台北二公演が大成功裡に終わったと聞いて感涙。なのだが横浜までネタバレどうしようか組としては各記事にどこまでアクセスしたものやら加減がわからずあまり読んでない。公式もセットリストプレイリスト配布始めてフェイズ変えてきてる風だしちと少しずつ様子を見ますかね。
となると今回取り上げるのは…8月11日に放送された「EIGHT-JAM」の未公開シーンについて、になるかな。4月の同番組で既に2回に分けてリリースされたインタビューを更にまた大盤振る舞いで。元々70分のテイクだというから、もう殆どの問答がリリースされたんでないの? 凄いね。完全版を有料パックで販売してくれてもいいのよ?
さてそこでまず取り上げられていたのは毎度お馴染み(過ぎて最早辞書登録してやろうかと思わせる)『Automatic』の歌い出し『な・なかいめのべ・るでじゅわ』のお話。これまた毎度ここでも書いてる通り「何がそんなになのかわからない」旨ヒカルは訴えている。しかも「今でもわからない」そうな。一貫しとるな。本当の意味で理解していないのではなく、その価値観は共有しないという意味での「わからない」なのだがあの尺で伝わったかどうか??と感じられるので毎度ながらの補足をしておくと。
そもそも当時のヒカルは「日本語をメロディに乗せる時に元々の話し言葉におけるイントネーション&アクセントや単語の区切りを残すこと」にそこまでこだわっていなかった。重要度が低かったともいえる。それよりもまずメロディ、そしてリズムとグルーヴ、更には今回のインタビューでも触れてた通りメロディに乗せる歌詞の「音(母音や子音)」。これらを優先した結果、優先度の低い「イントネーション&アクセントや単語の区切り」が“疎か”になった結果が『な・なかいめのべ・るでじゅわ』だ。極々短絡的に書いてしまえば「中途半端な失敗作」なのである。もちろん、デビューシングルとデビューアルバムの冒頭を飾るフレーズなので本当に失敗作なわけではないのだけど、もし他の条件を満たしつつ更に「イントネーション&アクセントや単語の区切り」の条件も満たす歌が出来てればそっちを採用していただろう。
とはいえ、日本語の作詞としては『Automatic』は『Never Let Go』『time will tell』に続く3作目(以降)でしかなく、まだまだ未熟なのはヒカル自身がよくわかっていただろう。それをいいことに(?)歌構築の個人としての価値観や優先度の順列をほんの数秒でリスナーに知らしめてしまうという意味では抜群に効果的な歌い出しだったというのは間違いない。事実、ヒカルがきょとんとするくらいにこのフレーズは革命的だ斬新だと持て囃された。
ヒカル本人としては、寧ろ、以後の創作の中でこの優先度の低い条件をも満たして作り上げた数々のフックライン─例えば『Letters』の『いつも置き手紙』とか『BLUE』の『あんたに何がわかるんだい』とか─をこそ絶賛して欲しかったところだろうに、これらのキラーセンテンスは余りにも言葉のハマり方が自然過ぎて逆にその凄さが気づかれない。創り手としては稚拙な方が絶賛され緻密な方が看過されるというもどかしい時間を常々過ごしてきたのだろうなと毎度気の毒になるが多分そういうのはライブで歌が直に愛されている様を目撃する事で昇華されているだろうと、思いたい。
そんなヒカルのこだわりの話がまだまだ満載だった「EIGHT-JAM」3回目、次回も取り上げますかいね。(…取り上げないフラグにしか聞こえないですかそうですか)
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