正月早々から始めた青磁釉薬No・C144
このまま使い切っていけば足らなくなると思い、
原料すべてを割り出し、総量30キロ作っている。
若い時、焼き物を教えて下さる先生が居なく、
唯一頼りにしていた教本が、「焼き物の釉薬」。
著名な方々が計算方法や焼き方など、詳しく説明していて、
それを頼りに青磁や様々な釉薬の試験を繰り返した。
ところが、同じように調合しても全く色が出なかったり、
青くなるはずの青磁が、汚い灰色になったり。
訳が分からず、毎晩乳鉢を摺っていた。
まず10種を計算して微粒子になるまで摺り続けた。
焼きあがった結果の中から、良いものを一つ選んで、
その調合を更に展開して、また10種を計算。
10ー10ー10、と延々と試験を繰り返した。
気の遠くなるほど試験を繰り返して、
はっと気づいた。これは無駄な試験の繰り返しと。
本に書いてあることは、全部信用していたわけではないが、
肝心の、青く発色させる錆、これが曲者(くせもの)と気付いた。
でも、どうしたら錆を作ることができるのか、
原料会社の錆は使えないと分かったし、といろいろ考えた。
錆を作るのも先生が居ない。苦手な化学の本を読み漁った。
そして出来たのが、この錆。
これを主にして、再び調合を開始。
これも、10ー10-10......と繰り返し試験を行った。
ついに、それらしき青磁色が焼けた。
コツを掴むとあとは速い。
水色だけど、求める水色の青磁、
冷たくなく、あたたかい、やわらかい青磁が出来上がった。
正月から、その青磁釉薬を作り続けている。
作業場が狭いので、その間は粘土は触れない。
そのかわり、つい先日まで庭の手入れを行っていた。
錆が、微粒子になるまで、あとしばらく。
30キロ余りの基礎原料、先にきれいに調整し、
錆を加える。あとしばらく、もうしばらくで出来上がる。
理想と現実の、あまりにも大きい差と格闘し続け。
いまなお目標を立てて仕事を続けています。