無意識日記
宇多田光 word:i_
 



ついつい大前提として仮定したくなるのが、

「全国ツアー『SCIENCE FICTION』のセットリストはベスト・アルバム『SCIENCE FICTION 』の選曲をベースにしている」

という条件だ。これは如何にもありそうな事で。何しろ同じ名前なのだし。でなければ勿体無いというか肩透かしというか期待外れというか。兎に角、何らかの形で連動してくるだろう。

それを裏付ける上で注目したいのが、『BADモード』の曲数の多さよね。もう一度出典作品一覧を掲載しよう。

2曲が『First Love』から
2曲が『Distance』から
4曲が『DEEP RIVER』から
1曲が『ULTRA BLUE』から
3曲が『HEART STATION』から
1曲が『Single Collection Vol.2 Disc2』から
3曲が『Fantôme』から
2曲が『初恋』から
5曲が『BADモード』から

ご覧の通り、『BADモード』が5曲で突出している。それに続くのは4曲の『DEEP RIVER』だが、こちらは再録曲『traveling (Re-Recording)』と『光 (Re-Recording)』の2曲を抱えているのが効いている。全26曲の枠を9つのアルバムと新曲枠で満遍なく分け合えば平均2.6曲になるのだから、その約倍となる『BADモード』からの楽曲数はやはり目立つ。

これは、

「まず、ツアーのセットリストはベスト・アルバムの選曲が基本になる」
「ちょっと待って、アルバム『BADモード』の曲は、他のアルバムの曲と違って、まだ、一曲しか観客の前で歌ったことがないぞ?」
「だったら、他のアルバムよりも、セットリストに沢山『BADモード』の曲を配さなければならないな?」
「そうなると、ベスト・アルバムの選曲でも、『BADモード』の曲が増えるね!」

というロジックで、叶えられたことなのではないだろうか? だとすればやはり、最初の仮定、

「ツアーのセットリストはベスト・アルバムの選曲が基本になる」

の条件が、真実味を帯びてくる。とても、有り得そうなのだ。


その中で再録してくる3曲は、「必ず歌う曲」として浮上してくる。どうしたって、印象的だもんね。その中で更に注目したいのが、『Addicted To You』だ。

他の2曲、『traveling』と『光』は、共に2002年にアルバム『DEEP RIVER』に収録されて以来の宇多田ヒカル名義のフルコンサート、即ち2004年の『ヒカルの5』、2006年の『UTADA UNITED 2006』、2010年の『WILD LIFE』、そして2018年の『Laughter In The Dark Tour 2018』に到るまで、総ての公演で歌われている目下「宇多田ヒカルのライブ曲の中でも定番中の定番』な2曲なのだ。一方、『Addicted To You』は、2010年の『WILD LIFE』と2018年の『Laughter In The Dark』では歌われていない為、もし今回セットリストに加わるのなら2006年の『UTADA UNITED 2006』以来18年振りということになる。これは、際立っているわよね。

なので、『Addicted To You』に関しては、他の2曲よりも更に尚ライブに向けて作られたモチベーションが強いのではないかと勘繰りたくなっている。18年もナマで歌っていなかった歌を今!というのだからね。てことはさ、「16歳の時にリリースした歌を40歳の時に歌う」というのは、、、あぁ、もしかしたらまだ絶賛録音中かもしれないのか。この時期にギリギリまで歌を録音してるの、ヒカルの定番だったからね昔は。41歳の可能性もある……いやでもまぁ、取り敢えずもう録ってあると仮定して、16歳の歌を40歳が歌うのなら、『First Love (Live 2023)』がそうであったように、当時より大人びてより落ち着いた曲調と歌唱になるだろう、と見立ててみたくなるところを、これが「ライブに向けて」というモチベーションで録り直されたと仮定すると、寧ろ16歳の時より更に激しい歌唱と曲調になっているだろう!と、現時点の私は予想したいのだ。

いやね、宇多田ヒカルさん、35歳の時にリリースした2018年のアルバム『初恋』では、全体的にそれまでよりテンポを抑えた落ち着いた曲調になっていて、続くライブツアー『Laughter In The Dark Tour 2018』でも、黒のロングドレスなんて着ちゃってお淑やかな面が強調されるようになっていて、嗚呼これが年齢を重ねるということなのかこれはこれでいいものだなとか思っていたのに、続く2022年の、39歳でリリースしたアルバム『BADモード』は、”Bangers you can cry to”(「踊れて泣ける名曲たち」、みたいな意味)とまで形容される程にダンサブルで元気でアグレッシブですらある曲調にシフトしていた。元気いっぱいの人妻だった21歳の頃の『EXODUS』が引き合いに出される程に、ね。

この大きな流れに沿うのなら、『SCIENCE FICTION』は、更にダンサブルでアグレッシブな側面が強調されるプロジェクトになっていくのではという期待が芽生える。その中で、新録の『Addicted To You』は、その変化の振り幅の大きさとアンチエイジングなサウンドで切込隊長的な役割を担っていくのではと妄想を膨らませているところなのですが、はてさて如何でしょうかね?


……って、こんだけ語っておいて『Addicted To You』がバラード・バージョンになってたら笑えるんだけど……、…いや待てそれはそれで聴いてみたいぞコラッ!?(笑)

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話の流れから予測できる話な気がするけども、恐らく再録3曲は

「ライブ向けアレンジ」

になってると、私は予想する訳です。

ただ、問題は、3曲あることだよね。これ、3曲が3曲とも同じ理由で再録されたとは限らないからね。ひとつひとつが全く別の理由だったりするかもしれない。

例えば、『光』。オリジナルのキーだとキツイからキーを下げたバージョンをここで聴かせておきたい、なんてこともあるかもしれない。

例えば、『traveling』。現代の基準に照らし合わせると歌詞が危なっかしいのでそこを変更したいのかもしれない。

例えば、『Addicted To You』。オリジナルのミックスが2つあるから、25年越しに決定版のミックスを披露したくなってるかもしれない。

まぁその場合は2024 Mixって表記になるだろとツッコまれそうだけど、あたしの見立てでは他の曲の2024 Mixはサウンドのマイナーチェンジがメインで、大胆にアレンジを変えてくるものではない気がしているので、そこで表記を差別化するのはアリだろう。

…という風に、理由は幾らでも思いつく。ただ、「なぜこの3曲なのか」というのは、依然引っ掛かる。他の曲はしなくてよかったのかっていう。

単純に、再録する為の時間が3曲分で精一杯だった、というのも如何にもありそうだ。ベスト盤収録の新曲2曲を仕上げて、残り24曲のリマスタリングとリミックスをチェックしつつ、ツアーのプリプロダクション〜リハーサルをこなさないといけないんだもの。ツアーデイトがあるから日程は絶対に遅らせられないし、ヒカルさん、バンドメンバーに渡すライブ用の楽譜を曲数分書いて渡すとこからするからね? そら時間は幾らあっても足りないよね。

こういった(余計な)事も考慮に入れると、再録曲の真価をどう測るかってかなり難しい気がします。もっと言えば、コンサートで披露されたのを目撃して初めて、再録の意義が完成するかもしれない。ベスト盤とツアーが連動する面白さのひとつになりそうですわ。

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