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永人のひとごころ
終活の大後悔・七
終活の大後悔・ 七
子供にとって親の遺品は、ただのモノと言うより大切な思い出である。
愛着のあるものを手元に残すことで得られる喜びやエネルギーは確かにあるのだ。とはいえ、自分よりも家族が片付けに困りから――そんな気持ちで生前整理に取り組んでいる人も多いだろう。
しかし実際には、物を捨てることで負の影響を被るのは当人だけではないと明石さんは話す。
「親が行う終活で悲しい気持ちになることが多いのは実は残された例。親は良かれと思ってモノを処分しても、子が悔やんだり、嘆いたりすることが多いんです」(明石さん)一時期積極的に終活を行っていた紫苑さんそうした経験が有るという。
「紙焼きの写真時代だから2人の子どもの写真も膨大にあったのですが、身の回りの整理を進める中で移りの悪いものをバッサリ捨てて半分くらいになったんです。でもある時に、子どもたちが『あの写真がない!』と言い始めたんです。結婚式では子どもの頃の写真を披露しますが、そのための写真を選ぶ際、本人たちにとってたいせつな写真がなく、騒動になったことがあります。以降、写真を捨てるときは子供たちの許可を得ることを肝に銘じました。(紫苑さん)
紙焼き写真のように、思い出が詰まっているうえに、一度捨てたら買い直すことのできないものはトラブルになりやすい。
都内在住の藤田 恵さん(仮名・34歳)は10歳の時に両親が離婚して母子家庭で育った。
半年ほど前、一人娘だった藤田さんの結婚が決まると、母は荷物整理の意味も込めて終活を始めた。藤田さんがショックを受けたのは、「父からの手紙」を母が処分したことだった。
「借金を背負って夜逃げ同然にいなくなった父は、落ち着いてから時折、私の様子をうかがう手紙をよこしていました。母としては、『娘を育てたのは私』との思いから、すべての手紙を捨てたのでしょうが、思い出が消えてしまった上に、父の所在が不明になってしまいました。結婚式に呼ぼうと思っていたので、ショックで・・・。
母を責める気はありませんが、実の父との繋がりが失われ、寂しくて仕方ありません」(藤田さん)親に関わる品は、単なるモノではなく、かけがえのない『心』と深くつながる。 続く
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