無意識日記
宇多田光 word:i_
 



SONYに移籍して、今の所違和感は無い。クマベくん(片仮名で書くとマクベと空目するな…)という新メンバーが加わったとはいえ、プロモーションのメインは相変わらず梶さんだ。勿論内情を伺えばあれやこれやとあるのだろうが、外から見ている分には彼自身の感性に従ったコンセプトを打ち出せているようにみえている。EMIレーベル時代と何も変わらない。

アルバム制作が終盤に入ってくればコ・プロデューサーや担当ディレクターの仕事ぶりも重要になってくるが、これも照實さんと沖田さんで変わらない。つまり、SONY/EPICレーベルに移っても驚く程何も変わっていない。

タイアップも、EMIレーベル時代から続くサントリー天然水をそのまま引き継いでいてレコード会社を移籍した事実を忘れてしまいそうだ。ノイキャンワイヤレスイヤホンはいよいよSONY移籍の効果が…と力もうとしても古参ファンからすれば1999年にSONYのMDのCMに出てしまっているのでこれまた何の驚きもない。

ここまで来ると本当に移籍したのか疑わしくなってくる程だ。それは言い過ぎか。

自分のようなCD世代の人間からすると、まだSONY/EPICからリリースされたフィジカルのCDを手に取っていないのが大きいような気がする。まだ配信シングルしか出てないからね。CDを手にとって帯などに記載されている商品番号を見て「ああ、Tから始まらない番号だ…」とか思って初めて移籍を実感するんじゃないかと予想するのだ。

勿論これはCD世代の感覚であり、配信を主に貪ってきた新しい世代のファンはそもそもレコード会社の移籍になんて興味が無いかもしれない。しかし、これはヒカルが特異なのだ。周囲のスタッフがまるごと移籍、しかも新しいレコード会社でもその"発言力"は健在だ。有り体に言えば、やりたくない仕事は断れる身分のままなのである。SONYからすりゃドル箱間違いなしのアーティストと諍いを起こしていい事なんかありゃしないからね。

でも油断は禁物である。どれだけ偉かろうが収入や能力が高かろうがレコード会社の人間は所詮はサラリーマンだ。会社の為に身を粉にするかというとわからない。ましてや「日本の音楽市場の未来の為に」とか考えていると期待してはいけない。皆が皆そうだと言っている訳ではない。1000人の組織の中に1人でもそれなりの役職に就きながら保身に走り誰も得をしない決断をする場合があるのだ。いや本当に。でないと『Utada The Best』なんてリリースしないよ。Hikaru本人が嫌がってるってのに。

なので、まぁ大丈夫だと思うが、一通りのルーチーン(アルバムをリリースしてコンサートツアーを完遂して出来ればライブDVD/Blurayをリリースするとこまで)が終わるまでは、やや訝しげに、バカな事をしやしないか見守っていった方がいいと思う。背信行為に身を落とした人間に顧客(うちらファンの事ね)の声が届くとも思えないが、何もしないよりはマシであろう。宇多田ヒカルを蔑ろにしたら許さない、という位の強い態度で、引き続き新レーベルのお手並みを拝見しよう。

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目下上陸中の台風21号はアメリカ名をラン(LAN)ちゃんと言うそうな。嵐(らん)からとったとかとらないとか。台風に名前をつけるというと「ドラえもん」のフー子ちゃんを思い出してしまうのですが歳ですかね。

衆院選の投開票と重なってえらく賑々しい情報合戦になっていたようだが、投票を済ませてしまえば後は何をするでもなく。水害の心配をしなくてもいい土地に住んでるからというのもあるんだが。戦闘機や輸送機の墜落、暴走トラックの突入なんかの方が余程心配だわい。

iphoneXの顔認証技術の精度が十分高いのなら、電子投票の実現も…とか一瞬考えたけれど、技術的ハードルより政治的ハードルの方が遥かに高いので要らぬ心配だわな。

理屈は幾らでもつけられる。もっともらしい理由なら幾らでも。毎日理屈ばかりこねてる人間が言うんだから間違いない(笑)。

選挙のたびに「Hikkiは今回どうしたんだろうね」という話題が出る。在外者投票(というネーミングだったかは定かではないが)に失敗した経験談がたんまり読まれたせいか…いやそれもう14年前の話やないか。

でも、長く生きてきたからわかるが、情報や知識に対して時間や時期はそれほど重要ではない。14年前でイメージが止まっているならば、それは"つい最近"と何も変わらない。重要なのは「情報更新頻度」なのである。対象に対して何回アクセスして情報をアップデートしたかで時間の感覚は決まる。対象にアクセスするだけではダメである。ルーチンワークになればなるほど、情報のアップデートはなされない。新しい情報が得られないからだ。そして日々の生活でルーチンワークが増えれば増えるほど1日の中で情報更新頻度が落ちていく。

2つの問題がある訳だ。ひとつは、対象に対する印象だ。宇多田ヒカルの歌を最後に聴いたのが『Automatic』の人にとって宇多田ヒカルは今でも15歳のままである。実際の時間経過は関係がない。そんな人が『あなた』を聴いたら「大きく変わったな!」と驚くだろう。見た目の若さに対しては反対の驚きがあるだろうが。

もうひとつは、お馴染み。年をとればとるほど時間の流れが早く感じる話だ。対象に対する情報更新頻度は対象の時間の流れの認識だけでなく、更新主体の時間感覚にも影響を及ぼす。主体の行う全情報更新の総体が主体の時間の流れの感覚を形成するのだ。よって、ルーチンワークの多い人ほどあっという間に時間が過ぎ去る。


即ち、新鮮な経験を日々重ねる事が"長生き"の秘訣である。新しい歌を探す日々は、確かに中々日が経たない気がする。気のせいかもしれないが、時間の感覚なんて気のせいの集大成。気にせず生きる事にする。

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