|
3月20日 静かに佇む、昭和初期の民家 |
調子の良いことに、窯焚きをしていた日は天気に恵まれた。
ただ風が強く、窯の中の炎を調節するのに少しばかりてこずってしまった。
窯のうしろから煙突が高く伸び、そこから熱などが放出されるようになっているのです。
強い風に炎が引っ張られて、それを食い止めるのに難儀いたしました。
青磁、白磁 の作品を焼く時には、還元焼成を厳密に、かつ計算通りに行う必要があるのです。
還元焼成、いわば蒸し焼き状態にする、といったほうが分かりやすいかも知れません。
極端に言えば必要不可欠な酸素の量を少なくして火を燃やすのです。
煙突から黒い煙が モクモク と昇っている風景をご覧になったことがあるでしょうか。
あれは空気の量が足らないから不完全燃焼の状態なんです。 調度あのような状態にして
窯の炎を調節するのです。 そうすることで微量の鉄分が還元されて青い色に変化するのです。
煙が立ち昇る風景って、風情がありますね。
しかし今問題になっている二酸化炭素の量、その一因でもあるのです。
写真の民家のように、家の中のいろりで火を燃やし、その煙が茅葺屋根の近くから出てくる、
また火を焚くことによって生じる煙が、茅葺屋根の消毒にもなっている、何と合理的でしょうか。
私がまだ小さかった頃、一度だけ屋根の葺き替えを見たことがありました。
町内に一軒だけ残った茅葺の家、その葺き替え作業でした。
町内の全員がその葺き替えに関わっていて、一大事業でした。
|
凛とした 山桜 |
今年は雪も少なく、日頃の歩きは近くの梯(かけはし)川の堤防ばかりを歩いておりました。
数ヶ月ぶりに訪れた 憩いの森、 渡り鳥の数も少なくなって春がそこかしこに。
大きい樫の木に寄りそうように、おさな木の山桜。
華やかさを競い合っている ソメイヨシノ と比較にならない程につつましく、しかも凛とした山桜。
厳しい冬を越え、春の訪れを知らせてくれているようで 愛おしさ さえ感じてしまう。
散歩道の傍らには、目を凝らさなければ分からないくらいの小花。
それらを観察しつつの散歩は、忙しい日々の中に安らぎを与えてくれる。
|
がけにへばり付いて咲く スミレ |
小一時間の散歩を満喫し、
次の窯焚きの準備が待っている家へと車を走らせた。