脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

右脳障害の例

2014年11月04日 | 右脳の働き

写真の向きが直せましたので再掲します。10月29日掲載分は空っぽでした…再々掲です。

「普通の認知症でないことがよくわかりました!」
喜んでいる保健師さんの顔が目に浮かぶような、質問がありました。

 

MMSは計算でのまちがいがあったものの 、想起は満点で29/30という高得点。

このようにMMS(脳の後半領域の機能検査)に合格して前頭葉機能テストが不合格になるのが、私たちの言う小ボケ=もっとも早い段階の認知症ですから、当然丁寧に前頭葉テストは実施されていました。

立方体の模写は、できません。
動物名想起もやや低下傾向があります。
かなひろいテストは、〇の数は21なのですが、内容把握ができていませんでした。

前頭葉テストは、全般的に低下傾向にありますが、大きく低下してしまっている状態ではありません。

以上が脳機能テストの結果でした。正常下限から小ボケの入り口といったところです。

ところが、生活実態がちょっと違います。

本人評価によれば、小ボケ相当ですから、一応、脳機能テスト結果=生活実態になるのですが、妻の評価が違うのです。
もちろん小ボケレベルの症状には、10個のうち8個に〇が付いています。

その上に、中ボケレベルの
1.身だしなみにむとんちゃく
2.家事に支障が出る
3.服薬管理ができない
4.物のしまい場所を忘れる

大ボケレベルの
5.汚れた下着をそのまま着る
6.服を一人では正しく着られない
までに〇が付いているのです。

一般的には、脳機能検査結果に比べて、生活実態が悪い時には、精神的なものを考えますが、よく見てください。
生活実態が悪くなっている具体的な内容は、形が分からないのではないか?と疑えば説明がつく症状がほとんどです。
1.5.6からは着衣失行が見えてきませんか?
3.は丸薬とカプセル薬の形がわからないのではないか?と気づくべきです。
4.は形の認識が難しいと、整理整頓ができません。その結果見つからないということも配慮する必要があります。

右脳障害を強く疑わなくてはいけないケースです。
アルツハイマー型認知症が進行するスピードは 」に目を通してみてください。

 
妻の訴えをよく聞いてみると
・2月ごろ、シャツを4~5枚着る。それを注意したら、
・シャツを脱いで、背広の上へ着替える
・パンツがはけない(足のところがウエストに来る)

・入浴後にまた服を着てしまう
まさに着衣失行!

さらには
・物のしまい場所が分からない
・朝食後の薬を飲み間違える(まさに、丸薬とカプセル薬の差異がわからないということでした)
・飲み物をコーヒーの空き瓶に入れて、ジャムのふたを閉めそのあたり中水浸し。

このような訴えも、右脳障害により、ものの形の認識がうまくいかないと考えたら、納得できるでしょう?

ここ2~3か月、このような症状が頻発していたそうです。
それにプラスして、いくら注意しても
「特別、ボクは何も困りません」という反応が返ってくると、妻がいらだったり、怒ってしまったりも納得できます。
実はこれもまた右脳障害後遺症。病識がないのです。

その他の情報は
50歳のころに脳梗塞発症。左半身まひ(右脳の障害ですね!)があったが、現在はほぼ全快。

最近、精神科受診して「MRIには異常がない。記憶が曇ることがあるが、認知症ではない」と言われています。ホントウ?(この記事の最初の投稿は9月中旬でした)

このケースは、とにかく今、右脳に故障が起きようとしています。
MRIが正常ということは、脳梗塞や脳出血は起きてないのですが(器質正常)、働きがうまく行ってないのです(機能低下)。

ということは、血流の低下が起きているということになります。
脳外科受診が必要。そこからあとはDr.の分野ということになります。

追加:こういう状態が継続していますから、老化の加速は起き始めてます。つまり小ボケはあるのです。

   


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