高尾山などの「寅太の山野草」

中越地震で被災した小千谷市と長岡市にある戊辰史跡の復興を応援しています。
山野草を中心にしたブログです。

歴史の宝庫かしわざき(その11)

2008-10-30 05:23:09 | 四季
【いざ!勝海舟のふるさとへ(1)】

先駆けが2発入ったが、いよいよ本番である。小千谷や長岡の花火は基本的には奉納花火で、花火が揚がる前に奉納の説明をする。昨年の小千谷は片貝の浅原神社での還暦者提供の花火を見てみよう。
「お待たせしました。祝還暦、片貝中学校第17回卒業“となかい”のみなさんによる、“人生に同朋ありて一緒に歩まん、我が道の掉尾を飾る”先駆け10号、豪華絢爛大スターマインの打揚げでございます」と放送が流れる。(でもこの花火すごいね、寅太もたまげた)

いつもコメントに登場する信徳さんは、前橋にお住まいとのことである。前橋は江戸時代の初めに、我が長岡藩の大胡城(おおごじょう)のあったところである。しかも戦国時代は、上杉謙信が、「厩橋城(うまやばしじょう)」を置き、そこに越後毛利の本流の北条(きたじょう)高広をおいて、北条(ほうじょう)など関東の押さえとした。
厩橋の北条は坂東武者の末裔ではなく、鎌倉幕府の重鎮大江広元に連なる公家の末裔であり、長州毛利は越後毛利の支流である(くど~い、齢をとった)。

さて、700年遡る毛利家の祖先に比べれば、こちらは明治の後半まで生きた勝海舟の祖先ははっきりしている。
後に米山検校と名乗る曾祖父の(山上)銀一が、柏崎市の長鳥を後にしたのは、今から約200年前である。越後には盲目が多く、。女は瞽女(ごぜ)になり、男は鍼灸や按摩、そして琵琶などを弾き、そのわずかな収入で生計をたてた。

銀一は越後から江戸に入り、行き倒れ同様なところを、幕府の奥医師石坂検校に救われた。そして江戸で成功した銀一は、盲人組織の最高位である検校の官位を買い、ふるさとの山に因んで米山検校(けんぎょう)を名乗った。
詳細は、「勝海舟の祖先のふるさと杉平」をご覧いただきたい。

北条コミュニティセンターで概略の道順は聞き、長鳥に入ったが、結果的には最初の入口がわからず、JR信越線の踏切から道を登り、峠を越えて三波晴夫の故郷の長岡市の塚山まで入ってしまった。この道はいつか来た道である。寅太が柏崎に住んでいた3年半の間に、数え切れないほど長岡との往復に使った「塚山峠」である。

峠の道では誰にも会わないし、誰かに聞けばわかる話でもなく、歴史を知っていそうな人は鯨波から訪ねた多くの人の雰囲気でわかる(お主、ごぞんじだな・・・て調子)。車は元の長鳥駅の近くまで戻り、踏切の先にある細い道を登る。やがて道幅は少し広くなるが、途中で工事のショベルカーや小型ダンプカーに道を塞がれる。やっと工事現場を抜けると、大学生であろうかこの山道を使ってランニングをしている。でも検校の御礼塔の場所や検校の名前を聞いてもわからない。(なまえ~を聞いてもわからない、泣いてばかりいる寅太さん)

江戸で成功した検校は、数度にわたる故郷の飢饉に、救援米を贈り飢餓から住民を救った。長鳥地区には今でも3つの御礼塔があるといわれ、残っているのは、岩の入、大角間(おおがくま)そして杉平の集落である。
峠はやがて下り坂に入るが、それらしき塔には出会わなかった。
途中にある墓地の近くには、アキノキリンソウ(秋の麒麟草)の群生とキキョウ(桔梗)が、夏を惜しむかのように咲いていた。


(勝海舟のふるさと長鳥の道端に咲くキキョウ)

あきらめて下り始めると、右手に1軒の民家が見えた。地獄で仏とはこのことで、一人のお爺さんに訪ねると、100mほど戻った大きな桜の木の下に碑があるという。車から降りて歩いて戻った。道から2mぐらい斜面を登った草の中に3つの碑が並んで立っていた。
その一つが探す御礼塔で、左から十三夜塔、庚申塔、そして御礼塔であるが、肝心の御礼塔は文字が風化して読むことができない。お爺さんによれば、尾根伝いに交叉するように尾根道が走り、昔は柏崎から小千谷に抜ける街道で、その道端に立っていたとのことである。

 
(長鳥の踏切を渡り左に登る) (中越沖地震か工事中の道路)

 
(峠を過ぎて民家を発見)   (行き過ぎた道の上にあった塔)

 
(これが岩ノ入の御礼塔)    (十三夜塔と庚申塔)

勝海舟の祖先米山検校の末裔達はみな親切で、工事中のショベルカーや車も作業を中断して、道を譲ってくれたし、民家のお爺さんも道案内をしそうな雰囲気である。
お爺さんにお礼を言って、さらに下ると急に見晴らしの良いところにでて、前方に棚田が広がった。今でこそ棚田は美しいが、近年までは貧しさの象徴的な風景である。
(つづく)
コメント (6)
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