トシの読書日記

読書備忘録

古書展へ行く

2006-08-30 02:40:44 | た行の作家
岐阜の古書会館で古書展があり、昼から出かける。

岐阜に行く前に名古屋駅前のジュンク堂で2冊購入
堀江敏幸「いつか王子駅で」
関川夏央「石ころだって役に立つ」

岐阜での購入本
堀江敏幸「雪沼とその周辺」
三崎亜記「バスジャック」
井上荒野「しかたのない水」
井上荒野「ヌルイコイ」
大道珠貴「傷口にはウオッカ」
大道珠貴「ひさしぶりにさようなら」
古川日出男「LOVE」  
長嶋有「泣かない女はいない」
上原隆「雨にぬれても」 

ジュンク堂の分と合わせて11冊も買ってしまった。
そんなに買ってどうすんのって話です(笑)

昨日のメモに書いた、「いつか王子駅で」が見つかったのはうれしかった。

岐阜駅に着き、まずは腹ごしらえと駅ビル地下のレストラン街へ行く。
和食の店があったので、ここでいいかと入り、まず「煙草は吸えますか?」と聞くと
「お昼は禁煙です」とにべもない。煙草はあきらめて「さんま定食」をたのみ、
「あ、あとビール一本」と言うと、「お昼はビール冷やしてないんです」と。
そりゃないだろと思い、「ごめんなさい、さんま、いいです」と席を立つ。
お店の人、ただ見送るだけで一言もなし。
なんだかなーと思いつつ、となりのスパゲティ屋に入る。入ってから気づいたのだが、
そこは自分のあまり好きでない、名古屋名物あんかけスパゲティ専門店であった。
ま、たまにはいいかと煙草を吸えることを確認し、ビールとパスタを注文する。
あんかけスパゲティを食べるのは何年ぶりだろう。久々に食べたその味は、悪くはなかった。思えば十数年前、これ作ってたんだよなとちょっと一人で苦笑い(笑) 
                                                                                そのスパゲティ屋で、電車の移動中から読みついでいた「ピアニシモ」読了。
読んでいる間は知らなかったのだが、これは辻仁成の処女小説であることを解説を読んで知る。無駄な描写を省いて読む者をぐいぐい引きつける力がある。主人公は中学生で、学校でいじめにあい、それをネガティブにやり過ごす方法を心得ているのだが、伝言ダイヤルで知り合ったサキに裏切られるところから彼は目覚める。
自分にしか見えない存在であるヒカルと訣別することで一歩踏み出そうとする彼の姿は、見てて痛々しいくらいだ。
わかりやすい話といえばそうなのだが、ひとつひとつの言葉の選び方、後半、一気に盛り上げていく疾走感、うまい作家です。 
  

購入本について、ざっと簡単に。
上原隆「雨にぬれても」は、先日買った「喜びは~」の同シリーズで、コラム・ノンフィクション第3弾。タイトルは「喜びは~」はキャロル・キングから、「雨に~」はバート・バカラックの曲からとっている。
大道珠貴は、今まで「しょっぱいドライブ」「裸」「背く子」と読んでいるが、このなんともいえない虚脱感というか、イージーさかげんが好きなんです(笑)この人は、賛否両論だと思います。
井上荒野は「グラジオラスの耳」を読んで好きになった作家。後から知ったのだが、この作家、僕が昔よく読んでいた井上光晴の娘であった。どうりで雰囲気が似てると思った。
長嶋有は「猛スピードで母は」「タンノイのエジンバラ」を読んだが、人とかかわって生きていく、その距離感のようなものが絶妙で、いいなと感じさせる。長嶋有の世界は少し前に見た映画「かもめ食堂」に通じるものがあるように思う。
三崎亜記は「となり町戦争」を読んでおもしろかったので。
堀江敏幸は「熊の敷石」を以前読んだのだが、実はちょっとピンとこなかったんです。
でも、あちこちのブログでこの人のことがよく取り上げられているので再度挑戦です。
そんなんだったら一冊だけにしとけばって声が聞こえてきそうです(笑)
関川夏央は先日「やむにやまれず」という短編集を買ったのだが、ほんとはコラムが読みたくて見つけたので即購入。
古川日出男、この人だけまだ一冊も読んでない。読んでないのだが気になってしょうがない作家なんです(笑)以前「沈黙」というのを買って、気になってるのに未読(笑)
この「LOVE」は三島由紀夫賞受賞ということなので、こっちから読んでみるつもり。  

ふ~ 今日は長くなった~(笑)

またまたブックオフ

2006-08-25 03:15:28 | わ行の作家
渡辺淳一「白き狩人」読了。
日記形式で話が進んでいく小説で、そこは目新しかった。

なんだかなーという気持で読み始めたのだが、だんだん引き込まれる(笑)
若いときに、男(義父、義兄)に陵辱され、男性不信に陥った女医の話。
男に対する敵意、女に対する憐憫、だから自分は女しか愛さない・・・・
しかし、一旦手に入れた女達も、結局は自分の元から離れていってしまうという皮肉。
なかなかおもしろかった。

昨日は仕事を休みにして、おとついとはまた違うブックオフへ。

購入本
嵐山光三郎「素人包丁記・ごはんの力」
赤瀬川原平「科学と抒情」
諸井薫「この日本における少数異見ノート」
奥田英朗「最悪」
佐藤智加「肉触」
平岡正明「筒井康隆の逆襲」
関川夏央「やむにやまれず」
橋本治「暗野」

「素人包丁記~」は、シリーズ完結編ということで。
「科学と抒情」は、赤瀬川本は、未読のものは、つい買ってしまうんです(笑)
「この日本における~」は、一度、諸井薫のエッセイを読んでみたかったので。
「男の止まり木」が有名だが、へそ曲がりなのでこれにした(笑)
「最悪」は、奥田英朗のようなエンタメ系の作家は、あまり読まないのだが、
あちこちのブログでとりあげているので、一度読んでみるかな、と思って。
それにしては648ページは厚かったかな(苦笑)
「肉蝕」は、この作家は、まったく知らないのだが、文藝賞優秀作、しかも17才ということで、ちょっと若い荒削りな小説もたまにはいいかなと(笑)
同じ愛知県出身てのもあって。
「筒井康隆~」は、平岡正明の評論が好きなのと、筒井康隆がかつて断筆に至った経緯を詳しく知りたくて。
薄井ゆうじが執筆陣の一人なのも興味をそそられた。
「やむにやまれず」は、僕の好きな上原隆の「雨の日と月曜日は」というエッセイの中で、関川夏央の ”私コラム”というのを紹介していて、それを読んでみたいと思っていて、探しているのだが見つからず、これを見つけたのでとりあえず買ってみた。
エッセイではなく、短編集。
「暗夜」は、やはりお気に入りの作家ってことで未読のものは、つい買ってしまう。
帯に曰く、「久作、十蘭、サドに通じるSF伝奇ロマン」と。あまり得意な分野ではないのだが(苦笑)

自分がよく見るブログの人で、いつも本を4~5冊平行して読んでいる人がいる。
自分も、かつてそんな読み方をしていたのだが、4~5冊で収まっていればいいのだが、
そんなふうに読んでいると、それがどんどん増えていき、しまいになにがなにやらわからなくなってしまうので、そういう読み方は、一切やめている。
明日から読むのは、辻仁成「ピアニシモ」。友達が読んだのでつられて読みます(笑)

薄い本なので、すぐ読めそう。次は上原隆「喜びは悲しみのあとに」。非常に楽しみ。

久々の更新

2006-08-23 01:49:41 | Weblog
お盆の間、ずっと仕事ばかりで、本もまったく読めず。なので更新もできず。

今日、久しぶりに仕事を早く切り上げ、ブックオフへ。

購入本
「ジャズ小説」 筒井康隆
「飛ぶ夢をしばらく見ない」 山田太一
「喜びは悲しみのあとに」 上原隆
「アウト」 桐野夏生
「家内安全」 夏石鈴子
「夢十夜・草枕」 夏目漱石
「気になる物件」 泉麻人

「飛ぶ夢・・・」はダブりであった。
でも、内容をまったく覚えてないので、新鮮な気持で読めるかも。
「ジャズ小説」は、友人が買ったと言っていたので、つられて買った(笑)
「喜びは・・・」は、好きな上原隆ということで。探していてやっと見つかって
350円にもかかわらず、いそいそと買う。
「アウト」は、自分がよく見るブログで、桐野夏生の書評があって気になっていたので。
少し前に「アンボス・ムンドス」も買ってあり、桐野本は2冊目。
「家内安全」は、「新解さんの読み方」で夏石鈴子を知り、これが滅法おもしろかったので。「新解さんの読み方」は、赤瀬川原平の「新解さんの謎」を読んで知った。
「夢十夜・草枕」は、なんとなく漱石でも読んでみるかと思って。
「気になる物件」は、まぁ、これは息抜き本です。泉麻人は(今、かぞえたら)24冊あるのだが、「もう買うまい」と思っていても、つい買ってしまう。100円だし(笑)

そんなこんなで、未読本がまた増えましたとさ(笑)

渡辺淳一「白き狩人」

2006-08-15 01:34:56 | わ行の作家
こういう小説は、あまり読まないのですが(笑)

友達が「読んでみたら?」って勧めてくれてくれて。
その友達も、渡辺淳一のこと、けっこう嫌いだったりするのですが(笑)

初版が1977年というから、約30年前の小説である。

うんうん、そんな時代の小説だな、という感じ。

展開が読めるというか、非常にわかりやすい。
たまにはこんな本もいいでしょ。

小説すばる

2006-08-13 23:36:01 | Weblog
「小説すばる」を一通り読んで思ったのだが、
こういう文芸雑誌は、自分には向いていないと思う。
好きな作家もいて、おもしろそうな記事もあるのだが、
いまいち入り込めない。

「読む」というより、「こなす」という感じ。
やはり、一冊の本になってないと、腰を据えて読もうという気になりにくいのか。

常に「仮の姿」という思いがまとわり付いている感じ。


町田康の憂い

2006-08-12 10:42:16 | ま行の作家
町田康「夫婦茶碗」読了。

この作家は、芥川賞とか三島由紀夫賞とかの候補にはよくなるが、
大きい賞はまだ取ってない。

と思っていたら、「告白」でなにかを受賞したのを今、思い出した。

で、「夫婦茶碗」。
「夫婦茶碗」と「人間の屑」の二編が収められていて、どちらも
どうしようもない脳天気な男が主人公である。

こういう小説は、精神衛生上良くない。
ずるずると気持がすべり落ちていく感じ。

でも、しばらくするとブックオフかなんかで町田康の本を探している自分がいる(苦笑)

ベストセラーランキング

2006-08-11 00:16:34 | Weblog
中日新聞の、毎週木曜日に各書店のベストセラーが発表される。
いつも思うのだが、純文学がほとんどない。
今週も、東野圭吾の「赤い指」一冊のみ。

余計なお世話だが、書店員の思い、いかばかりかと思いを馳せる。
「売りたい本」と「売れる本」とのギャップにため息をついているのかなと。

自分も高校の頃、本屋でアルバイトをしていたのだが、その頃は
もっと純文学の本は売れていたように思う。

ちょうど、有吉佐和子の「恍惚の人」が売れていた頃だ。
来るお客さんが、みんな、「有吉佐和子の恍惚の人、ありませんか?」と
聞いたものだ。

まぁ、自分は、純文学振興委員会の会員(そんなものあるのか 笑)でもなんでもないんで、純文学が売れようが売れまいがいいのだけど・・・。

でも、一抹の寂しさを感ずる。

8月9日(水)

2006-08-10 00:18:26 | Weblog
本日、仕事は休みだったが、いろいろあって読書ほとんどせず。

前から読みかけの町田康の「夫婦茶碗」少し読み継ぐ。
「ラディカル」という形容がぴったりの作家で、なかなかおもしろい。
でも、この人の本は1~2冊でいいなと思っているのだが、
今、書棚をチェックしたら3冊あった(笑)
しかも、「夫婦茶碗」は2冊目であった・・・
前に読んだことがあるようなのだが、全く記憶になし。

こんなことは、最近しょっちゅうあるんで驚きもせず。

8月5(土)~8月8(火)

2006-08-09 13:03:56 | Weblog
8月5日(土)

古内東子のライブの行き帰りに、いしいしんじの「トリツカレ男」読了。
いしいしんじの物語は、いつも暖かい気持にさせてくれる一方で
寂しいというか、不安というか、暗い気持にもなる。

ライブの前に、栄の丸善で糸糸山秋子の「イッツ・オンリー・トーク」、
杉浦日向子の「4時のオヤツ」、開高健の「夏の闇」購入。
それから、「小説すばる」「本の雑誌」も買う。

夜、いつものバーで飲みながら「4時のオヤツ」読む。
前に読んだ、「ごくらくちんみ」のオヤツ版といったところ。
会話の妙に酔いしれる。



8月6日(日)

杉浦日向子「4時のオヤツ」読了。
母と娘、父と娘、女同士・・・なんでもない会話の中にお互いの信頼感とか、
深い絆とかが感じられ、思わず顔がほころぶ。
「粋」という形容がぴったりだと思っていたら、解説の藤野千夜という人が、
こういうのを「粋」というのが野暮らしい。わからなくもない。 


8月7日(月)

「本の雑誌」をぱらぱらと。
20年前くらいに定期購読していて、今はたまに買う程度だが
こんなにつまらなかったっけ?っていうのが正直な感想。
多分、若い人(20代~30代)を意識した誌面作りだと思うのだが、
まるで面白くない。「椎名誠よ、驕るなよ!」と言いたい。


8月8日(火)

仕事休みで昼から「小説すばる」をぱらぱらと。
糸糸山秋子、井上荒野の短編を読む。どちらも好きな作家なのだが、
短すぎて物足りず。
まぁ、こういう雑誌だからこんなもんなのかなぁとわけのわからない納得をする。

あと、三崎亜記の短編もあるし、中島らもの特集もあるし、町田康の書評もあるので
楽しみ。