駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

減量も大変だが

2009年01月08日 | 医療
 肥満のメカニズムは相当分かってきたが、残念ながら体重をコントロールできるような薬はまだ市場に出てこない。
 当医院ではこのところ「あれ2kg肥りましたね」。「いや、注意されると嫌なので、来たくなかったんだけど、もう薬がないんでね」。という会話が繰り返されている。太りやすい人には暮れ正月の食って飲んでテレビ見て寝る生活はてきめんだ。ところが日頃太りたいとおっしゃる方はほとんど体重が増えていない。
 世に痩せるという本は溢れているが、太るという本は皆無と言ってよいほどだ。しかし実際には太りたいという人が痩せたい人の五分の一くらい居る。肥満が生活習慣病を招くとして、今や政府までが、メタボ対策に乗り出してきている。では痩せていれば良いのかと言えば、痩せすぎの人は打たれ弱く(病気からの快復力が弱い、抵抗力が弱い)、長命というわけでもなく理想の体型ではない。健康で長生きするには、ほんの僅かに太り気味が良いとされている。何事も中庸が良いようだ。
 太っている人を痩せさせるのは難しいけれど、本人がその気になればある程度可能だ。ところが太らせる方は本人がその気になってもなかなか難しい。痩せている人はカロリーの多い食物をたくさん食べることができないのだ。運動負荷もすぐ疲れてなかなかできない。
 できることを我慢することはなんとかできても、できないことをやるのは難しい。たぶん一日をコップ一杯の水で過ごすより一日で20lの水を飲むことの方が大変だろう。ちょっと飛躍した例え話で正確かどうか分からないが。痩せた人の話を聞くと天丼や鰻丼を全部食べるのは苦しいそうで、太った人が半分残すよりも大変そうに聞こえる。しかしまあ、少数派のせいか、ドタリと倒れる派手さがないせいか、痩せすぎは今のところマスコミにあまり注目されていない(低栄養は快復力や抵抗力を落とすので、専門家の間ではこの数年注目され、入院患者や寝たきり患者では対策が考えられ始めている)。
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2 コメント

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なるほど・・・ (Mikio)
2009-01-08 21:22:09
私は痩せ過ぎの体型なので、今日のブログはとても説得力を持って響きました。
しっかり運動してお腹を減らしてしっかり食べれば、少しずつ体重が増えるのは確かなのですが、今の仕事ではそれが難しいです。
時間がある時は、極力外に出て歩いたり走ったりするようにしています。
昔は、痩せの大喰らいと言われましたが、今は至って小食です。
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仕事は問題ないのでは (arz2bee)
2009-01-08 23:56:30
 パン焼き仕事は身体を使うと聞き及んでいます。ある程度筋肉は付いておられると思います。現状維持できれば問題ないのでは。
 コーヒーを朝の一杯だけにすると、少し食が進むかもしれません。
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