半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

無農薬のお米つくりで「闘う」農家さん

2010年09月15日 | 仕事の中で
 水曜日、ある地域の農家さんのところに取材に行ってきました

 この農家さん、3年前から慣行農法(農薬や化学肥料を決められた量、決められたスケジュールできちっと使う農法)から脱却し、今年から無農薬でお米つくりにチャレンジしている方です。

 30歳で先代が無くなり、仕事を持ちながらも田んぼを引き継ぎました。いわゆる兼業農家さんとしてお米を作りを14年間頑張ってきました。しかし、奥様の「最近の新米、香りが無くなってきたね」という一言をきっかけに「有機農法」に目覚め、師事する先生をみつけ、有機農法にチャレンジすることを決めました。

 3年前は、まずは化学肥料を止めて農薬を半分にし、昨年は研修生も1人入れて、田んぼの2割で、初期除草剤を半分だけ使うことにし、それ以外は農薬を使わないで作りました。そして、今年は、一部の田んぼで完全に無農薬で栽培しています。

 この農家さんは、本当に熱い情熱と正義感をお持ちで、この農法を地元に広げていこうという強い信念を持った素晴らしい農家さんなんです。

 実際、この地域で50代でバリバリ頑張っている農家さんはほぼおらず、ほとんどがじいさん・ばあさんが作っています。どんどん耕作放棄地が広がっていて、このままでは荒れた田んぼばかりになってしまうという危機感から、新しくやりたいといった若い農家さんでも、飯を食っていけるようにこの農法を地元で広げていきたい、と寝る間も惜しんで頑張っているんです。

 本当に凄い方で、その情熱をビンビン感じます。

 でも、、、一方で複雑な気持も湧きました。

 この方、「正義感」が本当に強く「このままではこの地域の田んぼや米つくりは駄目になる」という思いで、使命感をもってやっています。

 そして、自分の田んぼに看板を立て、「今回使った農薬」を張り出しているんです。
HPでは「普通の農家は、最低でも8種類の農薬を使います。まず、種子消毒で1回、苗を作るときの土への殺菌剤、苗を植えたあとに雑草が芽を出さないように初期除草剤をまき、雑草が芽をだしたところで伸びないように中期除草剤、初期も中期も一緒に兼ねた一発除草剤、カメムシ除去などの殺虫剤、更には稲が大きくなりすぎて倒れてしまいそうな場合は成長を止める農薬など、、、」と、「全てをオープン」にしようとしています。

 このせいで、周りの農家さんからは「どうしてこんなことをするんだい?」といった声が本人以上に、奥さんや研修生にあがってくるそうです。


 複雑です。。。この方の行っていること、やろうとしていることはまさに革命的、先駆者で、この方のやり方は消費者に受け入れられると思います。今後、こういった思想と実行力が無ければ、若い農家さんが就農しないでしょうし、その土地の田んぼも荒れてしまうでしょう。だからこそ、このような農家さんの出現は本当に素晴らしいことだと思います。

 一方で、ほそぼそと今までの農法でお米を作ってきた農家さんからみれば、「自分のやり方を否定されている」ような感じを受けるでしょう。農薬を使いたくて使っているわけではなく、今までそうやって作ってきたのだから。。。
 その横で「農薬はこれを使っているけど、うちはこれだけ減らしている」というたて看板を立てられたら、、、ただでさえ村社会の田舎であれば、なおさら周りの農家さんは「困惑」するでしょう。

 時代の流れからいって、また、本質的に20年後などを考えると、今までのやり方を続けていては、現場は後継者がいなくなり駄目になってしまうことは明らかです。だからこそ、それを変えるべく立ち上がったこの農家さんは、本当に勇気と実行力があって尊敬に値します。消費者として、是非応援していきたい、と思わせることができる説明能力もあります。

 一方で、その横でどんどん年を取りながらもお米を作っているじいさん・ばあさんの気持も考えると。。。

 改革、というのがTVや外から見ると聞こえが良いのですが、実際に現場で触れてみるとなかなか一筋縄ではいかないということを少し感じました。

 でも、一番大変なのはそういった中で頑張っている、闘っているこの農家さん自身なんですよね。
コメント
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