牛乳について昔から考えている。私は牛乳はそれほど好きではない。小学校給食のごはん+ミルクのまずさが身に染みているからだ。様々な牛乳有害説が巷にあふれているが、科学的な視点からみると思いこみや感情的なものが大半だ。しかし、その中にも「本当のところはどうなんだ?」と思うものも幾つかある。それは「カルシウム不足説」だ。
牛乳会社や促進協会は「日本人はカルシウムが不足しているから、もっととるべき」と主張する(国の推奨値に摂食量が達していないから)。牛乳がカルシウム源として優れていることはまあ了解するとして、「なぜ
カルシウム源が牛乳だけでないといけないのか?」という疑問がまず生じる。豆腐や野菜、小魚も同程度にカルシウムが豊富だ。牛乳が日本の食卓に常備されたのは戦後である。アメリカの影響である。それ以前の日本人は牛乳や乳製品を日常的にとるという生活はしていない。では、例えば江戸時代の武士はカルシウム不足でぼきぼきと骨折していたのか?それはないだろう。逆に重いものを持ち歩いていたので今より骨太だったと思う。つまり「牛乳は摂らなくてもやっていけるはず」という点だ。我々は知らず知らずのうちに「牛乳は飲まなくてはならない」という観念が植えつけられていないか?まるで「法事をしないと先祖が苦しむぞ」という仏教の脅迫ように。学校給食の飲みものが「牛乳一択」なのは異常ではないか?なぜ麦茶やオレンジジュースがないのか?栄養バランス的に牛乳が最も優れているというが、本当なのか?他の選択肢はないのか?給食での牛乳販売は乳業会社にとっては死活にかかわる生命線と聞く。
もう一つの疑問は、カルシウムは本当に不足しているのか?という疑問。つまり骨粗鬆症の原因はカルシウム摂取不足からくるのではないのでは?という疑問である。興味深い疫学調査がある。日本人よりも数倍牛乳を摂取しているフィンランドやスウェーデンのような北欧諸国は、牛乳から十分にカルシウムを摂っているはずなのに骨粗鬆症の割合が日本に比べてはるかに高いのだ。つまりこの結果だけから鑑みると、「牛乳は骨粗鬆症の予防には約立ってない」といえる。これに対してJ-milkなる団体が「うわさ話」への対応として
答えているが、ここでうまく答えをはぐらかしている。こちらの疑問は「牛乳は骨粗鬆症の予防にはなっていないのでは?」なのだが、J-milkは「牛乳を摂りすぎることが骨粗鬆症を引き起こすわけではない」と頓珍漢な回答している。牛乳を飲んだから骨粗鬆症になっているというのではなく、「牛乳を多量摂取は骨粗鬆症を低減していない。カルシウム不足と関係ないのでは?」ということを聞きたいのだ。ネットを検索するとどうもこのあたりは業界も困っているようで、ブラックボックスなのではないかと思う。
ここで考えることは
乳業会社は消費者に牛乳を大量消費させるためにカルシウム不足を煽っているのでは?
牛乳は別に毒じゃないし美味しいのだから、好きに飲み食いすればいいじゃない・・というかもしれない。まあそれもそうだが、先日書いた「乳牛の一生」を思い出す。摂っても摂らなくてもよい牛乳のために、生まれて死ぬまで狭いブースに閉じ込められて搾乳と妊娠(子供に会えない)を繰り返される乳牛の存在。なにセンチなことを、お前はいつからアニマルライツに乗り換えたのか?と言われるかもしれないが、自分がもし牛に生まれ変わったことを考えてみるといい。ぞっとしないか?閉所恐怖症の自分には恐ろしいことだ。もし我々が牛乳の消費を少なくすれば、哀れな乳牛の存在も確実に減るはずである。まあ乳業会社は潰れるかもしれないが。(続く)