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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

白衣現象にも色々

2022年09月16日 | 診療

             

 

 白衣性現象というのは家庭で測定する血圧よりも診察室で測定する血圧の方が高くなる現象のことを言う。かなりの頻度で認められ、評価には家庭での長期にわたる血圧測定が必要になる。

 医者の前に出ると普段と違うことが起きるのは血圧だけではない。進行した認知の人が意外にきちんとした受け答えをすることがある。勿論きちんとしているのは見かけだけで、実際にはできていないことをあたかもできているようにすらすら答えるので医者も騙されることがある。食事を作っていないのに作っているように言ったり、薬をきちんと飲んでいないのに飲んでいるように言ったりする。事実でないという自覚がなくすらすら答えるので、聞いている方は騙されやすい。緊張で頭の血の巡りがよくなるのか?、いつもは間違える自分の年齢が正確に言えたりすることもある。

 診察室は取調室ではないので普段と同じ気持ちで居ていただくように配慮しているつもりだが、白衣を目の当たりにするせいか?知らず知らずに緊張して色々普段と違うことが起きるようだ。

 尤も上手に挨拶して作り話で診察をすり抜けても、受付では診察券や保険証を出したり料金を払わねばならないので口では取り繕えず、事務の方が医師より先に認知に気付くことも多い。

 診察室どころか取調室ではもっと妙なことが起こりそうだ。録画が必要なのは当然のことと思う。

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あのね、なんでもっと早く

2022年09月14日 | 診療

            

 

あのね」といいたくなる人達がいる。私と同年配のTさん、高血圧症と2型糖尿病で通院している。ごつい人でしばらく前まで農家をされていたのだが、この頃は息子に譲り時々手伝っておられるようだ。神経質の反対で口数が少ないが、医師の指導は素直に聞かれるので血圧も血糖値も良好だ。

 この頃ちょっと飯が食べづらいと言われる。何だか顔がゆがんでいる。マスクを取ってもらうと口がひん曲がり右目が垂れて目が赤い。上向いて、目をつむって、口をイーっとしてと指示する。上手くできない。典型的な末梢性顔面神経麻痺だ。何時からと聞くと10日前から言う。「どーしてもっと早く来ないの。なんでほっておくの」と言ってしまった。家族は顔を見ないのだろうか?。

 今から総合病院の神経内科に行ってと紹介する。若い専門医がもう十日経っているし糖尿病があるし、マッサージとビタミン剤でと、型どおりの迫力の乏しい返事を返してきた。早ければ早いほど治りやすいのに、なんだかとても残念。

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危ない階段

2022年09月01日 | 診療

         

 

 高齢者否中年でも階段で転び転落する人が居る。軽度の打撲で済めばよいのだが、酔っていたりすると最悪打ち所が悪く亡くなる人も居る。骨折も多く、あとあと色々難渋する。そのために自宅の階段には手摺りをお勧めしているのだが、せっかく取り付けた手摺を使わない横着者がいる。先日も階段から落ちて、おでこに擦り傷を作った六十過ぎのおばさんが受診した。すたすた歩ける元気な人なのに手摺りはないのと聞いたら、ありますよでも両手に荷物を持って降りたのでバランスを崩し最後を踏み外し顔面制動になったらしい。「バカ」と旦那の同情はなく、踏んだり蹴ったりの様子だった。大怪我をしなくてよかった。

 我が家ではちょっと重い荷物は私が運ぶことになっている。時々面倒なので両手に持って昇ることがある。馴れている階段でも稀にふらつくことがありおっとっとをしていたが、これからは荷物は一個にして片手を空けるようにしたいと思う。昇る時よりも降りる時の方が危ない。

 

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人の動きには波がある

2022年08月27日 | 診療

            

 

 別に患者さん同士が連絡を取り合っているわけではないのに、一日の患者数はかなり大きく変動する。おそらくレストランや食堂でも同じことが観察されていると思う。ラーメン屋牛丼店などのチェーン店では統計を取って色々作戦を練っていると思うが、当医院では発熱外来を除いて予約は取らず患者さん任せで毎日診療している。

 一昨日は待合室に患者さんが溢れ一息つく暇もなかったのに昨日は途中でコーヒーを飲むことができた。いつもは待ち時間が二三十分なのに一昨日は一時間以上待たせてご立腹の方も居られた。申し訳ありませんと謝るしかない。

 患者数を予測できても自慢にはならないが、今日は多い少ないか私の予想は比較的当たるので、朝看護師に今日はどうでしょうと聞かれることがある。今までの記憶、天候、日付、二三日の動向から予想するのだが大きくは外れない。医院にも仕込みではないが多少は準備があるので、ある程度患者数を予測できた方が仕事はしやすいようだ。

 いつまで頑張れるか分からないが、今日は看板娘が居るからなどと他愛ないことを言いながら楽しく働けているので有難い。

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外見年齢

2022年08月23日 | 診療

             

 

 もう同じ場所で三十年以上診療している。三十年診ている患者さんはかなり減ったがまだ十数名居られる。二十年診ている患者さんは数多い。日本人の平均寿命が延びていくのを実感している。寿命には個人差がある。癌、心臓病、脳出血と云った致死的な疾患を逃れた患者さんは所謂老衰で亡くなることになるのだが、その年齢が徐々に高齢化してきている。

 年齢というのは脳力と身体力と内蔵機能に表れるが、その他に見た目というものがある。見た目の若い人は同じ年齢でも脳力身体力内蔵機能も若いことが多い。唯、見た目の若い人は一端老け始めると早い傾向がある。逆に実年齢以上の見た目の人は外見が老けるのがゆっくりしている傾向がある。

 見た目の若さは医学研究の対象になりにくいし、私はあまりそうした分野文献に詳しくないので、どの程度科学的な研究がされているのか知らないが、大きな差があるのは間違いない。そして若く見える人は心身共に実際に若いことが多いのも確かだと感じている。唯、外見の若さは化粧品というか健康商品というか、利潤をもたらす活動に直結しやすく冷静公正な研究は難しそうな感じはする。

 

コメント (2)
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