Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

バーンスタインのマーラー全集DVD

2006-04-29 | Weblog
 遂に念願のDVDを購入しました!LDの頃から欲しかったのですがLDプレーヤーを持ってなかったし、DVDになっても高額で学生には高くて手が出せず、さて買おうと思ったころには廃盤に。最近ようやくユニテルが廉価で復刻してくれました。1-9番、大地の歌、10番アダージョ、そしてリハーサル風景を含めて9枚組で1万6千円。これはお得だ。
 さて映像ですが、素晴らしいの一言。予想より遥かに素晴らしい!。30年前の録画だし、どうせバーンスタインばかりが映ってオケにはカメラは向かないのだろうと思っていたのですが、ところがどっこい、旋律を弾く楽器には必ずアップが入りますし、バスなんて弓さばきのドアップもあります。マーラー特有の特殊楽器もきちんと見せてくれますし、これはバーンスタインだけでなくマーラーの巨大な交響曲のつくりを勉強するのにも非常に有用な映像です。現在のカメラワークと比べても全く遜色ないですね。というより、ディレクターが演奏のツボを心得ていたのか、アップのタイミングが精緻で正確です。カラヤンビデオよりよく出来てると思います。演奏は2番以外は全てウィーンフィルなんですが、現コンマスのキュッヒルに髪があったり、今は亡き名コンマスのヘッツェルがいたり、これまた伝説的なバス奏者のシュトライヒャーが厳つい顔で構えていたりと、古き良き時代のウィーンフィルを堪能するのにももってこいの映像集です。
 演奏内容はまだ5番しか観ていませんが、とにかくバーンスタインの情熱的な指揮には感動します。晩年のドロドロな演奏はちょっと敬遠してしまうのだけど、この頃は腕振りまくり頭振りまくりの、もう熱狂ヤンキーです。うーん、バーンスタインみたいな純粋に感情を表にだす指揮者も最近はいないなあ。しかし、この人の演奏も本当に説得力あるんだよなあ。バーンスタインの笑顔を見ていると、この人は周りから愛されていたのだろうなと思います。3楽章が終わってすぐにバーンスタインが胸の前に腕をくんで楽団員に小さく「ブラボー」と言っているのが印象的でした。
 当分このセットで楽しめそうです。恐らく自分にとって最高のマーラー全集となるでしょう。(これに慣れてしまうと他の演奏が聴けなく、いや観れなくなるだろうな。)
 
 

ちょっと徒然;マラ10とか

2006-04-29 | Weblog
 バルシャイ指揮によるバルシャイ版マラ10を聴きました。久々の読響公演@サントリー。マラ10は1楽章なら思い出せるのだけど、それ以降の楽章は全く覚えてませんでした。手持ちの録音はラトルBPOのクック版1枚のみで、最後まで聴き通す前に飽きてやめてしまう。そう、マーラーは「全部聴き通す」という壁が高くて(長過ぎ)、なかなか制覇できなかったのだけど、10番以外はやっと耳のレパートリーに入りました。ということで、否が応でも全曲聴かなきゃ行けない生演奏に行けば10番とも親しくなれるだろうということで聴いて来た訳です。バルシャイ版はクック版よりも随分と編成を厚くしていたらしく、チューバが2本とかあったな。演奏はまあまあ。一曲だけのプロだったので、オケもなかなか調子がでなかったようで、5楽章あたりでやっと分厚いハーモニーが聴けました。曲も5楽章が一番ぐっと来たかな。5楽章を感動したというのは曲を把握するのに良い傾向で、1楽章は何とかなってるので、両端から攻めていくかってな感じです。
ちなみにマーラーの交響曲で耳のレパートリーなった順番は
9ー8ー7ー5ー1-2-大地ー3ー6ー4
という感じですかね。

グレン・グールドについて

2006-04-25 | Weblog
 グールドのことを書く前に、松岡正剛氏の「千夜千冊」について。このサイトはかなり前から知っていて(有名だし)、自分の興味ある作家を検索してると自然と行き着いたりしていたわけだが、一人の作家について一冊という規則で千冊以上をレビューしているサイトである。松岡氏は編集工学という学問を立ち上げていて、本当の意味での「書の巨人」そして「知の巨人」である。私は全てのレビューを読んでいる訳でなく(というか読み切れない)、自分が読んだ本や作家を探して感想を比較したりしている。自選して開拓した作家がレビューされていたりすると自分の選書眼もなかなかだと誇らしく?なったりするわけで。

 この千夜千冊の980夜に「グールド著作集」が取り上げられていてグールドの分析をしている。素晴らしい名文なので是非ご一読を(写真もお借りしました)。ってこれだけで十分なのかもしれないけど、自分の言葉でグールドを少し書きます。
 前にも書いたが、私とグールドの出会いは小学校の高学年頃で、若くして亡くなった親友がグールドオタクだったのでその影響である。有名なゴールドベルグ変奏曲のCDもかなり早い時期に手に入れた筈だ。未だにこれを日々愛聴してるわけだが(特に疲労困憊激しい時はこれに限る)、他にもバッハの平均率、パルティータ、フランス組曲、フーガの技法、ベートーヴェンのソナタなど有名どころは持っている。しかし、廉価にならないせいか中古でもグールドのCDはかなり高額なのでなかなか集められないでいる。とにかくグールドは完璧なのだ。演奏に迷いがない。映像で見るグールドの演奏風景はまるで「降霊術」のようだが、あれは「ノリ」でやっているわけではないのだ。録音では納得いくまでテイクを続けたと言うから完全無欠レベルのものしか市場に出てないのだろう。技術の完璧さは比類がない。なのに誰もグールドをテクニシャンともヴィルトウォーゾとも呼ばない。それはその技術を通り越した向こうに何かがしっかりとあるからだ。技術は意図したものを具現化するための道具でしかない。(つまりは技術がないと自由に表現できないのだが)「完璧な技術」だけを売りにしている、もしくは看板にしている演奏なんていうのは、逆をいえば技術以外何もないということだ。
 現代の音楽芸術はグールドと全く逆の方向に進んでいるように思う。奇妙な頭でっかちさで、ありもしない「正しさ」を追い求めて、芸術の本質の部分をどこかに追いやっているように思う。自分の領分に引き込んで言えば、グールドは非常にフルトヴェングラーに似ていると思う。スコアを熟読することで、作曲者の意図と魂を感じるとるだけでなく、音符の並びから出る音楽自身の魂をも感じてそれらを同時に表現すること。この2人はそれが出来る。だからこの2人の音楽は、客観的にはありえないテンポ取りや表現を行うにもかかわらず、無限の説得力が備わっているのだと思う。

松岡氏のレビューの最後にグールドが松岡氏の質問に答えている。
【好きな指揮者は】アイドルがアルトゥール・シュナーベルで、尊敬に値するのがウィルヘルム・フルトヴェングラーでしょうか。

徒然・・・カムイ伝とか清原とか

2006-04-18 | Weblog
マグロの話はまた今度。この手の話はもっと深く掘り下げたい。

聴いてる曲。
マラ六(ブーレーズVPO); やらないかと言われて思案中。まあまだ先のこと。でもこんなドンパチな曲は、いい加減にやると本当にただ「ドンパチ」だけで非常に嫌な思いをして終わる事が多い(経験あり)。アバド盤よりこちらの方がいいな。最近はウィーンフィルが理想のオケスタイルになりつつある。

読んでいる本
サイボーグ009;取りあえずブラックゴーストを倒すまでの正編は読了。ジェットの「君はどこに落ちたい?」という台詞に号泣。

カムイ伝;部分的には持っているのだが、中古で不足を購入中。問題がもろに扱われているので、日教組のお墨付きの漫画などと揶揄されることもあるが、[昔の日本人の心には武士道があって、人々は清く正しく生活していた!」などといったくだらん幻想を抱いている人は一度読んだほうがいい。人が集まれば階級ができて差別が産まれるのは道理。「村八分」って言葉もあるしな。そういった差別を直視して、ちょっと誇張的?かもしれないが、堂々と書いたのは素晴らしい。作画スタッフに「子連れ狼」を描いた小島剛夕氏が入っていたことを知って驚く。確かに劇画的なタッチはよく似ている。

夏目漱石;私の個人主義(講演集);「道楽と職業」という講演の中の一説「どうしても他人本位では成り立たない職業があります。それは科学者哲学者、芸術家のようなもので、これらは特別の一階級とみなすより仕方がないのです。」つまり世間の目や評判を気にしてはとてもやってられない職業ということなのだが、最近はせちがらい世の中になってしまい、直ぐに世間へ還元できない科学には資金もつかないのですよ。漱石先生。

清原「命をかけて死球を放った相手を倒す!」;まず「よけろ」。地蔵のようにただ突っ立ってるだけなら、そりゃ深く入ったインコースには当たり易いだろう。それに、もうだれも清原なんかを怖い戦力として見てないんだから、わざと当てに行ったりしないっての。清原の打席は全部「敬遠」でいいのでは?

ベートーヴェン交響曲の演奏スタイルについて

2006-04-13 | Weblog
 最近のベートーヴェン演奏(交響曲)はどれも軽過ぎる。というか、それが「正しい」とされているのが何とも嫌だ。演奏家自身の直感と経験から生じた解釈というより、歴史的な解釈という中途半端な学問で理論武装しているのが嫌だ。そりゃね、軽快にクリアに爽やかに弾けばね、どんな曲でもスポーティーになってお客は楽しめますよ。特にベートーヴェンはアッパーな曲が多いから演奏会も成功しますよ。でも冷静に考えて、ベートーヴェンがそんな安っぽい浮ついたテニスサークルみたいな演奏をしたか?一度でもベートーヴェンの伝記なり書簡集でも眺めたら、そんな考えは絶対に起こらないと思うのですが。ハイドンと近い世代だからハイドン風に演奏するのが「正しい」のか?ハイドンは貴族のお抱えだからお上品でもいいけど、ベートーヴェンという人は、一生の間ずっと小さな部屋を点々としては適わぬ恋を続けて、その時好きな女性のことを想いながら、ワインをがぶ飲みしては日々作曲に没頭していたんだよ。宇野先生じゃないけど、こういうベートーヴェンの生の生活や精神を演奏に乗せられなければね、どんなに理知的に解釈したつもりでもそんなのは機械に演奏させてるのと変わらないと思うのですが。(写真はハイリゲンシュタットの遺書)

ベートーヴェンの神髄はピアノにある。

2006-04-05 | Weblog
 ピアノソナタを聴かなければベートーヴェンを知ってるなんてとても言えない。ベートーヴェンの仕事はピアノソナタが常に先行し、それにカルテットのような室内楽が続き、交響曲が一番遅れてくるというのはよく言われるが、確かに第9交響曲をもってしても後期ソナタの入り口にさえも到達していないように思う。私は熱情ソナタが全てのベートーヴェンの作品中で一番の傑作だと思うが、それに続くのはハンマーと最後の3つのソナタか。熱情ソナタは幼なじみの伯爵に献上されたのだけど、その妹ヨゼフィーヌとベートーヴェンは不倫的な仲が進行していて本当は彼女のために書いたんだ、とも言われている。まあそのくらい情熱的でロマンチックでそして完全無欠な曲。
ちなみに私の持っているピアノソナタの主立った録音は、

バックハウス全集(モノラルとステレオ)
ケンプ全集
バレンボイム全集(グラモフォン)
ギレリス選集
ソロモン選集(後期ソナタ)

仮面ライダーカブトを観ました。

2006-04-02 | Weblog
 日曜の朝は起きると大抵仮面ライダーをやっているので観てしまいます。昨年の響鬼は異色中の異色でしたが、今年のカブトは正当派スタイルを意識しているのがよくわかります。カブト虫をモチーフしたということは往年の名作「仮面ライダーストロンガー(写真)」を意識してるのでしょうし、必殺技が「ライダーキック」というのも原点回帰なんでしょう。変身システムが組織が開発したハイテク装置というのは3年前のファイズに似てますね。変身時のコンピューター音声も似ているし。私はファンタジー風の剣やら槍を振り回すのは大嫌いなので超ハイテクメカがウェポンというのは好みの設定です。
 ライダーのデザインもなかなか。カブトムシのカブト、スズメバチのザビー。来週はトンボをモチーフにした新型(ドレイク?)が登場するようですね。今回のライダーはクロックアップという加速システムによって敵を瞬間的に倒すのが売りのようだけど、これって既にファイズで「アクセルモード」として用いられてますよね。この加速システムの本当の原点はサイボーグ009だと思います(009の能力はマッハ3までの加速移動能力だった)。今思えば、石ノ森章太郎の009はその後のSFアクションの全てを先取りしていた凄い作品だと思います(この話は後ほど)。いずれにせよ今年はこの「クロックアップ」と装甲脱着時の音声「キャストオフ!」が子供達の流行となるでしょう。服を脱ぐ時の隠語にも「キャストオフ」は使われそうだけど。