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インバル指揮ベルリン響のマラ9を聴いて来ました

2005-03-08 | Weblog
サントリーホールで聴いてきました。率直な感想は「いい演奏会だった!」です。ベルリン交響楽団はもともと東ドイツ時代にベルリンで作られたオケですが、最近は団員を若返らせて、数年前に就任したインバルの「ベルリンフィルに近づく」という号令のもと、随分と実力を増して来ているようです。
実際、今日の演奏会、マーラーの9番というオーケストラの技量がもろに問われる難曲をミスも殆どなく、随分と分厚く、その上輝きのある音で演奏してくれました。ホルンとコンマスのソロはブラボーものでしたね。あと前プロがなかったせいか、1楽章はオケ自身がちょっと乗り切れなかった感があったのですが、2楽章の冒頭を、セカンドバイオリンが気合いの入った音で弾き始めてかた、がらっと雰囲気が変わりました。2ndVnは若い奏者が目立ちましたが、その若さが好い方向に働いたようですね。チェロの前のほうも随分と燃えてましたね。木管は特にフルートとエスクラが良かったです。

指揮者のインバルといえば、フランクフルト放送響を率いて、マーラーブームの先駆けを作った人ですが、もう70歳近くでどこか体調が悪いのか、楽章間は椅子に座って水を補給したりと、
見ているほうは随分と心配しましたが、指揮を振っている最中はかなり力強く集中力が途切れませんでした。3楽章は冒頭からいいテンポで、コーダの加速は絶品。鳥肌がたちました。終楽章は、一般的な「死」を感じさせるような枯れた演奏には終始せず、オーケストラの能力を十分に発揮させて「生命力のある」演奏でした。パンフにもあったのですが、マーラーは9番で絶筆したわけでもないので(10番を書いてる)「死」の解釈にこだわる必要なないのではという意見にはちょっと賛成です。この観念に固執しすぎて、指揮者も奏者も変に空回りし、実の薄い演奏をよく聴くのですが、今日の演奏のように、「合奏」という観点でまず音楽を素直に構築しても、この楽章は十分に表現できるのではないかなと。

残念だったのは1階席がガラガラだったこと。スポンサーや主催者はもう少し考えたほうがいいですね。宣伝とか。あれだけの名演奏を聴かせてくれたのに、ちょっと奏者には気の毒でした。それほど高いチケットでもないし、インバルでマラ9なら絶対入ると思うのだけど、平日ってのが不味かったのですかね?みんな先月のバレンボイム=シュターツカペレに投資しすぎたか?(ああ、これかも)しかし、今日のお客さんは「本当に聴きたい」人たちばかりだったような感じで、団員の入場の際の拍手とか、最期の音の余韻の楽しみ方とか、スタンディングオベーションとか非常に温かく会場の雰囲気を演出していました。ほんと、私も久しぶりに最期までのこって心から拍手しました。次はベルリンの本拠地(シャウシュピールハウス)で聴きたいものです。



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