対していたのだけれど、弾圧されて自由にものが言えなかっただとか、実は自分は自由主義者であっただとか、いろいろな口実で、戦前の発言の責任を取るというより、ごまかして新しい時流に乗るという現象が生れました。


◆ブルータス、お前もか!

『大東亜戦争 日本は「勝利の方程式」を持っていた!』
( 茂木弘道、ハート出版 (2018/12/1)、p209 )

あのすぐれた抗戦力調査をまとめ、日本が勝てる戦力の土台を作った偉大な有沢広巳ともあろう者が、こんな事実に反することを、のうのうと言っているのです。

まず、ここで言ったことには、ウソ、間違いがたくさんあります。林千勝氏は『日米開戦 陸軍の勝算』の中で10カ所ほど指摘しています。こんな短い文章で10カ所ですから、いかにでたらめな文書かが分かります。なによりも、報告書の結論が国策に反する、全部焼却せよと杉山参謀総長が言ったというところです。

これまで、いろいろ説明してきましたが、「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」は、有沢の「英米合作経済抗戦力調査(其一)があって初めてできたものです。にもかかわらず、それを、国策に反するから全部焼却せよと言われ、無視されたというのです。もう文書が残っていない(と当時は思われていた)のをいいことにして、これほどの大ウソをつく有沢広巳とは何者か? やはりお前も「ブルータスだったのか」と言いたくなります。

戦争に負けたあと、日本の知識人、学者、教育者、宗教家といった知的なエリートに属する大量の人々が、みじめというか、醜(みにく)い変節を遂げました。

自分は戦争に反対していたのだけれど、弾圧されて自由にものが言えなかっただとか、実は自分は自由主義者であっただとか、いろいろな口実で、戦前の発言の責任を取るというより、ごまかして新しい時流に乗るという現象が生れました。

日本人の弱さと節操の無さ、情けない良心の欠如ぶりが吹き出した、悲しく恥ずかしい現実でした。

私は、有沢広巳については左翼学者の中ではどちらかというと尊敬している一人でしたが、なんとこの人も、あの醜い日本人の一人に過ぎなかったのだと知り、愕然としたわけです。まさに「ブルータス! お前もか!」だったのです。
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