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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

輝く肌

2022年07月11日 | 診療

             

 

 コマーシャルに出てくる輝くように美しい若い女性の肌にお目にかかることは年に一度もなくなった。なんだかおばさんの首筋が光っているなあと思うと汗だ。細かい汗が窓からの斜光で輝いている。

 玉の汗のおじさんおばさんを診察する季節になった。診察する時、手持ちのハンカチで慌てて汗を拭いてくださる患者さんも居られるが、そうでない方も居られる。稀だが触診する時、汗で手が滑ることもある。あんた汗かきだねえと言いたくなるが、笑ってごまかしている。汗拭き用のタオルを用意してもよいように思うが、用意しないまま三十年過ぎてしまった。タオルとまではいかなくてもレストランと同じようにおしぼりを用意してもよいかもしれない。もう院長ではないので差し出がましいかと提案していない。はたして用意している医院があるだろうか。

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長生きなわけ

2022年06月30日 | 診療

        

 

 動脈硬化を招くコレステロールの中にHDLコレステロールというものがある。このコレステロールは善玉と呼ばれ、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールと異なりむしろ動脈硬化を防いでくれる。何十年も前に教科書や医学雑誌でそのメカニズムを読んでなるほどと理解したが詳しいことは憶えていない。

 理屈としての理解とは別に経験としての理解がある。一カ所で三十年以上診療を続けていると初診で六十歳だった患者さんも九十歳になる。勿論、九十歳まで矍鑠とお元気な方はそう多くはないのだが、そういう人たちは軒並みHDL善玉コレステロールの値が高い。成る程、このHDLというのは動脈硬化(老化)を遅らせる働きがあるのだなと実感する。勿論、他に癌や感染症など命を奪う疾患もあるから、H DLコレステロールが高ければ長生きが保証されるわけではないが可能性は大きくなる

 残念ながら私のHDLコレステロールは並みで、両親も長生きではなかったので、そのつもりで生きるのが賢明そうだなと思っている。

 

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夏になると辛くなる

2022年06月25日 | 診療

          

 

 健康だと排泄は気にならないが、出にくい人や漏れる人は人知れずつらいことだ。かくゆう私も尿が我慢できず困ることがある。一応薬を飲んではいるが思ったほどは効かない。日本は何処にもトイレがあるから有り難い。中には薬では上手く行かず、医療器具で排泄をされている患者さんも居られる。何人か当院で交換のお世話をさせていただいている。

 今の人はトイレが水洗になったから、雪隠といわれた頃の防ぎようのない臭いをご存じないかもしれない。日本のトイレの清潔さは世界に冠たるもので、外人さんの賞賛の的になっている。しかし、高齢で排泄に問題が出てくると僅か数十センチの身の回りだが防ぎようのない拡散臭が漂うこともある。それが夏になると悪化する。男性でも嫌で辛いのに女性の場合は家族のそぶり時には直言で、泣きたくなる或いはそれ以上の気持ちになられるようだ。もう五年袋をぶら下げているTさんは夏になるともういいとひとしきり嘆かれる。Tさんの家庭は複雑で聞いてあげるしか出来ない。今は器具もいろいろ進歩しているが、誰にも万全とは行かない。

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味噌汁の味で分かるもの

2022年06月10日 | 診療
              

  老夫婦というのは多く二人暮らしで妻が食事を用意している。食事を作ることはそれこそ何十年も続けてきたことなのでさほど難しくないように思われる。とりわけ毎日の定番の味噌汁となれば目をつむっても作れそうだ。
 ところがそれに異変が起きる。やたらと濃い。具が入っていないなど、夫はぎょっとする。そういえばこの頃物忘れが多い。ほとんどの夫は「こんな味噌汁が飲めるか」と怒鳴ったりしない。勿論、味が濃いとか何にも入っていないと注意するのだが、「ごめんなさい」という言葉は返ってこない。黙って薄めて食べたり、おかずを買ってきたりするようになる。訪ねてきた来た娘が気付き相談に来る。ああ、認知症ですねと簡単に事は進まない。本人にその自覚はないからだ。家族は医者に期待してくださるのだが、魔法はなく地道に向き合い少しづつほぐしてゆくしかない。ありがたいことに医者の言葉は比較的受け入れやすいようで、固唾を飲む家族に見守られながら声を掛けることになる。
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家族を診る

2022年06月01日 | 診療
             

 畏友小児科医のM先生は子供を診ているといつの間にか大きくなって来なくなるのだが、十五、六年もすると今度は赤ん坊を抱えてやってくるので嬉しいと言っていた。内科医の場合は親を看取った息子や娘が高齢者になって通院してくるのを経験する。似ているというのは親は喜ぶけれども、子供の場合は微妙なので何にも言わないことも多いが、お父さんお母さんに似てきたなと思う。あまり故人のことはこちらからは話題にしないが、父親や母親を知っている医師という親しみというか信頼を持っているのを感じて嬉しいものだ。
 世の中には表彰状や勲章は貰わなくても良い人だったな立派な人だったなと思い出す人はたくさん居る。
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