Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

東海の城探訪 西尾城

2024-08-30 | Weblog
東海の城探訪(4)西尾城

豊橋から東海道線で30分ほどで岡崎に到着。岡崎駅前から路線バスにて西尾へむかう。バスの所要時間は40分程度。西尾は宇治に次ぐ抹茶の産地で、三河の小京都と呼ばれる由緒ある城下町。現在の町並みからも、どことなく品と落ち着きが漂う。駅から徒歩で直進して10分ほどで城址公園に到着する。
西尾城は室町時代は西条城と呼ぼれ、吉良氏の居城だった。東に東条城もあり、こちらも吉良氏の分家が治めていた。戦国時代、吉良氏は同じ足利流で格としては下になる今川氏や、三河を平定した松平氏に押されながらも、長らく西尾一帯を領地にしていた。西尾城が戦国織豊の城郭となったのは、家康から配された酒井氏、続いて秀吉によって配された田中吉政の時代だったらしい。江戸時代になると、多くの譜代大名が入れ代わりで西尾を治め、最後は大給松平氏(おぎゅうまつだいら)が藩主を務めて明治を迎えた。残念ながら、維新で廃城となり、建物は解体されてしまったが、20世紀末から復元が進んでいる。


復元された二之丸丑寅櫓。駐車場にぽつんとあるがうしろに塀が続き、奥に天守台がある。

復元された鍮石門。鍮は真鍮の意味らしい。扉のどこかに真鍮が使われていたとか。


復元された本丸丑寅櫓。全層が下見黒板張りで私の好みのデザイン。各自治体には、このような櫓や天守を復元してほしいのですよ。


櫓内は見学可能(無料)


木造復元です。


青い空と緑に映えて見事な丑寅櫓。


近衛邸。もともと西尾にあったものではなく、京都より移築したもの。奥に少し変わった茶室がある。抹茶の産地、西尾のお茶が飲めます。


庭も綺麗に手入れされ、奥に櫓も見える。


冷製抹茶をいただく。客は私一人だったため、かなり長く建物と風景を堪能できた。


天守は本丸ではなく二之丸にあった。すでに天守台が再建され整地されている。いつの日か天守も復元される?




中之丸に資料館も併設。すごい情報量なのに無料。


三河は鎌倉時代から足利の領地で、西尾周辺から吉良氏、今川氏、一色氏といった足利一門が生まれた。足利氏は承久の乱で源氏大将を努め、その功労として三河守となるのだが、宗家の足利義氏は関東に留まり、庶長子の長氏が三河に配された。その子孫から吉良氏などが生まれた。建武の時代、足利尊氏は楠木正成の討伐のため上京の途中、立ち寄った三河にて吉良、今川などの各分家を集めて協議し、北条に反旗を翻すことにするのだった(個人的に、太平記で一番盛り上がるところです)。吉良氏は長く西尾を治め、忠臣蔵では悪役の吉良上野介も西尾では名君として慕われている。本丸内に足利義氏が源氏の宝刀「髭切丸」を納めたという御剣八幡宮が残されている。このあたりが足利の領地であったことが伺える。


城のすぐ近くにある「尚古荘」も観覧できる(無料)。昭和初期の米豪商が、城の東丸を改造して庭園としたものらしい。時間の都合で建物の中には入らなかったが、庭を拝見させてもらった。文化の香りが濃い町でした。また来たい。





コメントを投稿