「私はアラビアのことを何も知らなかった(中編)」のつづきです。
そもそも観る気のなかった「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」展ですから、予習なんてしていなかったわけで、まさかこんなものが展示されているとは思いもよりませんでした
「カァバ神殿の扉」とあります
カァバ神殿といえば、メッカ(現在の発音・表記では「マッカ」)にある、イスラム教の聖地の中の聖地ともいうべき神殿です
そのカァバ神殿で、17世紀前半(日本では江戸時代初期)から1930年代までの300年間に渡って実際に神殿に据えられていたという扉の現物ですって
イスラム教徒の人たちだって観たことがない人がほとんどだろうというのに、異教徒の私が現物を拝見して、写真まで撮ってしまうなんて、ホント良いのか? とまで思ってしまいます。
でも、こんな機会なんてそうそうあるとは思えないわけで、角度を変えてもう1枚
この扉は、「オスマン朝時代・1635または1636年」のもので、
オスマーン朝スルターンのムラト4世が寄進した扉。
だとか。
Wikipediaによるとこの寄進者のムラト4世は、
頭脳明晰、勇敢で非常に信仰深く、煙草と酒とコーヒーを禁止し、夜に出かけることも禁止した。
だそうで、「煙草と酒とコーヒーを禁止」(「夜に出かけること」の禁止はさほど影響はない)とは、私にはまっっったく合わない王様だったみたいです
さて、カァバ神殿といえば、
とてつもなく大勢の巡礼者の中心に鎮座する黒い、ほぼ直方体の「物体(建物には見えない)」なんですが、神殿自体は
建物は大理石の基盤の上にたつ石造モルタル造り
だそうですから、建物本体は白いはず。
実は、神殿は「キスワ」という黒い布で覆われていて、そのキスワは毎年巡礼月(イスラム暦は完全に月の満ち欠けに一致させているため、1年は約354日で、巡礼月は太陽暦のカレンダーとは毎年ズレていく)に新調されるのだとか。
そのキスワの1992年製のものの一部が展示されていました。
金糸で書かれた(刺繍された?)アラビア文字が、間近で観ると超立体的
やはりこれは文字の範疇を超えていますよ
というわけで、私はカァバ神殿の扉の現物と、キスワの現物を拝見できて、たまたま観た「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」展にいたく感激したのでありました。
拾いもの、、、と言っては失礼ですけど、ほんと、予想外に興味深い展覧会でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます