オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

「朝比奈隆と私」(再録)

2010年06月07日 23時40分27秒 | 朝比奈 隆(生誕100年記念)
最近、私自身、どうも約30余年も及ぶ自分自身の音楽遍歴が間違っていたのではないかという思いが強くなり、たいへん苦しんでいました。
しかし、数日前、クナパーツブッシュ指揮ウィーンフィルによるブルックナーの交響曲第5番のCDを聴いてたいへん感動しました。その時、思ったことは、この感動は自分のものであって、他人様の為のものではないと言う事です。
クナパーツブッシュの録音を聴いて心が揺り動かされることの素晴らしさ。やはり、これを大切にしなければいけない!
そして一番ネックになったのは私にとっての朝比奈隆の存在でした。
正統なブルックナーファンになるには朝比奈隆のブルックナーを否定しなければいけないのか?大阪フィルの演奏は否定しなければいけないのか?自分自身のCDの棚を眺めながら本当に苦しみました。
しかし、たどり着いたのは,私が朝比奈隆の演奏から受けた恩恵の尊さ、感動の深さは何といわれても終生、心の中で大切にしなければいけないと言うことである。
ここで初心に帰って2008年に書いた朝比奈隆との出会いの記事を再録して、もう一度、私自身、原点に戻ってみたいと思います。

「朝比奈隆と私」(再録)

今年はヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100年(注 2008年当時)という事で所縁のあったレコード会社からいろいろと記念の映像や録音が発売予定のようであるが、同じ100年だったら、私にとってカラヤンと同い年だった、ある日本人指揮者のほうが重要である。
その指揮者の名前は朝比奈隆(1908年生、2001年93歳で没。戦後、大阪フィルハーモーニー交響楽団を設立。死ぬまで音楽監督を務める。)
私のCDの収集でこだわりを持ってコツコツと残された録音を集めている指揮者が3人います。ブルーノ・ワルター、ハンス・クナッパーツブシュ、そして朝比奈隆の3人です。ワルターとクナは私がクラッシック音楽に興味を持った時はすでに故人だったので生のステージに接することは当然できませんでしたが、朝比奈隆の場合は私が大学生活を送った東京でかなりの回数、生のステージで聴く事ができましたし死の1年前大阪で聴く事もできました。ですから私にとってたいへん身近な指揮者だったといえます。
日本人という事、そして終生、演奏の拠点が大阪(東京ではない)だったので軽く見られがちでしたが、まぎれもない大指揮者だったと思います。晩年、来日していたシカゴ交響楽団のマネージャーが彼の演奏を聴いてあまりの素晴らしさに驚き1996年シカゴ交響楽団の客演指揮者に招いた話は有名です(その時、朝比奈隆は88歳)
しかし私は何と言っても彼のおかげでブルックナーを知る事ができた、ブルックナーの魅力を教えてもらった事に一番感謝しています。
今年、生誕100年の記念の年に朝比奈隆への感謝の気持ちとこれからも続くであろう敬愛の気持ちを込めて私なりに合間、合間になると思いますが数回に渡って彼の足跡をたどってみたいと思います。

まずは私が朝比奈隆をいつ知ったかという事ですが、おそらく高校生時代、毎月購読し始めた雑誌「音楽の友」からでしょう。そのころ私は関西の某有名私立大学を目指していました。理由はその大学のグリークラブがよく大阪フィルの第九などの演奏会に出演していて、私もぜひその大学に入学できたらグリークラブに入部して大阪フェスティバルホールのステージに立ってみたい、歌いたいという願望がありました。(当時大阪フィルには合唱団はまだ併設されていなかった)そういう事から大阪フィルの指揮者がアサヒナ・タカシという人である事を知りました。残念ながら当時はレコードもなく、また大阪のオケの放送など絶対無い時代ですので彼の指揮姿、演奏がどのようなものであるか知ることは出来ませんでした。
大学受験の方は私の学力不足で思うように行かず、結果は大阪を通り越して東京の私立大学という事になっていました。
東京へ出て一年後、新宿のプレイガイドに貼られていたコンサートのポスターを見ていると大阪フィルの東京公演のものがあり関西の人間として何か感じるものがありチケットを購入しました。
プログラムはベートーヴェンの交響曲「田園」そして「英雄」の2曲。上野の文化会館の最前列で聴きました。
指揮台に立った朝比奈隆の姿を見たとたん、その風格に圧倒される感がありました。当時はまだ70歳になったばかりで、意気盛ん、まだ晩年のようにまだ眼鏡はかけていませんでした。
「英雄」の演奏にめちゃくちゃ感激し、日本にこんな凄い指揮者がいたとは本当の驚きました。関西の大学へ行かなかった事を悔やんだものです。場内の熱狂も物凄く、それまでよく行っていたNHK交響楽団の演奏会の何かおとなしい雰囲気と全く違うのでこの点も驚いたものです。
この日を境に私の心の中で「アサヒナ・タカシ」が「朝比奈隆」になったと言えるでしょう。
この時以降、私が大学を卒業して東京を去るまで出来る限り朝比奈隆のコンサートには脚を運びました。そしてブルックナーの醍醐味を知るという事になります。


以上です。私の音楽の原点の一つかもしれません。晩年の朝比奈隆の人気は凄まじいものがありましたが、こんな出会いをした人間もいるのです。もし私が朝比奈隆を知る事がなかったら、ブルックナーの魅力に気が付かなかったでしょう。だからブルックナーの演奏では絶対、朝比奈隆ははずせない。
eyes_1975様から頂いたコメントで、私はたいへん気が楽になりました。本当に、ありがとうございました。
>押されて聴くよりも自分の好きな演奏で楽しむのがベストでしょうね。
あさっては公休日。
いろいろ聴いていくつもりです。