トシの読書日記

読書備忘録

7月のまとめ

2015-07-28 16:19:12 | Weblog


今月読んだ本は以下の通り
吉田知子「お供え」
アンナ・カヴァン著 山田和子訳「氷」


と2冊でした。淋しいかぎりです。


新しい仕事場に移って早や4か月。今までとは違ってなかなかに忙しい店で、やることも多く、肉体的、精神的余裕がないというのが実情です。しかし、この間姉から借りた本のラインナップが結構魅力的で、楽しみにしながらぼちぼち読んでいこうと思ってます。



所用で出たついでに久しぶりに書店に寄って以下の本を購入


絲山秋子「不愉快な本の続編」
谷崎潤一郎「谷崎潤一郎―マゾヒズム小説集」



7月 買った本2冊
   借りた本0冊

終焉に向って疾走する世界

2015-07-28 15:50:52 | か行の作家


アンナ・カヴァン著 山田和子訳「氷」読了



今年の3月にちくま文庫から発刊されたものです。姉が貸してくれました。



いやぁ、いかにも姉が好みそうな小説ですね。マーセル・セローの「極北」とテイストが似てなくもないかな?しかし、小説の書き方は、それを書く上での基本をあえて無視したような内容で、少し戸惑いを覚えながら読み終えました。つまらなかったかと問われれば、そんなこともないんですが、じゃぁ面白かったかと聞かれれば、うーんと唸らざるを得ないという、ちょっと微妙なところでした。


主な登場人物は私と少女と長官。長官に連れ去られた少女を追って、世界の終わりが近づく中、大変な体験をしていくという展開がずっと続くわけですが、そこはなかなか迫真に迫る描写の連続で面白かったんですが、ラストはちょっと安易だったかなと。


まぁしかし、今まで読んだことのないような作風で、なかなか楽しめました。

眺望のきかない不穏な空気

2015-07-14 17:03:19 | や行の作家



吉田知子「お供え」読了



ついこの間、4月に講談社文芸文庫から刊行された短編集です。表題作は何度も読んでいるんですが、他に6編の短編が収められています。「お供え」「艮(うしとら)」以外は初読でした。3年ほど前に出版された吉田知子選集 「Ⅰ Ⅱ Ⅲ」にも収録されていないものです。


相変わらず吉田知子の世界です。日常から、ある境目を経て非日常へと移行していく、この小説世界は吉田知子独特のもので、彼女しか書けないものです。


「祇樹院」「迷蕨」「門」等、一人で、または知人と一緒に山道を歩いたり、どこかの家へ入っていく話が多いんですが、途中で空間がゆがんでくるというか、ずれていく感じ。そして自分の力ではどうにも抗うことのできない状態にはまっていく。ここが読んでいて何ともいえない気持ちにさせられます。そしてそれが吉田知子の小説の真骨頂なんでしょう。


やっぱり吉田知子はすごい。感服しました。