トシの読書日記

読書備忘録

疾走する呪縛

2010-09-20 15:55:38 | は行の作家
古川日出男「ハル、ハル、ハル」読了



3年前に出た単行本が、文庫になって出てたので買ってみました。


ずっと前、同作家の「ラブ」という長編を読んだんですが、なかなか面白いと思ったものの、ちょっと意味がよくわからなくて当惑した覚えがあったんです。でも、気になる作家ではあるので、また読んでみたのでした。「ポスト村上春樹」なんて言われてるしね。


で、これも前回の山崎ナオコーラ同様、ちょっと肩すかしをくらいましたね。わけがわからないってことは全然ないんですが、つまんないなぁ。


表題作のほかに「スローモーション」「8ドッグズ」の3編を収めた短編集なんですが、どれもこれもうすっぺらい感じで、なんだかなぁって感じでした。


「ハル、ハル、ハル」というのは、13歳の中学生、藤村晴臣、16歳の家出少女、大坪三葉瑠、41歳のタクシー運転手、原田悟の3人の物語で、名前に全てハルがあるという、それがタイトルになっているようです。(3人目の原田悟は、原田の「ハ」と悟の「ル」ということだそうです)晴臣と三葉瑠が夜の新宿公園で偶然出会い、原田悟の運転するタクシーに乗り、拳銃を突きつけて脅し、千葉県の犬吠埼へ行くという話なんですが、読んでいて何も伝わってこないんですねぇ。文体にスピード感もあって、読点を極端に少なくした文章も、それに拍車をかける感じで、それはまぁいいんですが、ストーリーがね。ちょっとね。


二つ続けてハズレでした。残念です。

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