電脳筆写『 心超臨界 』

苦労に対する最大の報酬は
その引き換えに得るものではない
苦労したことで形成される人物である
ジョン・ラスキン

こころのチキンスープ 《 災いの価値——エジソン 》

2024-05-22 | 03-自己・信念・努力
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発明王、トーマス・エジソンの実験室は、1914年12月、火事でほとんど全焼した。被害総額は200万ドルを上回ったが、保険は23万8000ドルしかかけていなかった。コンクリートの建物は火事に強いと思われていたからである。エジソンが生涯をかけて作った試作品の多くが、この大火によって失われてしまった。


◆災いの価値

「こころのチキンスープ3」
( ダイヤモンド社、p146 )

発明王、トーマス・エジソンの実験室は、1914年12月、火事でほとんど全焼した。被害総額は200万ドルを上回ったが、保険は23万8000ドルしかかけていなかった。コンクリートの建物は火事に強いと思われていたからである。

エジソンが生涯をかけて作った試作品の多くが、この大火によって失われてしまった。

燃えさかる火事の真っただ中で、24歳の息子チャールズは、煙とがれきの中を、懸命に父親の姿を捜し求めた。やっと見つけて父は、目前の光景を静かに見守っていた。顔は火の照り返しで赤々と輝き、白髪が風に揺れていた。

「父の心中を思って胸が痛くなりました」と後日チャールズは言った。「父は67歳、もう若くはありません……。なのにすべてが火に呑まれてしまったんです。父は私に気づくと、大声でこう叫びました。

「お母さんはどこだ?」

「どこだかわからないんだよ」

「じゃ見つけて、連れてこい。こんなものはもう二度とお目にかかれないぞ」

翌朝、エジソンは焼け跡を見てこう言った。

「災いにはすばらしい価値があるんだ。誤りをすべて燃やしてくれたよ。ありがたいね、またゼロからスタートできるじゃないか」

この火事から3週間後、エジソンは最初の蓄音機を世に送り出した。

『種蒔く人の種』より
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