Wilhelm-Wilhelm Mk2

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フルトヴェングラー田園

2007-08-17 | Weblog
 この曲の名演奏というものは、たいがい題名を直訳したような、素朴でのどかな雰囲気のものが多い。各楽章には田園風景を想像させる標題がついているが、1楽章と5楽章には人の感情も交えられている。1楽章は「田舎に到着して晴れ晴れとした気分がよみがえる」、5楽章は「牧人の歌−嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」である。この晴れ晴れした、そして喜ばしく感謝に満ちた気分というのは、一体だれの中の感情なのか?もちろん作曲者ベートーヴェンの感情である。であるからして、演奏するに際してはベートーヴェンが感動したように演奏しなくてはいけない。その辺りの旅行者や農民の感情を想像してはいけないのだ。それはこの曲の真の姿ではない。
 ベートーヴェン的感情の憑依となるとそれはフルヴェンの独壇場である。フルトヴェングラーの田園は、5番や9番ほどには崇められていない。ドラマチック性を全面に押し出し、曲の神秘性、デモーニッシュ性を徹底的に掘り返すフルトヴェングラーに、のどかな「田園」はむかないと頭から思われているのだろう(私もそう思っていた)。しかし、改めて複数の録音を聴き直すと、他の指揮者の演奏では到底味わうことのできないカタルシス感を、肌に粟がたつ経験とともに味わあせてもらった。私が推薦する録音は、1954年5月23日のベルリンフィルとのライブ録音(後半は運命)。私は協会版の録音を持っているが、市販の良盤も沢山あるようだ。嵐が過ぎ去り全てが弛緩しきった状態から始まる第5楽章。一本の絹糸のように始まる第一ヴァイオリンの妙はフルヴェンならでは。ここから寄せては返す波のように変奏がはじまるのだが、その畳みかけ方が天井無しである。一体どこまで連れて行ってくれるのだろうか。そしてクライマックスの225小節。ここで何とフルヴェンはトランペットに強烈なクレシェンドをさせる!譜面にそのような指示はないが、劇的な効果である。現在の指揮者・識者からは、やりすぎだ!との声が起きそうだが、前から言うように要は説得力の問題なのである。音楽は理屈で作るものではないのだ。ライブなのである。この高らかに響くラッパとともに、バスも最低音のコントラCからスラーで歌い上げる。この2小節がこの曲全体の頂点であり、聴き手には雲を突き抜けて黄金色の陽光を全身で浴びたかのような気持ちになる一瞬である。そして、この満足しきった心を抱えて全てを脱力させ、曲は平穏に終結する。フルヴェンによる他の田園に、1952年のウィーンフィルとのスタジオ録音がある。こちらも素晴らしい名演なのだが、演奏者が興奮し過ぎたのか、時々アンサンブルに空回りが見られる。詳細はわからないが、スタジオ録音にありがちな練習不足のせいかもしれない。(特にフルヴェンの場合はやり直しが最小限だったので)。一方上で紹介したベルリンフィル盤は、1週間前にもルガーノでを演奏しているので、奏者に手慣れた感があるのかもしれない。前に紹介した同年のブラ3同様、フルヴェン最晩年の輝ける名演として記憶に残すべきものと思う。

備忘録:iPod動画

2007-08-08 | Weblog
iPod用の動画ツールに関して。
このサイトに書いてある通りにすれば誰にでも出来ます。私の場合、DVDからのリッピングにはHandbreakを使ってます。もともとはMac用のソフトだったのですが、Windows版も開発され手に入れられるようにました。複数のソフトを使うようなややこしい手間をかけずにクリック一発でMPEG4まで一気に変換してくれます。他のソフトも同じですが、エンコードに結構な時間が必要なので(数時間)、夜中に回して朝にiPodに転送という流れです。他の形式の動画ファイルをMPEG4に変換するソフトとしては、わたしはこちらを使ってます。これは非常に簡潔なソフトで重宝しています。動画変換ソフトとしては「携帯動画変換君」も有名ですが、このソフト単独ではwmvファイルの変換が出来ません。ストリーミング動画の保存にはGetASFStreamを使っています。ストリーミング画像を右クリックしてプロパティを呼び出し、配信元のURLを確認します。これをソフトに貼り付け、ダウンロードするだけです。

備忘録

2007-08-08 | Weblog
最近読んだ本

フィッツジェラルド:グレートギャツビー、村上春樹訳
サガン:ボルジア家の黄金の血
画集:Atkinson Grimshaw
画集:澁澤龍彦幻想美術館

最近聴いたCD
ソフロニツキー:スクリャービン・リサイタル
フルトヴェングラー:ベルリンフィルライブ1954:「田園」「運命」
カラヤン;R・シュトラウス「ドンキホーテ」
カラヤン:R・シュトラウス「ツァラトゥストラ」(DVD)


iPod80Gの親機をMacからWindowsに変更した。MacのHDD容量が限界に達し、これ以上インポート出来なくなってしまったため。特に最近、動画の取り込み方を覚えたので、ファイル容量が大きくなってきた。それでもまだ27Gしか埋まっていない。まずiTuneフォルダ内の全MPEGファイルをポータブルHDDに移し、それをwindows機内のiTuneフォルダにコピー。そのフォルダを指定して「フォルダをライブラリに追加」でiTune Libraryに登録。次にiPodをwindowsにマウント。復元を指定して工場出荷時まで初期化後、ファイルを転送。実はこのwindows機でも80Gを満杯にはできないのだが、まあ当分はこれでよしとしよう。新型のiMacが発売されたようだが、HDDは250Gがデフォルトか。このぐらいないと80GiPodは対応出来ないな。時代に流れについて行くのは大変だ。

カール・ゴッチ死す

2007-08-01 | Weblog
ついにゴッチまでいなくなってしまったか・・・5年前にルー・テーズが亡くなり、これでプロレス黄金時代の表裏のスターが世を去ってしまった。(表=陽がテーズ、裏=陰がゴッチ)
妥協亡きストロングスタイル。ジャーマンスープレックス、ゴッチ式ドライバー、ドラゴンスープレックス、サソリ固め・・・彼の残した芸術技は永遠に不滅だ。ただ、これらの技はいまでは「見せ物」的になってしまい、本来の凄みをみせてくれるレスラーが殆どいなくなってしまった。しかし幸運なことに、我々には多くの映像が残されている。YouTubeで検索すれば稀少な放送録画さえ観ることが出来たりする。それらを観ながら酒を飲むことにしよう。合掌。