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こころの除染という虚構118

こころの除染という虚構

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校長は母たちの前でこう言った。

学校は最善のことをしています。そういった中で、このように心配されるお母さん方がいるわけですが、お母さんたちの気持ちにこれ以上、学校は沿うことはできません

 学校のトップが、親の気持ちを尊重しないと、面と向かって言ってくる。道子には今、何が起きているのかが解らない。

真意をつかみかねている母親たちに校長はこう告げた。

ここは伊達市の学校です。私たちは公務員ですから

そんなことはわかっている。それが一体何だというのだ。

子どもを教育する機関に勤務する、こどものために働く公務員、公立校の教員とはそういう人たちのことを指すのではないか。

いぶかしむ母親たちに、校長はさらりと言う。

何なら、お母さんたちの思うようにできる、私立もありますから

 これ以上つべこべ言うなという宣告だった。学校の言うことを聞けないのなら、私立の小学校へ行けばいい退場通告。その言葉を道子は今も忘れない。感情のかけらもない薄っぺらさ。この校長は行政が言えば、簡単に子供の健康も未来も差し出すことができるのだ。

 この日の測定でも小国小学校の線量が、決して低くはないことが明らかになった。2マイクロシーベルト毎時を超えるところが数か所あった。

正門(敷地外・左プール脇)は1メートルの高さで8・70、

体育館裏(土)は50センチの高さで3・30、

校庭の南東は0・83、

北東端は1・40、

プール脇排水溝(西)は2・80・・・

プール脇排水溝(南)の表面汚染は27万ベクレル・㎡。

この測定結果を保護者に公表し、役立ててほしいと学校側に渡したが「要らない」と返却された。

11月19日発行の学校だより「たてやま」には、「頑張りに拍手を!」と題し、子どもたちが、持持久走大会で走る写真が大きく掲載されている。

 

「苦しさに耐え、ゴールを目指す子どもたち」

「下級生の大きな声援『がんばれー!』」

「先頭をひたすら追い続ける第2集団」

写真のキャプションは、放射能のことなどまるでないかのようだ。

 持久走大会の4日前の11月11日住民から「小国小のプール側の放射線量が高い」という報告があり、民間団体「安心安全プロジェクト」がプール付近の線量調査を行った。プールの排水が流れる用水の地表。

30マイクロシーベルト毎時まで検出できる「日立アロカ」の測定限界を超え、

 別の測定器で測定したところ84・76マイクロシーベルト毎時、という測定値が出た。続く

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