OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

採用内定取り消し

2009-11-02 21:07:30 | 労務管理
2008.12.07(No.12)
気がついたらすでに12月。秋は社会保険労務士法制定40周年記念の式典の準備や労働時間等設定改善アドバイザーとして企業を訪問をしていました。その間に、景気はどんどん悪くなり、最近は「採用内定取り消し」「期間雇用者の解雇」などここ数年ではほとんどなかった雇用上の問題が起こってしまいました。採用内定取り消しについては、大日本印刷事件(最二小昭和54年)において、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが採用内定に留保された解約権の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる。」という判決があり、簡単にできるものではありません。今の時期の採用内定の取り消しは内定者にとっては厳しい、でも企業にとっても苦渋の決断のはず。ただ、できればこれから社会に出ようとしている若者に対して、企業は約束した労働の場を頑張って提供してあげてほしいと願います。これからの国の将来ということを考えれば、労働の場における人材育成は必ず必要だと思うからです。
 小磯社会保険労務士事務所は来年で17年目を迎えます。1月から、法人として組織を整備し、情報収集力を高め、より水準の高いサービスが企業に提供できるよう、頑張っていこうと考えて準備をしております。HPもリニューアルさせることになりますが、これからもよろしくお願いいたします。


協会健保の保険料率

2009-11-02 21:06:46 | 社会保険
2008.09.28(No.11)
 夜になると秋が来たな~と実感するこの頃です。仕事を終えて家に戻る道を、虫の音を聞きながら歩いていると、なんだかちょっと寂しい気がしてしまいます。この夏は顧問先企業の懸案事項を、労働基準法や判例、通達を念頭に置きながら、どのように解決するか毎日考えていました。そのほとんどが、時間管理に関する問題で名ばかり管理職の問題とも絡み、難しいものが多いと感じます。労働時間で賃金を決定することは、限界に来ているのではないでしょうか?
 ところで10月1日から政府管掌健康保険は全国健康保険協会(協会けんぽ)の管掌に衣替えします。医療機関で受診した場合の自己負担の割合や傷病手当金などの現金給付の金額や要件などは、これまでと変更はありません。ただ保険料についてはまだあまり話題になっていませんが、今後かなり論議を呼びそうです。保険料率は当初は政府管掌健康保険と同じ1,000分の82のままですが、1年以内に各都道府県ごとの医療費に応じた保険料率が決まり、保険料の額が異なってくるのです。年齢構成の高い県ほど医療費が高いため保険料率が高くなり、所得水準の低い県ほど同じ医療費でも保険料率が高くなることから、調整されるとのことです。それにしても、施行日を目前にまだ施行規則が出ていないので詳細が不明な部分が多いです。後期高齢者医療制度も周知不足で大混乱でしたが、制度の変更を、もっと十分に周知ができるスケジュールで進められないものかと思います。

法律の政策的効果

2009-11-02 21:05:08 | 労働保険
2008.07.25(No.10)
 だいぶご無沙汰してしまいました。冬の終わる頃から夏のこの季節までは、毎年とても忙しく、今年も例外ではなく事務所一同頑張って仕事をしていました。いよいよ社会保険労務士試験も残すところ後1か月ということになり、一般常識セミナーの準備で労働関係の各種統計を再度確認していたのですが、数字を見ていると政策的効果というのは結構現れているものです。年齢階層別完全失業率は平成19年平均で見ると55歳以上の数値が非常に良くなっています。景気の状況もあると思いますが、やはり平成18年4月施行の高年齢者雇用確保措置が効果を発揮しているように思います。この制度は、制度施行2年前くらいまでは企業では反発が非常に強くありましたが、法改正が決定し施行1年前になると各企業ともきちんと検討をはじめ、制度導入企業は従業員51人以上規模企業で91.3%(平成19年6月現在)となっています。日本企業の意識の高さの現われだと思います。継続雇用制度における賃金水準も、制度導入当初は各企業ともやや低めに設定していたと思いますが、順調に60歳以上の労働者の受け入れが行われ、このところ賃金水準も少し高めに設定する企業が多いように感じています。そのような企業努力がこの数字に表れているのかと思うと、ある種感慨のある数字でもあります。


後期高齢者医療制度について

2009-11-02 21:04:33 | 社会保険
2008.5.19 (No.09 )
後期高齢者医療制度が混迷を極めていますね。昨日講義でこの制度を規定している高齢者医療確保法の目的条文を読みましたが、この制度が医療制度の問題点の解決を目指していることが良く分かります。
この法律は大きく2つの目的を持っていて、1つは前期高齢者が加入する保険制度間で生じている格差を修正するための納付金制度の新設です。現役を引退後加入する国民健康保険は、現役世代が加入する健康保険よりも給付がかさむのに保険料収入は少ないという状況です。そのやむを得ない格差を補うわけです。
2つ目が、増え続ける高齢者の医療費について、高齢者にも負担をしてもらい、同時に医療費を抑制しようということです。従来の老人保健制度では、かなりの部分で現役世代が負担する老人保健医療費拠出金でまかなってきました。この拠出金は非常に負担が重く、負担割合も分かりにくく、10年程前から高齢者のための独立した制度が検討されてきました。ちなみに後期高齢者医療制度の負担割合は公費5:現役世代拠出金4:高齢者保険料1です。現役世代の負担はやはり重いのです。
それにしても国会で十分に審議を尽くし、また国民に納得してもらってから実施して欲しかったと思います。時間は十分あったと思いますので。

管理監督者の定義

2009-11-02 21:03:40 | 労務管理
2008.03.31(No.08)
 いきなり桜が満開になりました。春になると気持ちがすがすがしくなるような気がします。ところで1月28日に、東京地裁でマクドナルドの店長は管理監督者にはあたらないという判決が下りました。管理監督者は、労働基準法第41条で労働時間・休憩・休日の規定の適用を除外されているため、残業等の概念自体がないということになっています。ここで企業としては、自社の取扱いが管理監督者の定義にあてはまるかどうかを検証しておく必要がありますが、定義は以下の3つがポイントになります。
① 責任と権限の程度 ②勤務時間の自由度 ③賃金等の待遇の程度
ただ、部下がいない場合はどうなのか?など厳密に上記のポイントをあてはめるとなるとかなり厳しいものであるため、ある程度総合的に判断されることにはなるようです。このうち特に重要なのは②の勤務時間の自由度です。
また、マクドナルドのケースの場合は、時間外労働が多い月は100時間を超え、2~6ヶ月平均で80時間を超過するような長時間労働であったとの実態もあり、管理監督者か否かという問題以外の問題を内包していると考えられます。さらに、この判決はまだ地裁でのものであるため、今後の経過を見守りながら、企業ごとに対応を検討していく必要があると思います。


平成20年パート労働法改正

2009-11-02 21:02:49 | 法改正
2008.02.08(No.07)
 今年は本当に寒い日が多いですね。心待ちにしている桜が咲くまでにはまだ少し時間がかかりそうです。とはいっても、今年4月に改正施行されるパート労働法への対応については、急ぎ準備が必要なパートさんが多く働いている企業はかなりあるのではないかと思われます。
今回の改正ポイントのひとつに、パートタイマーの定義を4分類して、そのひとつを「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」と定義していることがあげられます。
この同視すべき短時間労働者の賃金・教育訓練・福利厚生は、正社員と差別的な取扱いが禁止されます。同視すべき短時間労働者とは、3つの項目で判断されます。つまり正社員と同じ仕事をしており、異動や転勤も同様にあり(または正社員も異動・転勤などはない)、契約期間の定めがないか、あっても更新を繰り返しているため期間の定めのない契約と同様の状態になっている、というパートタイマーをいいます。正社員との差別禁止ということは、例えば賃金を決める際には、同じ賃金テーブルを使わなければならないということになります。
ここでのポイントは、労働時間が短くても同視すべき短時間労働者に該当することがありうるということです。3つの項目をきちんと検証して、違法にならないような対応をとっておくことが大切です。

平成20年新年のご挨拶

2009-11-02 21:01:53 | OURS
2008.01.07 (No.06 )
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
今年のお正月はお天気も穏やかでしたし、年末より事務所も10日間お休みを頂いて、スタッフとともにこれからの1年に向けて気持ちを新たにしております。
昨年後半は、企業へのご提案のたたき台となる就業規則のモデルの充実と併せて適格退職年金の対応や確定拠出企業年金の導入などの業務を中心に行いました。今年はそれをさらに発展させた形で、企業の子会社の吸収合併やM&Aの際の社会保険、労働保険関係の手続のノウハウ及び法令順守に基づく規程類の統合のアドバイスなど、これまで行ってきた業務をまとめてご提供できるようにする予定です。今後これらの業務を主力業務に育てていこうと考えております。
また、春には、パートタイム労働法や労働契約法が施行されます。これらの法改正への対応について、このコーナーでワンポイントアドバイスができるようにと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

適格退職年金の移行

2009-11-02 21:00:12 | 年金
2007.12.08 (No.05 )
今年も非常に忙しく、あっという間に12月が来てしまったという気がします。
この秋は適格退職年金から確定拠出年金(DC)や中退共への制度移行の仕事がいくつか並行してありました。これまで敬遠されがちであったDCも、社員の年齢層が若い場合は抵抗感がなく受け入れられるようになってきました。
確かに中小企業向けに設計されているパッケージプランは、思ったよりずっと導入も運用も手間がかからないので、認識を新たにしました。問題は60歳にならないと受け取れないため、例えば、40代で退職金を利用して起業する場合でもその時点では使えないなど、退職金とは意味合いが異なってくること、専業主婦になった場合個人型すら加入できず、掛金を追加拠出できないという部分でしょうか。
どちらにしても、適格退職年金は平成24年3月末で廃止になります。その後は、掛け金の全額損金計上などの税務上の優遇措置はなくなり、退職金の外部積み立てのメリットがなくなります。適格退職年金にまだ加入している企業は、自社の退職金制度を総合的に検討して移行先について最良の選択をする必要があります。

平成19年雇用保険法改正

2009-11-02 20:59:15 | 労働保険
2007.09.17(No.04 )
雇用保険法が10月より改正されます。一番の改正点は、おおざっぱに言えばこれまで6箇月勤務して退職すれば基本手当(失業給付)を受けることができたのが、改正後は特別の事情がなければ1年以上の勤務が条件になることです。
特別の事情とは、特定受給資格者としての退職で、これまでどおり6箇月間勤務することで基本手当を受けることができる場合です。特定受給資格者とは、倒産や解雇等いうなれば非自発的に退職を余儀なくされた場合の資格でしたが、改正後はさらに正当な理由での自己都合退職者で6月以上1年未満勤務したものが加わります。
これまで、退職理由によって3箇月は受給を待たなければならない給付制限のあるかどうかの差はありましたが、受給資格が発生するしないの有利不利が生まれてしまうことはありませんでした。
以前は「一身上の都合」という退職理由が一般的でした。平成13年の改正で特定受給資格者という一般より給付が手厚い資格が登場したため、退職理由について正確に把握することに神経を使うようになりました。今回改正では、さらにトラブルを避けるためにも、会社は被保険者との間で、退職理由を詳しく正確に共有しておく必要がますます高まったといえます。

新標準就業規則

2009-11-02 20:57:58 | 就業規則
2007.07.23(No.03 )
今春の雇用保険法の成立遅れに続き年金問題が発生し、ここまで事務所はいつもより業務のスケジュールが立ちにくく落ち着かない状態だったと思いますが、算定もほぼ終わり一段落したところです。
小磯事務所のモデル就業規則は、ここまでかなり忙しい中で、少しずつ時間をとって、これまでのものをさらに強化すべく、作り込んできました(仮称・新標準就業規則)ので、この夏には顧問先を中心に「リスクに備えた加筆部分」を提供できることになりそうです。
秋からは適格退職年金の対応と労働時間管理について、集中して力を入れていく予定です。適格退職年金については、事務所内のスタッフでプロジェクトチームを結成し、労働時間管理は私が労働時間設定改善アドバイザーとして各企業のご相談を受ける中で事例の蓄積をしていきます。
社会保険労務士試験もあと残すところ1ヵ月となり、受講生は本当に追い込みに入り辛い時期でもあると思います。今年こそは良問が揃い、実力の十分反映できる本試験であることを願うばかりです。

消えた年金

2009-11-02 20:57:19 | 年金
2007.06.05(No.02 )
消えた年金が大きな問題になっていますが、昔から、社会保険事務所がなぜ年金手帳を活用しないのか疑問でした。年金手帳には加入記録欄があり、つい最近まで資格取得・喪失の手続きの際に添付していたのですから(現在は氏名変更時のみ提出)、都度記入すれば良いのにと思っていました。
カネボウの人事労務担当をしていたときは、必ず社員の年金手帳に資格の取得・喪失年月日を記入していました。当時の社員の方の記録が社会保険庁で消失していても、あの時の年金手帳の記録が証明の役割を果たして欲しいと願っております。それにしても、この問題は社会保険労務士としても組織的に協力して、早期に解決しなければならない問題だと思います。
現在、事務所に依頼が多いのは労働時間管理についての相談業務です。専門型裁量労働制や1箇月単位の変形労働時間制の上手な導入により、企業もコンプライアンスを遵守し、社員も納得できる状況を作り上げることが可能です。
この話はまた次回に‥‥。

開業15周年

2009-11-02 20:56:06 | OURS
2007.04.05(No.01 )
今年の春で小磯事務所も開業15周年を迎えました。何もないところからのスタートでしたが、ひたすら走り続け、企業の経営者・人事担当者・受験指導をしているTACの受講生・合格者OB・同業者の社労士と多くの方に励まされ、アイディアと元気を頂きここまで来ることができました。有難うございます。
ホームページのリニューアルを機に、情報提供等を中心としたコーナーを設けることにしました。現在、事務所が力を入れている業務などをお知らせしていこうと思います。
最近の勉強テーマは、いざというときに使える強い就業規則についてです。記載がない、そこまでは気がつかなかったということで、今ひとつ痒いところに手が届かないことがあるものです。
また法改正・世の中の状況の変化、判例の流れなどにより常に対応できるものをメンテナンスしていく必要があり、非常に奥が深いものだと思います。労働契約法が施行されれば就業規則の役割は非常に重要です。まずは就業規則の診断をお勧めします。