脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

岩手県奥州市の認知症予防教室「年とらんと会」-3

2014年11月30日 | 認知症予防教室

「年とらんと会」の報告がもう一つあります。

会の女性部推進役の千葉キヌさん。演劇の時の脚本やナレーター担当です。
水沢江刺駅に迎えに来てくださった千葉謙さんが
「キヌちゃんだけど…」と声を潜めて言われるので、びっくりして
「亡くなったの?」とつい大きな声が出ました。

千葉謙さんは「違う違う!」と大慌て。
キヌさんにはもともと腰痛があったのですが、その手術のために入院。再手術などもあったため、かれこれ50日も入院されてるそうで
「年とらんと会に行く前にちょっとお見舞いに行ってあげてほしい」という言葉に、もちろん二つ返事でOKです。

「50日・・・しかも痛みと戦いながらでしょ?大丈夫?ボケてないかしら?」とつぶやく私の声を聞きつけて
「そんなことはないよ。2~3日前にも顔だしたけど元気!元気!もともと土台が違うからね、キヌちゃんは。大丈夫だよ」
そんな話をしているうちに病院到着。

恐る恐る病室に入った私たちに、キヌさんの笑顔が飛び込んできました。
84歳、50日間も入院している人に見えますか?

この笑顔を見て私はほんとに安心しました。
「この大変な50日間に負けてない!」と確信しました。

あわただしい面会時間にびっくりするようなことを、キヌさんは言ってのけました。

「私、入院中に脳梗塞もやったんです。ある朝起きたら、ろれつが回らなくて口の右の端が何だか変で、これは脳に何かが起きた!言葉の脳にね。ってすぐわかったから、看護師さんに言ったら少しも変でないというの。だから自分で一生懸命お医者さんに訴えてようやく治療してもらったんだけど、なんともなく治りました。
考えたら入院中だったから助かったということでしょ?
いろいろ思うこともないとは言わないけど、それより、楽しいこと、うれしいこと、できることを思うようにしてる。そっちの方がいいものね」

1989年に調査したかくしゃく百歳の方々のお顔が目に浮かびました。
みなさんは共通しておっしゃたのは、全くこの言葉でした。
楽天的というか、肯定的というか、ポジティブな前向きに考え方ができる人達でした。

生きてこられた人生は十人十色。
山も坂もあったでしょうに、その人生を良きものと振り返り、来るべき時にも明るさを見ることができるのは、まさに前頭葉の力。
キヌさんは、豊かな才能だけでなくがんばる底力にも恵まれ、何よりも前向き前頭葉の持ち主です。
今84歳、これからもキヌさんのやりたいことを楽しむだけでなく、キヌさんを待っている人のためにも、
「『脳』を大切にしてくださいね。ボケないでね」と言ってお別れしました。

「年とらんと会」の佐野向公民館でも、脳の病気の話がありました。
1.慢性硬膜下血腫で血を抜いてもらった仲間が、年とらんと会に出席することを目標に頑張ったそうです。ひざの手術をした人も、また出席したいとリハビリをがんばったということもあったそうです。


2.前の安次郎会長さんも、朝早くトラクターで仕事中に脳梗塞の発作でたおれてしまったそうです。
「土手に、寝ていたら通りがかりの人が救急車を呼んでくれてなんともなく退院できた」ですって。
「今日も夏油温泉の冬ごもりの準備をしてきた。もう雪が水分積もってるよ」と
遅れて参加です。
同席していた奥さんが、「倒れていたのはちょうど見えない場所なんです。見つけてくれてほんとにありがたかった」と、地域の力を言われたのが印象的でした。

もうすぐ80歳のハシメさん。童女のようなかわいいおばあちゃんですが、体の柔らかさと仕切り力はなかなか。もちろん世剣舞の舞い手です。

現会長さんは、みなさんから飲み過ぎチェックを受けてます。(手術をなさったそうですけど、お大事になさってください。)世剣の舞が始まって衣装にちょっと不備を見つけたら、すぐに行って治してあげていました。御神楽奉納幕もきちんと引いて。そういうところが千葉謙さんが言う「会長職がその人の脳を鍛えることになる」というところかと思いました。
 

男性群が多いです。地区のもともとのリーダー千葉謙さんが、率先して活動を進めたところが遠因かと思います。
長栄さんは80歳を超えていらっしゃいます。「耳が遠くなってね」と言われましたが、にこにこしながらお話にもちゃんと参加されていますし、私の話を聞いてくださるときの真剣さは素晴らしかったですよ。後で女性群が「とても協力してくれるんですよ」と耳打ちしてくれました。

正面写真が撮れていませんでしたが、やはり以前に会長を勤められた正賢さん。
マラソンが趣味で「今年も全国大会シニアの部で優秀な成績を収めたんだよ」と資料を見せてくださいました。
実は世剣舞の復活には正賢さんの御力が大だったそうですね。元来男の舞いだったそうで、女性は着物をたたむことも許されないと聞きました。どんなに丁寧に教えてあげたことか、想像するだけでもご苦労がしのばれます。これからもよろしくお願いします。


千葉謙さんはお囃子方。チェックのシャツの一色とセーターの色が同じというおしゃれさんでした。

「年とらんと会」の皆様
これからも、体を大切になさってください。そして脳も大切に。
脳の健康は、皆さんが心ひとつにして楽しく過ごされることですからね。
またお会いできる日を楽しみにしています!

 

 


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