Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

アバド=ルツェルン祝祭管によるマーラー5番を観る。

2005-07-17 | Weblog
2002年の「復活」があまりにもよかったので、昨年の5番の映像も音楽祭のHPを通してダイレクトに手に入れました。メンバーは復活のときのものとほぼ同じ。ただ、残念ながら人気のカプソン兄弟とフルートのパユ氏はのっていません。またチェロの頭がベルリンフィルのファウスト氏でなく、ウィーンフィル首席のバルトロメイ氏(上手い!)。バスの首席は勿論我らがポッシュ氏です。バスは何と11人で弾いていました。
演奏解釈は「アバドらしい」いたってオーソドックスな感じ。とりたてて「凄い!」と感じるような演奏ではないですが、曲のよさを上手く引き出した快演です。ラトルの作為的な演奏に不満の人にはこの映像はいいリファレンスになるかもしれません。3楽章のホルンソロはラトルのように舞台前ではないですが、楽章中はずっと立たせて吹かせています。奏者が同じベルリンフィル首席のドール氏だったので、そういう配慮をしたのかもしれません。今回でも素晴らしい演奏をしてくれてます。
映像はちょっと全体的にクリアさがかけるような。あと音量レンジも低いような気がします。しかしカメラの数はかなり多いようで、私の目的であるバスパート(特にポッシュ)を非常によく映してくれているので問題なしです。今年は7番を演奏するようですね。ルツェルン祝祭音楽祭

ブーレーズ=ウィーンフィルのマーラー「悲劇的」

2005-07-14 | Weblog
前に書きましたが、マーラーの6番をアバド=ベルリンフィル、ブーレーズ=ウィーンフィルで何度も聴き比べてます。(少しずつ覚えてきました)まず録音に関しては圧倒的に後者。スタジオ録音だからということもあるが、各音符がくっきりと聴こえて実に爽快。オーケストラの腕は互角ですが、録音のせいかもしれないでうが、ウィーンフィルのほうがまとまって聴こえます。まあ、これは指揮によるところが大きいと思いますが、ベルリンフィルはよく聴くとアンサンブルがときどきばらけたり、ほつれたりする。(アバド病再発か?まあライブだし)しかしベルリンフィルはそれを補ってあまりある音圧とスーパーテクで聴くものを圧倒してくる。まあウィーンフィルが王道なら、ベルイリンフィルは覇道って感じかな。全体の解釈はもう正反対ってほどではないが、ブーレーズの淡白で見通しのよい演奏に対して、アバドはアバドなりに盛り込みたい感情の起伏を表現している、でもこれはバーンスタインのようなドロドロさではない。ブーレーズ盤は「爽快」、アバドのほうは「圧倒」。かといってアバド盤にサプライズはないですね。4楽章は随分と引き込まれますが。さてじゃあどちらが好きかと言われると、実はブーレーズの録音が6;4で勝ちかな。もともとが複雑極まりない大曲であるから、逆にブーレーズ盤くらい淡白でも曲の良さが十分に浮きぼりにされてくるような気がします。さら弦と管の音色に統一感があって(ウィーンフィルの特権!)、大音量の中にも室内楽っぽい美しさを感じるところかな。それと冒頭のバスの低音の刻みが圧倒的にウィーンフィルのほうが迫力があるということ。(これが決め手かも)。録音のせいだろうけど、ウィーンフィル盤のほうがバスはよく響いて聴こえます。ウィーンフィルのバスって見た目にはスゴテクって感じは全然しないのだけど、本当によく聴こえるだよね。やっぱオペラでの経験とウィーンフィル並びで最後列で弾くため、遠くまで音を飛ばしてかつ遅れないっていう技が特化しているんだと思います。ザルツでウィーンフィルのオペラを見たときはこのバスに本当に吃驚したものです。

駄作の極み「エピソード3」

2005-07-10 | Weblog
観ましたよ(現地でね)。いやあ本当に酷い作品でした。スターウォーズというブランドを完全に汚してくれました。下手糞なCGの連発(学芸会の背景レベル!あからさまに絵とわかるCGなんて意味あんのか?)と大根な役者に稚拙な脚本と演出。音楽までも最悪(ジョンウィリアムスはもう駄目だね)。酷かったです。まあ何て言うのかな、最近SWオタってのがいるじゃないですか、グッズとか人形とかお面とかをしこしこ集めたりしている人たち。ああいう方々にはいいんじゃないですかね、わかりやすくて、色々と新キャラも出てくるしね。ほんと、少年ジャンプにでも漫画で連載すれば好いレベルでしたよ。ルーカスはどこで泣かせるつもりだったのですかね。「ハンカチを用意すること」だとか言っていたけどさ。
今テレビで「帝国の逆襲」やってますね、素晴らしい!メカ群のなんという質感!(写真、AT-AT)立体的なカメラワーク!!ヨーダも「仙人」って感じで、フォースも「哲学」って感じでよろしい。新作のはただの「超能力ウォーズ」ですよ。

アバドBPOの新盤 マーラー6番「悲劇的」

2005-07-10 | Weblog
アバドBPOのコンビよるマーラー交響曲の新録音。これまでにリリースされた、3、7、9番、およびルツェルン祝祭オケとの2番がどれも所謂「アバド」らしくない快演であったため、今回の6番もかなり期待していました。聴いた感想は「尻上がりに良くなる」という感じですか。ライブ録音のせいか、音質はいささかお風呂場気味であり、冒頭のアンサンブルがばらけ気味なため「これはしくじったか?」と思わされましたが、聴き進んで行くうちにオーケストラものってきたのか音楽の滑りもよくなり、超絶技巧のオンパレードをこれでもかと言うぐらいに畳み掛けてくれます。最近のベルリンフィルのスーパーオケぶりには本当に驚かされます。でも、ちょっと最近「名人芸オケ」だけになりすぎていないだろうか?
残念ながら、私自身がこの曲にあまり詳しくない(未だにマーラーの中では一番苦手)ので、楽章の配置とかハンマーがどうだとかは詳しく述べることができませんが、手持ちのブーレーズ=ウィーンフィル盤より心に迫る演奏であったことは確かです。でも上でもちょっと書きましたが、確かにベルリンフィルは恐ろしく巧いのですが、音色的にはウィーンフィルの録音のほうが気品というかウィーン風情が出ていて好きだなあ。特にこの曲はマーラーがウィーン歌劇場で一番上手くやっていた頃の作品だしね。ベルリンフィルはちょっと危ない方向に流されているのかもしれない。しかし、この曲はどう捉えたらいいのかいつも悩みます。マーラーの交響曲の中で一番難解だと思うのですが。こういう曲は聴くより弾いた方が楽しいではという気がしました。

ヒッチコック「引き裂かれたカーテン」

2005-07-03 | Weblog
実はヒッチコック大好きです。レンタルで大抵の作品は観たと思いますが、最近DVDが安価(1000円!)で手に入るのでじわじわと集めてます。今日購入したのは「引き裂かれたカーテン(Torn Curtain)」。アメリカの物理学者(ポールニューマン)とその婚約者(ジュリーアンドリュース)が東ドイツの天才教授からある物理反応式の情報を引き出す為に偽装亡命し、脱出してくるまでの話。まず何と行ってもこの「数式を盗む」というテーマが独創的。学者の持つ独特の探究心と自尊心を煽って、老教授から数式を聞き出す際の問答は圧巻。また主人公の意図に気付いた監視役を農場で殺すシーンや、彼を逃がす東ドイツ内のレジスタンス組織の奇想天外な脱出手引き(実話らしい)がもう手に汗にぎる演出の連続で、2時間以上の大作ですが、見始めたらあっという間に時が過ぎて行く感じです。ストーリーだけでなく共産主義体制での人々の暮らし(脱走兵が追いはぎやったりしてる)やナチス顔負けの公安警察の描写も興味深い。またポーランド出身の没落伯爵夫人が、アメリカに亡命したいので主人公達に保証人になってくれと頼む際の切羽詰まった表情。この作品のなかて一番強烈な演技だと思います。
この作品は意外と知名度が低いのですが、ヒッチコックの作品のなかでもベスト5に入ると思います。

フランクのピアノ協奏曲集

2005-07-03 | Weblog
「宇宙戦争」が案の定大コケのようですな。観てないのに腐すのもどうかと思いますが、あちこちの批評を読むと予想通りのようです。つまり「CGを用いた破壊シーンは迫力あり」だが、「宇宙人のデザインはID4のものに近い触手系」「トムクルーズが駄目」「ストーリーが散漫で唐突」。スピルバーグもそろそろ駄目かもね。(お願いだからインディジョーンズの新作なんて撮らないで下さい。)

 さて今度フランクの交響曲を演奏することになったのですが、フランクの作品は交響曲とVnソナタしか知らないので、ちょっと勉強しようとナクソスから出ているフランクのピアノ協奏曲集を中古で買ってみました(300円)。過去にラジオで2番協奏曲を聴いた際に、随分とヴィルトオーゾ的で格好良かった印象があったのですが、解説を読むとなんとこの曲はフランクが13歳のときの作品。改めて聴いてみましたが、確かに構成は単純ですが全体の印象はショパンの1番協奏曲に近く、メロデイーはロマンチックでかなり美しい。うーんこれってもっと演奏されてもいいんじゃないかな。ただの習作って感じはしないぞ。モーツァルトとショパンを足して2で割ったような感じかな。特に3楽章の高揚感は素晴らしい。
 上記の2番協奏曲以外に交響的変奏曲と交響詩「魔神」も入ってました。前者は壮年期の作品でフランクらしい「渋さ」が表れており「交響曲」の雰囲気に近いのかも。一方後者は20代の作品で、題名「魔神」の名の通り(魔物が町を徘徊するという詩がテーマらしい、)デモーニッシュな雰囲気で序奏は始まるものの、ヴィルトオーゾなピアノが力強い主題を歌う躍動感溢れる曲。これももっと演奏されて然るべき曲だと思います。うーんしかしフランクって何とも興味深い作曲家だ。もっと他の作品も聴いてみよう。