K氏とまだ将棋を指している。まさか二十年ぶりに実戦再開とは思わなかったが、昔取った杵柄でだんだん強くなってきた?。そのせいで強くなっているはずのK氏との距離が中々縮まらない。もう十ヶ月になるが四枚落ちでいい勝負だ。子供と違い七十過ぎの高齢者の歩みは遅々としている。
お茶を飲みながら雑談をする。
「株が下がる下がるという人が居るけど、ちっとも下がらないねえ」。
「そうかな、この頃少し下がっているようでどうしようか迷ってるんだ。どうするたって、売って銀行に預けても利子は付かないし、不動産が買える額ではないし」。
「まぐれで結構儲けたから、後はどうなってもいいんだ。まさかなくなることはないし、配当もあるから放ってあるよ。本当に下がるのかなあ、お金の行き場ないでしょ」。
「何だか株の儲け方っていう本が色々宣伝されているけど、本当に儲かるなら自分でやればいいのにおかしいよね。本当に儲かる方法を知っているような人は人に教えないと思うよ」。
「なんでコロナのワクチン、インフルエンザと同じようにかかり付けの医者で受け付けるようにしないの。知ってるところの方が便利だし、安心じゃん」。
「うーん、そう思うんだけど」。