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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

後期高齢者には

2022年08月21日 | 診療

            

 

 夏休みに少し(二百冊くらい)本を整理したのだが、見回すと減った感じがしない。本の前に本を置いていたので、それが引っ込んだだけなのだ。多分死ぬまで手に取らないだろうという本を捨てたのだが、残っている本も半数以上手に取ることはなさそうだ。自分が後期高齢者になったせいか、後期高齢者でお元気な患者さんには、勿論病気に依るが、好きにやって下さいとお話しするようになった。五、六年前までは後期高齢者の方にも型どおりあれこれ注意していた。

 しかし、後期高齢者であれもやりたいこれもやりたいと云う患者さんは少数派だ。「テレビの番人ですよ」などと自嘲気味に言われる患者さんも多い。孔子様のお言葉に新解釈など大胆不敵すぎるが、七十にして、今にすれば九十にしてだろうが、矩を越えずは当たり前田のクラッカー年を取って欲望と体力が減っただけと云う気もする。勿論、例外もあり後期高齢になってもギンギラギンの御仁はおられ、そういう傍迷惑で不善を為す人には孔子様の言葉を噛みしめて戴きたい。

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いつまでもとは

2022年08月09日 | 診療

            

 

 老々介護と言われる。しばしば老夫婦がお互いを介護しながら生きている様子を半ば自虐的にそう表現される。ただこれは一方がある程度元気でないと成り立たない。老いるには現実的には頭と身体があり、どちらも同じように衰えるとは限らない。嫁いだ娘が寄るとあんた誰などというお婆さんでも足腰は達者で買い物に出かけて迷子になったりする。歩行器がないと動けなくなっても頭はしっかりしており、嫁さんにあれこれ指図できるお婆さんも居る。お爺さんにも同じことが起きる。お互いの頭と身体を互いに補って何とか生活できているうちはよいのだが、いつまでもとは行かない。介護保険や訪問看護にデイサービスを利用していても、限界が来る。息子や娘が傍にいて面倒見てくれたり、金銭的な余裕があればなんとかなるのだが、どちらも望めないと本当に困ってしまう。避けられぬ終わりが近いということなのだが、エンドロールはとても難しい。

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今ここにある危機

2022年08月04日 | 診療

           

 

 新型コロナウイス感染が激増している。さすがに七回目のせいか重症者が比較的少ないせいか、他にも大きなニュースがあるせいか、マスコミの取り上げ方はさほどではない。しかし、現場は火の車なのだ。一昨日から近隣の二大総合病院が満杯で入院できなくなってしまった。そうなると救急外来も簡単にどうぞとは言わなくなり、かかりつけ医に相談してくださいと敷居を上げた。頼りにされてもかかりつけ医としてはできることも限られており、遂に昨日は新患の発熱患者さんはお断りさせていただいた。掛かりつけの患者さんで手一杯なのだ。

 誠に心苦しいが、新規の患者さんは断るしかない。受付を絞っても新型コロナの感染者が毎日四、五人出ている。幸い、今のところ入院適応の重症者は出ていないが、近隣に受け入れてくれる病院がないとなるとどうなるのだろう。たった一週間で動きが取れなくなった。倍倍ゲームの恐ろしさを感じている。それに後手後手が加わり、医療現場は崩壊寸前だ。

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医者の薬

2022年07月29日 | 診療

        

 

 新型コロナのワクチンを打っていると時々何年振りかの患者さんに会う。

 「先生、お久しぶりです」

 「ああ、お変わりないですか」

 「はい、先生もお元気そうで、何よりです」

 変わらぬ面影に微かな忍び寄る老いの足跡を認めながら久闊を叙す。ただそれだけの言葉だが、温かい気遣いと感謝を感じて心休まる。

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誤字ではなかった

2022年07月23日 | 診療

            

 

 梅雨が明けた。今朝は蝉が鳴いている。

 暑いからつっかけ短パンで医者に来てもおかしくはないが、アラフォーのお兄さんだ。紹介状を持っている。三年ほど服役していましたが、あれ服薬の間違いじゃないのと読んでいくとそうではなく服役だった。高血圧があり引き続き治療をお願いしたいと言うことだった。なるほどと、病歴を聞いて症状を聞いて診察をして同じ薬を出すことにした。出てから太っちゃってねと言う通り、確かにちょっと太り気味だ。自分では食事を作らず買い食いがほとんどだと言う。買い食いだと難しいとは思ったが、塩分を控えめにして日が陰ったら二三十分歩くように指導した。

 いろんな患者さんを診てきたが、どんな患者さんにも先入観を持たず普通に話し普通に接するのが一番良いように思う。一回では分からないが、月に一度診てゆけば打ち解けてくるだろう。

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