Wilhelm-Wilhelm Mk2

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ブーニン。息子さんと共演するそうです。

2005-10-09 | Weblog
 昔のイメージでいつまでも若いと思っていたら、きちんと息子さんがいてこの冬に共演するらしいです。ブーニン親子の共演コンサート
 自分にとっては、スタニスラフ・ブーニンというピアニストは本当に思い入れが深い奏者いうか、好い意味で自分の思春期に多大な影響を与えてくれた人です(ちょっといいすぎか)。ロン・ティボーとショパンコンクールに優勝したブーニンは自分の中では間違いなくヒーローで、実は写真を額にいれて飾ってたりしました。さらに西ドイツへ亡命のニュースの取り扱われの大きさとか、その顛末を記した自叙伝とかを読んでソビエト連邦という共産主義政権下における芸術家の実情(西側での演奏の際には、亡命されないようにオケの中に覆面監視員を常駐させるとか)を知って衝撃を受けたりとか、何かと青春期に影響を与えてくれた演奏家なのです。そのマスクは俳優並みに甘く、スタイルはモデルのようにスラットしていて、その文句の付けようも無いリアルな貴族オーラを感じる毎に(顎が割れてるのちょったアレだが)「もし生まれ変わったらこういう人種になりたいなあ」とか思っていましたよ。
 演奏中は汗をポタポタ流しながら倒錯的に弾くのですが、音は固めな柔らかさで自分が一番大切にしたい音質の剛柔の変化が絶妙だし、歌い回しは情緒に溢れているし、テクニックも素晴らしいし、聴いていて一気に引き込まれるというか、自分が一番はまる弾き方をしてくれる演奏家でした。(それに比べるとキーシンは好みではなかったです。)。グラモフォンに録音していたころはショパンコンクールでの劇的な優勝の勢いを保っていてよかったのですが、EMIに移ってから録音も悪くなるし本人もスランプだったようで今ひとつ何かぶち抜けないというか、テクニックも雑になった感もあって積極的に録音を集めなくなりました。一説によれば本人の真面目さから来る考え過ぎとかマネージメントの失敗とか(これは今でも思うのだが)と色々と理由はあるようですが、それでも演奏活動はコンスタントに続けており色々な作曲家を試したりと、最近は昔ほどではないにしても世間的な評判も復活してきるように思います。
 今、若い頃にグラモフォンに録音したショパンの即興曲集を聴いてますが、溜息がでるほどの素晴らしさです。今回の息子さんとの共演のニュースとか最近の録音や演奏会の評判を読んでいると、過去の呪縛から脱して随分と脱力した新しい境地の演奏をしてくれるような気がします。シューベルトが絶品だったという評判も聞きましたし。今後はモーツァルトとかシューベルトのような路線がはまってくるのかなあ。そういえば昔にLDで見たモーツァルトのピアノ協奏曲は素晴らしかったな(どこかの小さなイタリアのオペラハウスのライブ)。11月にサントリーでソロリサイタルをするのでチケットを探してみようかと思います。

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