創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

雪の日の

2011年01月10日 | 日記

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♪ 雪の降る夜は たのしいペチカ ペチカ燃えろよ お話ししましょ ♪

雪の降る夜は、何故だか静か。
ペチカは無いけれど、石油ストーブの音だけが部屋の中に小さく流れている。
風吹く音も聴こえず、とにかく静か。  もしや、と思って玄関へ出てみた。

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   9日 ・ 午後11時

大きなボタン雪が間断なく舞い降りていた。
これ以上積もらなければいいいのになあ、と願って床についた昨晩。

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   10日 ・ 朝

願いが通じたのか、昨晩よりほんの少し積もったくらい。
気温が低かったのか、サラサラした雪に変わっていた。

新聞を取り入れ、トラちゃんに朝食を与え、いつものようにコーヒーを淹れていたら、
「 ピンポ~ン 」とチャイム。 受話器を取り上げ「 ハイ、どちら様ですか? 」と聞けば、
「 ワシや 」と聞きなれた声。  声の主はロクロ師、K氏。

久しく会っていなく、新年の挨拶と近況を話し合った。
あまり詳しくない九谷業界の今を、いろいろと話してくれた。
いずれにしても、ロクロの出来る人がずいぶんと減ったことに愕然とした。
九谷は今も分業制。 ロクロ師を大切にしないことを彼はしきりに訴えていた。

私が若い頃から30歳半ばまで、自分の作品づくりと同時に窯元からの注文で、
九谷焼作家の素地を作っていた、その時分よりひどくなっているとK氏。
「 ロクロ師なんて本当にバカらしい、九谷作家の土台を支えているのは一体誰や?」と。

ひとしきり話しをしたK氏、K氏は65歳になってしまったが、
今も現役でロクロを回している。 K氏のようなロクロ師がいなくなったらこの先・・・。

一時間余り心の内を話したK氏は、先ほど来た雪道をハンドルを握って帰って行った。
K氏が帰ったあと複雑な気分になってしまったが、若い頃の修業の時、
そうなることが分かってしまっていたので、今は自分の作品づくりをしている。

著名な学識経験者や九谷作家の重鎮達は、K氏のようなロクロ師のことを
どのように思っているのか、それとも今さえよければと思っているのか?
K氏の話しを頭で繰り返しながら朝の運動に出かけた。

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   雪道

誰も踏み込んでいない雪道。
かけはし川の堤防は、暮れから補強工事が続いていて歩けない。

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   田んぼ

田んぼの農道をひたすら歩いた。 まだ新しい長靴を買っていなくて、
足にビニール袋をかぶせての歩き。 新雪を踏みつつの歩きは気持ちよいが、
かなりの労力がいった。 時折顔を出す太陽が雪に反射してまぶしい。

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   山茶花=さざんか

晴れたり曇ったり、そして雪が降ったりの目まぐるしい一日。
今日の作業は先日から作っている作品の仕上げを終えること。

順調に作業が進み、次の作品づくりのためロクロ場をきれいに片付ける作業を。
玄関脇の山茶花(さざんか)、お日様の光で雪の帽子も脱いで、
あざやかな姿を見せてくれた。

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   板洗い

ロクロ場の板を洗っていたが、指先に水道水が当たり、
手の指の感覚がなくなってしまった。 でも次の作品づくりのため、
この冷たい作業はどうしても行わなくてはならない。
洗いものをしながら、ふとK氏の話しがよみがえってきた。

九谷焼作家たちは、このような作業は必要ないわな、と。

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   小鳥

きれいさっぱりとロクロ場を片付けていたら、
いつの間にか時間が経って、夕刻もせまってきた。
加えて余りにもの冷たさに、手指の感覚もなくなってきた。

ふと垣根を見上げたら小鳥が一羽、細い枝に小さな足でしっかりとまっていた。
むき出しの小さな足、この寒さに凍(こご)えないのかな?


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2 コメント

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寒さに耐える、山茶花・小鳥・そして堂前先生。 (冬空)
2011-01-13 17:51:44
寒さに耐える、山茶花・小鳥・そして堂前先生。
山茶花の花言葉は「困難に打ち勝つひたむきさ」です。
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冬空 様 (by 堂前)
2011-01-14 00:09:14
冬空 様

このごろ急に気温も下がってきて、水仕事が辛い時季となりました。
でも、それを行わないと次の作業にかかれないのです。
山茶花の花言葉、初めて知りました。
冬になっていつも思うこと、何でこんなに寒いときに雪にうずもれながら
美しい花を咲かせるのか・・・?と。

真っ白な雪の中から、顔を赤くして姿を見せてくれる山茶花をみるたび、
頑張らねば、と思っています。
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