駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

遅い東京特許許可局

2016年09月26日 | 世界

        

 先日電車に備え付けの雑誌で、懐かしい電磁誘導を応用した発明の記事を読んだ。生物学者?の福岡伸一さんが書いた記事で、定期券などかざすだけで情報を読み取るカードにフレミング右手の法則を応用した発明が使われていると教えてくれた。磁界の中を導体がよぎると電力が発生するので、電池を入れておかなくてもカードの回路を動かす電力が得られる訳だ。

 これは私のような素人でも直ぐなーるほどと分かる応用で、そのせいか発明者の特許申請が認められるまで十六年を要し、特許が認められた時には大手電機メーカーで量産され、億単位の人がその便利さを享受していた。発明された方、名前は失念、はその巨利に見合う20億円の特許侵害の代償を求める訴訟を起こされたが、敗訴に終わったようだ。ノーベル賞の中村先生の青色ダイオードと何処がどう違うのかよく分からないが、ちょっと異なった結果になった。

 福岡さんはかざすだけで読み取るカードにそういう発明が使われていると紹介するだけで、遅い特許の認可や裁判が敗訴に終わったことには特別なコメントはしていない。コメントにはいろいろな方面からの反発も予想されるので控えたのかも知れない。

 東京特許許可局は早口言葉の定番なのだがどうも仕事は早いというわけではないらしい。なぜこのような結果になったのか、微妙なことだがオリジナリティというかユニークさで僅かな不足があり、技術者なら僅かなヒントで誰でも思いつける発明だったからではないかとも思う。会社という組織は利益に関しては恐ろしく敏感で、すれすれで特許を逃れる工夫をしていたに違いない。どうも高校物理を理解していれば二秒でわかる思いつきには敬意が払われないらしい?。尤もライジオイムノアッセイやPCR法なども原理は十五秒ほどで分かるので、オリジナリティに対する感覚が欧米とは違うのかも知れない。上記は私の憶測で、的外れの可能性もある。

 電波や磁力線は目に見えない、しかしなんとまあ現代社会を動かす巨大な力であることか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする