無意識日記
宇多田光 word:i_
 



先月掲載されていた(たとえば)リアルサウンドの記事を今一度振り返ってみよう。


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・草ヶ谷大輔(プロデュース)コメント
デビューしてから25年間、常に最先端の音楽を全世界に発信し続けている宇多田ヒカルさんに、主人公たちの気持ちに寄り添った曲を書き下ろして頂きました。今作の企画構想段階から、“このドラマの主題歌は宇多田ヒカルさん以外いない”と私の中で考えておりました。1話からのストーリープロットをお読み頂き、オファーを受けて下さった宇多田ヒカルさんに心から感謝致します。主題歌は、ドラマの世界観にぴったりな、切ない物語にそっと優しく寄り添ってくれる楽曲となっております。早く視聴者の皆様にお聞かせしたいという気持ちでいっぱいです。1月8日のドラマ内で初解禁されますので、“世界の宇多田ヒカル”珠玉の一曲を楽しみにして頂ければと思います。

https://realsound.jp/movie/2023/12/post-1529119.html/amp


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この「1話からのストーリープロットをお読み頂き、オファーを受けて下さった」の一文が、随分と誇らしく響いている。つまりこれは「オファーを受けるかどうか判断する為にまずはストーリープロットを見せて下さい。」とヒカル側が依頼したと取るしかない訳で。即ちそれはヒカルがこのストーリーを読んだ上でその物語の為に歌を書く事を選んだと言えてしまう訳で。となると、私としては「不滅のあなたへ」位の強力なお話を期待してしまうんだぞ。

ヒカルも今まで『花より男子2』や『花のち晴れ』といった王道青春絵巻に楽曲を提供してきたので、今作もそういった甘酸っぱい物語に王道のラブ・バラードを提供したのかと思いきや、今回の『何色でもない花』は、物語がそういった月9らしい(?)導入から「心=五感を差し出す」という虚構感の強い設定へと至った(確かに第1話はツッコミどころ満載だったが、何とか90分でこの世界観へと辿り着く為の労作だったのだろう)ので、それに合わせて少し童話的というか(『人魚』を思い出した人も多かったよね)淡い叙情を主軸にした曲調となっていた。ここで曲調について「…今まで聴けてるところまでは、だけどね!」と強調しなければならないのが近年の宇多田ヒカルあるあるなんだが。

そして、既に発表になっている通り、『何色でもない花』の配信開始日はドラマ第6回放送日と目される2月12日月曜日。これはつまり、フルコーラスで聴いた時に第6話までの展開が含まれているのかと推測させる。

昨今のドラマのテンポ感であれば、第2話から第6話までの5回で五感をひとつずつ失わせるくらいのハイ・ペースにするのが妥当かなと思うので、『何色でもない花』はその絶望の淵に対して全貌を現す事で「そっと優しく寄り添ってくれる」事になる、のかな。

となると、第7話以降って主題歌どうなるの? まさか別の曲用意してるとかないよね?とまた欲張りなことを考えてしまうのだけど、2クールの中で1クールずつ2曲で分け合うなら兎も角、半クールずつというのは流石に贅沢過ぎるか。でも五感を総て失ってからの後半スタート、くらいまで描いてくれないと脚本のレベルが上がってる今の時代だと物足りないというのが私の本音。取り敢えず私はこれからも続きを読みます…じゃなかった(笑)、このドラマの続きを観てみますわね。

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『何色でもない花』はその歌い出しからしてドラマとの関連性を強く印象付ける。しかし当日私んちのタイムラインを見る限りではその余りの脚本のテンプレぶりか、はたまた甘酸っぱ過ぎる青春風味にあてられてか、早々に離脱宣言をしている人を幾人か見掛けた。無理からぬ事だわね。

しかも終盤にはファンタジー風味をかなり唐突にぶち込んでくる。もうそうなるとついていけない人続出かなぁと思いかけた所で主題歌が流れるもんだからいやはやなんとも罪作りな歌だなと思ったよ。

ドラマを幾つも観てきた人ほど、このようなベタな流れで90分枠を鑑賞し続けるのは苦痛だった事だろう。一方で、月9というポピュラーな枠というのは、普段あまりドラマを観ない層や、そろそろ夜のドラマも観ようかなとか思い始める小中高生も対象にしているという面があるかもしれない。将来高校に行ったらあんな素敵な(?)体験が出来るのだろうかと期待に胸を高鳴らせながら観てくれてるかもしれないのだ。

ヒカルもそこらへんを意識しているのか、出したコメントは

『こんなにストレートなラブソングを書いたのはいつ振りだろう。何かを信じることが怖い人に届いてほしいです』
https://natalie.mu/music/news/556250

なんて風で、つまり何を見るにも斜めから疑ってから掛かる大人の皆さん、素直な心で観てあげてくださいね、って所なのだろう。そしてヒカル自身も『いつ振りだろう』という言い方からして、随分そんな気持ちを忘れていたなと、そう述懐しているように読める。

なお、この『いつ振り』には余り深い意味はないのではないかなと。具体的に何年前に書いたあの曲がというより、その感覚を忘れてしまっていた事自体にフォーカスしたい発言だろうし、なら具体的に憶えてない方がリアリティがある。それに、そもそも『ストレートなラブソング』に

『嗚呼、名高い学者によると
僕らは幻らしいけど』

なんて謎めいた歌詞が出てくるか? 『何色でもない花』自体が、かなり捻りのある歌だと思うよ。ま、ストレートってのが同じく歌詞に

『I’m in love with you』

っていう直接的な表現があることを指すならわかるけど、いやそれならタイトルも歌い出しも『君に夢中』な歌もかなりどストレートだと思いますよ!? ついこの間の歌だよね??

という訳で、無理にドラマを観る必要もないとは思うけれど、今挙げた幾つかの要点を並べてみると、果たしてこのドラマ本当にテンプレで固めたベタな青春ドラマwithファンタジーな味付けで終わるのかしら?という疑問が私には湧いてくるのだ。次回はそこらへんの話から。

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