Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

シューベルト「Die Forelle」(ます)

2005-04-30 | Weblog
今日は久しぶりに「ます」を生で聴いたのでその話題。バスを弾いていたら絶対に弾いてみたいというか、唯一参加できる有名な室内楽曲。私も学生時分に随分と背伸びして全曲を発表会で弾いたものですが、あの時はアップアップでしたねえ。テクニック的な問題もさることながら、とにかく「長い」!繰り返しを真面目にやると通すのに40分くらいかかるわけで、あの時聴かされていたお客さんは大変だった思います。この曲は様々な有名カルテットが録音を残していますが、私は録音は一つしか持っていないことが判明。アマデウスQ団員にギレリス、バスがベルリンフィル団長のツェペリッツ(写真)という「パワー」全開の迫力満点の録音です。アマデウスQのテクと推進力は流石の一言。(私が一番好きなQでもあるのですが)ただバスに関して言えば、昔はツェペリッツ独特の大砲のような「炸裂音」に惚れ込んだときもありましたが(今でも尊敬してやまないのですが)、室内楽では、もう少し温かくて包容力のあるバス音が最近好きなので、過去に生で聴いたポッシュの演奏が自分の中でが一番かなと。今日の池松さんの演奏もそういう意味で素晴らしかったですね。うーん、いつかもう一回くらい演奏したいなあ。ちなみに私は5楽章が一番好きです。今度は池松さんのソロCDの紹介をしたいと思います。

映画「エド・ウッド」

2005-04-29 | Weblog
学校に行く途中に東京で途中下車して、国際フォーラムで行われている演奏会をちょっと聴いていこうかなとチケット売り場に行くと、凄まじいまでの長蛇の列。ここは万博かよ!とブツブツいいながら、そのまま素通りして有楽町線に直行。きちんと前売りで買うべきでした。で、夕方に再び訪れて明日のチケットをゲットしました。

さて、先日話した映画「エド・ウッド」についてです。。最近DVDを購入して何度も見たのですが、いや何ともよく出来た映画。終始笑いっぱなしです。エド・ウッドとは、史上最低の映画監督と言われながらも、いまだにカルト的な人気を(特に業界人から)誇っているハリウッドの映画監督です(故人)。本作は彼の半生をジョニー・デップが演じているわけですが、シリアスもコメディもこなせるデップならではの好演が光る作品です。エド・ウッドはその場の思いつきと低予算で酷いSF映画を作り続け、生前は(死後も?)全く評価されなかったのですが、監督している本人は至って真面目で、その突飛な発想と現実のギャップがたまらなく味わい深い。一番ぶっ飛んでいることは、彼には幼い頃から「女装癖」があるということ。しかもそれを隠すこともなく、なんと自分を主演にして女装癖に悩む男性の映画を取ってしまう!ジョニー・デップがカツラをつけアンゴラのセーター(同棲中の彼女の!)を着けて監督をするシーンは報復絶倒です。さらに彼と薬漬けになった往年のドラキュラ俳優ベラ・ルゴシとの友情話も心温まるものがあります。ベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーは彼自身も似たような境遇だったのか、役者魂全開の素晴らしい演技を見せてくれます。ドラキュラ役に徹してるときの迫力と舞台裏でのしょぼくれ老人のギャップがたまりません。彼は本作でアカデミー助演男優賞を獲得していますが当然の受賞といえるでしょう。そのほかにも脇役陣も一癖ある名優で固めています、インチキ預言者にジェフリー・ジョーンズ(映画「アマデウス」の皇帝)、オカマの友人としてビル・マーレー(ゴーストバスターズ)、エド・ウッドの彼女役にエミー賞受賞のサラ・ジェシカ・パーカーがこれまた光るコメディタッチで好演しているのです。彼女のことは全く知らなかったのですが、非常にキュートなコメディ演技をしていて印象に残っていたので調べてみると、今ではテレビコメディ界の大女優になっていました。そしてヴァンパイラ(怪奇番組を紹介する魔女みたいなメイクをした役者)をリサ・マリー。作品内で彼女がまともな化粧で登場するシーンがあるのですが、そのハスキー声と美貌に・・・。どうやら本作品の後、ティム・バートン監督の奥さんになったようです。ははは。本作はティム・バートンの遊び心とセンスが凝縮された一作といえますが、天国でエド・ウッド本人もにんまりしているのではないでしょうか?

なぜかタイタニックを見る

2005-04-22 | Weblog
朝寄ったコンビニで1000円で売ってたので、DVD買ってしまった。昔に一度ビデオを借りて見たときは、あまりにもの予定調和型映画に興ざめだったのですが、今見ると、ていうか自分も年を食ったのか、ちょっと感動しました。特にディカプリオの演技に。ディカプリオはいい俳優なのにな。今年の「アビエイター」ではアカデミー取れませんでしたね。私は「ギルバート・グレイブ」という映画を見たときに彼のことを初めて知ったのですが、その抜けるような演技に「将来こいつは大物になるぞ」と感じたのですよね。(この映画では知的障害児の役でした。)まだまだ若いですからこれから活躍に期待しましょう。そう「ギルバート・グレイブ」ではジョニー・デップがディカプリオの兄役で主演をしていました。彼の演技にも非常に印象づけられました。実際、私が今一番好きな海外の男優はジョニー・デップなんですね。近いうちに彼主演による伝説的なB級SF映画監督エド・ウッドの半生を描いた映画「エド・ウッド」を紹介しましょう。

ヒラリー・ハーン

2005-04-20 | Weblog
遂に書きます。Hilary Hahn、25歳のアメリカ人女流ヴァイオリニスト。若手ヴァイオリン奏者の中ではすでに別格の存在となりつつありますね。彼女の録音を初めて聴いたのはベートーヴェンの協奏曲の録音だったのですが、その安定感とテンポ感に私は瞬時にはまったしまったわけです。とにかく巧い!巧過ぎる!批判的に書く人はこの巧さを「CG」的と例えますけど、ハーンの音楽はそんな無機質的なものでは無く、完璧な音程に加えて、音色が柔らかくかつ輝かしくて、ヴィヴィドに溢れる熱演なのです。(マンセー口調ですな)さらに私が感心するのは、伴奏との絶妙な噛み合いです。彼女が演奏すると、楽譜の構造が全部透けて見えるというか、全てがうまくはまっていて曲の流れに全く曇りがないんですよね。あまりにも巧過ぎて「面白くない」という人もいますし、それは巨匠オタの私もちょっとばかし認めるのですが(私はオイストラフのファンでもあるので)、でもそれを超えて、ここまで曲そのものの美しさを真摯に、かつ生命力を持って表現する奏者はこれまでにいなかったでしょう。(そういう所はアルゲリッチに似てるのかな。)写真はメンデルスゾーンとショスタコの協奏曲のCD。こんなに爽快で「格好いい」メンコンはこれまで聴いた事なかったですし(この演奏でやっとメンコンが好きになりました)、ショスタコの最終楽章なんてCDで聴いていても拍手したくなる興奮的な演奏です。そういえば、ベルリンフィルと来日したときも、この曲で日本の観衆のどぎもを抜いていましたね。このCDの前の録音であるブラームスも素晴らしかったですね。ほんと、彼女の演奏に一度慣れてしまうと、他の奏者の演奏が聴けなくなってしまうのですよね。一種の麻薬みたいな所があります、彼女の演奏には。彼女のWeb siteがあるのですが、彼女のツアーの予定を見ると一年中びっちり埋まっていますね。バックハウスのように弾いて弾いて弾きまくって、音楽そのものを自分の血肉としていることでしょう。さらに訪れた町を伝えるハーン自身の日記も彼女の素直さがでていて好ましいです。来月は待ちに待った来日ですね、前回の初来日でのサンサーンスのソナタは今でも忘れられません。勿論今回もソロコンサートもN響との共演も聴きに行く予定です。

ベルリン・ドイツ交響楽団(DSO)を聴きました

2005-04-20 | Weblog
ケント・ナガノ指揮による演奏会。曲目は庄司紗矢香によるメンデルスゾーンのVn協奏曲とブルックナーの6晩。DSOはもともと、西側のベルリン放送響でして、東西ドイツの統合に伴って現在の名前になりました。フリッチャイ、マゼール、シャイー、アシュケナージを歴代の音楽監督にすえ、現在はケント・ナガノがその地位にあります。楽器配置は通常配置。さて感想ですが、ちょっと辛口ですが前半のメンコンはいただけなかった。いかんせんソリストのテンポ感が悪過ぎる。安全運転しすぎ?と思わせるくらいの落ち着きで、3楽章では前にいきたいオケと噛み合ず、あちこちでズレが目立ってしまいました。さらに音程が悪い。前に彼女の演奏を聴いたときは「巧いなあ」と感心させられたのですが、今回は技術の荒が目立ちましたね。調子が乗らなかったのでしょうか?それとも、最近私がヒラリー・ハーンの演奏に聞き慣れてしまったからかな?音も中膨らみのような感じで、この表情付けがメンデルスゾーンの爽快さを打ち消してしまって非常に不満でしたね。でも彼女のVnは結構好きなので、次回に期待です。さて後半のブルックナーですが、まず非常によく鍛えられたオーケストラだと感じました。特に低減の迫力は凄かったですね。ケント・ナガノの指揮は初めて見たのですが、端正で的確な指示を出すいい指揮者だと思いました。ただブルックナーにしては「霊感」みたいなものが足りないのかなあ(安っぽい表現ですが)。まあこれは人それぞれの好みだと思うのですが(私はフルヴェンオタクなのでね)ちょっと真面目に?振りすぎてないかなと思ってしまいました。もっと「魂の発露」みたいなものを感じたかったのですがねえ。まあそれはおいておいても、全体的に非常によい楽団だと思いました。前回のベルリン響でも感じたのですが、やはり欧州の楽団は弦と管のバランスがいいですね。最近DSO=ナガノのコンビはマーラーの録音を勢力的に出しているので、今度それを聴いてみようかと思います。

「呪いのデュマ倶楽部」

2005-04-17 | Weblog
監督ポランスキー=主演ジョニーデップのコンビで撮られた映画「ナインスゲート」の原作です。非常に読み応えがありました。こういった「知的遊戯小説」は私の好みの一つなのですが、作者の下調べと知識量が半端でなく、引き合いに出される引用文献の数が多いほど燃えてきます。生きているうちに知らなきゃいけないことはまだまだ多いなと思わされるのです。本書の内容は前述した「三銃士」の初稿を巡るミステリーと、映画の主題でもあった悪魔を呼び出せると言う稀覯書を巡るミステリーが絡みあっていく話です。中世における悪魔学(学問的な)についての蘊蓄の披露が膨大なのですが(興味深い)、いわゆるファンタジーな場面は一つもなく、おどろおどろしいオカルトを期待している人には肩すかしだと思います。私は逆にそこが気に入ったのですが。あと、三銃士の人物配置をきちんと知らないと、登場人物同士の会話内容について行くのは難しいかな。本書には、主人公を助ける「悪魔(サタン)」自身と思われる美女が登場するのですが、彼女の発言が非常に興味深いです。(彼女は普通の人間で魔法とか使ったりしません。鼻血をだしたりします。)

「君はだれなんだ?」「悪魔」と彼女はいった。「恋する悪魔よ。」
「勇気にだって代償が必要なの。神様に立ち向かうにはうんと勇気がいると思わない?」
「(彼=サタン)に従ったものの多くは、服従か自由か、創造主か人間かの選択の時だって理解しなかったの。」
「何百日も何百晩もなんの慈悲も望みも無く戦ったわ」「それが私のプライドの唯一の源よ、最後まで戦うことがね。ついに私は、戦いを終え、冷たい孤独な永遠のような寂しい荒涼として中を歩いている自分にきづいたの。」

これらは、ミルトンの「失楽園」の影響だと思いますね。天上界での「政争」に破れた天使。天国も人間界と一緒ってことですね。

この話は「本」もまた主人公の一人なわけですが、私は西欧の書物文化には非常に興味があります。革張りの表紙、厳選された紙、フォントの選択と配置、版画、挿絵。世には愛書家とかビブリオマニアといわれる古書蒐集家がいますが、気持ちはわかりますね。

アルゲリッチのチャイコフスキー『超絶!」

2005-04-16 | Weblog
帰りがけの中古屋で、アルゲリッチが1980年のショパンコンクールのオープニング弾いてみせたチャイコフスキーの協奏曲のライブ録音を手に入れました。聴いた感想は「絶品」の一言。いや、さすがですねえ。全く弛緩せず持続しつづける緊張感と、粒のそろった光り輝く音の洪水に、音色の虹色の変化!やっぱアルゲリッチは最高だなあ。勝手な還元ですけど、彼女の目指す所はフルヴェンと似ていると思うのですよね。音楽の本質ってものを正直に前面に出してくるってとこで。解釈の「披露」でなく、「音楽そのもの」の力を魅せるというか。技術もずば抜けてるし、うーんやはり私はアルゲリッチは大好きですねえ。これまでチャイコの協奏曲はリヒテル=ムラヴィンスキーが一番気に入っていたのですが、今日からはこの録音がトップになるかも。
このCDは録音も素晴らしく良く、伴奏のワルシャワ国立フィルもアルゲリッチの熱気に負け時と素晴らしい集中力。こんな演奏を生で聞いたらは絶対に最後の音が消える前に拍手してしまうでしょう(拍手入りです)。カップリングには同じコンビで、シューマンの協奏曲も入ってますが(ライブ)、こちらも最高でした。そして続くアンコールでのバッハのイギリス組曲、ショパンのマズルカ63-2、スカルラッティ、そしてアルゼンチンの作曲家ヒナステラの小品「粋な娘の踊り」。選曲も粋ですねえ。そういやバックハウスもアンコールが結構粋なんですよね。いや本当に絶品なライブ録音です。現在廃盤らしいですけど見つけたら絶対に手に入れるべき1枚と思います。

三銃士

2005-04-14 | Weblog
今読んでいる本がデュマの三銃士に関係しているので、ちょっとその話を(その本の感想は後日)。三銃士は自分の人生の中でも一番わくわくして読んだ本ですねえ。ストーリーもいいのですが、貧乏な登場人物たちがそれぞれの個性をいかして金策に走り回ったり、当時の料理の描写が詳しかったりと、何度読み返しても飽きません。デュマ自身がかなり自由奔放な生き方をした人なので、そういう薀蓄の披露ができたのでしょう。(私自身、色々な雑学を披露してくれる人が好きですし、自分もそうありたいと思ってますが)現在、三銃士は色々な出版社から出ていますが、私は綺麗な銅板画を全編に挿入している福音館の上下巻が最高だと思います。(福音館の古典童話全集はどれも素晴らしい。)
この三銃士には長い後日談というか長大な続編があるのですが、「二十年後」「ブラジュロンヌ子爵」と続き最後は有名な「鉄仮面」の話で終わります。講談社から全巻が刊行されており私はそれを持っていますが、現在は廃刊のようです(しかし、復刊ドットコムで再販されてます)。登場人物の中で一番私が興味をもった人物は「アラミス」ですねえ。「三銃士」の頃はただの聖職者希望の優男として描かれてますが、続編になるとがらっと性格が変わるというか本性を出してきて、恐るべき「陰謀家」となっていきます。高貴な婦人を愛人にもつことで王家内の機密事項を入手し、さらにはキリスト教系秘密結社のボスになって、フランス国そのものを手玉にとって暗躍します。「鉄仮面」事件で敗れた彼はスペインに亡命し、そこで公爵となって再び外交官としてフランスを訪れ、フランスとオランダ間の戦争をマネージするのです。結局ダルタニャンはこの戦いで戦死してしまい、アラミスだけが生き残って話しは終わるのですが、(アトスは病死、ポルトスは「鉄仮面」事件でアラミス側について死亡)私はこういう「美しき悪?」ってのに惹かれますねえ。デュマも気に入っていたキャラなのではないかな。(朝から何か書いてるんだか)